「ゲーム実況」と「eスポーツ」の人気差を生み出す根本原因はいったい何か

オリンピック種目に推す声が上がるほど世界的な人気が拡大する「eスポーツ」。しかし日本では、例えば人気ジャンル「ゲーム実況」のような注目は集まっていない様子。なぜなのでしょう。Z総研トレンド分析担当の道満綾香さんが、若者を取り巻く「eゲームの今」を解説します。

東京五輪の種目にと推す声も

 2020年東京オリンピックは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2021年に延期となってしまいましたが、その東京オリンピックに「eスポーツ」を新競技として採用しようという動きがあることをご存じでしょうか。

 Z世代(1996~2012年に生まれた若者たち)にとって、今やゲームは当たり前の存在。外出自粛のさなかも友達とオンライン対戦のゲームを遊んでいました。

 しかし、そのZ世代にもeスポーツの存在はいまいち浸透していません。

日本では「ゲーム = 悪いもの」?

 eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ」の略称で、コンピューターゲームやビデオゲームを使って複数人のプレーヤーでプレイし、対戦することをスポーツと解釈したものです。

 ゲームをスポーツとして認識しづらいところもあるかもしれませんが、海外では非常に発展しており、市場規模も日本とは桁違いです。

ゲーム実況は若者に大人気。では「eスポーツ」は――?(画像:写真AC)



 日本から生まれたゲームは非常に多く、海外のユーザーに親しまれているものがたくさんあるのに、なぜ浸透していないのでしょうか。

 日本では、ゲームはしばしば「遊び = 悪いもの」というイメージで語られます。

 2020年3月、香川県議会で18歳未満のゲーム利用を1日60分などとする「ネット・ゲーム依存症対策条例」案が賛成多数で可決され、ネット上で物議を醸しました。なお罰則規定はなく、同条例は翌4月に施行されています。

 もちろんゲームは楽しいものですから、夢中になり過ぎて勉強がおろそかになるというのは耳にする話ではあります。ですが、ひとつのゲームを熱心に極めていったら、もしかしたらプロゲーマーになれるかもしれません。各家庭で上手に付き合って行くことが重要です。

海外では大会の賞金が桁違い

 海外ではeスポーツの大会賞金が数億円にものぼります。しかし日本では刑法(賭博罪)や景品表示法など法令による規制の関係で多額の賞金は出せないのが現状です。

 ゲームでお金を稼ぐのは良くないことという、良くも悪くも伝統的な考え方が日本には浸透しているので、これを覆さない限りeスポーツの発展はなかなか難しいでしょう。

女子たちもゲーム実況に夢中

 さて、Z世代の間で今流行しているゲームは、FPS(一人称)視点やTPS(三人称)視点と呼ばれるシューティングゲームです。

 FPS視点のゲームで有名なものとしては「荒野行動」や「PUBG」、TPS視点のゲームでは「スプラトゥーン」や「フォートナイト」があり、これらはスマホ用アプリが出ているものもあるほどメジャーなゲームです。

 フォートナイト配信元のエピックゲームズ(米ノースカロライナ州)は企業価値が約170億ドル(約1.8兆円)にも及び、7億5000万ドル(約800億円)の資金調達を検討しているといった報道がつい先日ありました。

 ゲーム業界は極めて巨大な市場へと成長を続けています。

人気が続くシューティングゲーム「荒野行動」の1場面(画像:NetEase Games)



 こうした、相手と対戦するシューティングゲームの類いは、一般的に男性がやるもので、女性は「あつまれ どうぶつの森(通称・あつ森)」のようなのんびりしたゲームをやると思われがちですが、実はZ世代の女性たちからも驚くほど人気を集めているのです。

 Instagramを開けば、ストーリーズ(24時間で消える短尺動画機能)にゲーム結果のスクリーンショットを投稿しているZ世代の女性が何人も。

 20代の人気女優・本田翼さんがYouTubeで「ゲーム実況」をして話題になりましたが、この「ゲーム実況」は非常に人気のジャンルのひとつ。本田さんのように、ゲーム実況者にもリスナー(視聴者)にも、今や数多くの女性ファンがいるのです。

意識しないほど身近な存在?

 このようにZ世代にはさまざまなゲームが浸透しているのにも関わらず、なぜeスポーツはそこまで知られていないのか。

 その理由として、そもそも自分がプレイしているゲームをeスポーツの種目と認識していないことが挙げられます。

 30~50代の大人世代が青春時代にハマったであろう日本生まれの「ストリートファイター」も、実はeスポーツの種目のひとつ。普段何気なくプレイしているゲームがeスポーツの種目だと知っている人は意外に少ないのです。

30年以上の歴史がある「ストリートファイター」もeスポーツの種目のひとつ(画像:カプコン)



 そういう意味では日本において、わざわざ意識するまでもなくeスポーツ(= オンラインゲーム)が身近な存在、と言い換えることもできるでしょう。

「なりたい職業」に初ランク

 2018年夏のアジア競技大会では、陸上や水泳などのリアル種目に交じってeスポーツも初めて種目として採用され、日本生まれのサッカーゲーム「ウイニングイレブン 2018(ウイイレ)」の部門で日本代表チームが優勝を果たしました。

 もちろんウイイレもZ世代の間で親しまれているタイトルのひとつですが、このように非常に身近なゲームであるにも関わらず、eスポーツとしての認知が著しく低いのは少しもったいないようにも感じます。

 ソニー生命保険(千代田区大手町)が2019年6~7月に実施した「中高生が思い描く将来についての意識調査」では、男子中高生のなりたい職業ランキングに初めて「プロeスポーツプレーヤー」がランクインしました。しかし世間一般的には、まだまだ職業としての認知は浸透していません。

ソニー生命による「将来なりたい職業」調査。男子中学生は2位、男子高校生は7位に「プロeスポーツプレーヤー」がランクインした(画像:ソニー生命)

 YouTuberのようにさまざまなメディアで取り上げられるようになれば、普段何気なくプレイしているゲームがeスポーツの種目であり、プロゲーマーという職業があるのだということがもっともっと認知され、プロゲーマーを目指すZ世代が増えて行くのではないでしょうか。

【画像】意外? オンラインゲームに大興奮するインスタ女子たち

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