浅草「かっぱ橋」老舗店の6代目が「100年使えるフライパン」を作った熱き、厚き理由
2021年1月1日
ライフ近年顕著なフライパンの「使い捨て文化」を憂い、100年選手の商品を作ろうと懸命になっているのが、かっぱ橋道具街にある飯田屋の6代目・飯田結太さんです。商い未来研究所代表で、小売流通専門誌「商業界」元編集長の笹井清範さんが解説します。
1912年創業の料理道具専門店
筆者(笹井清範、商い未来研究所代表)は「持ち重り」という言葉が好きです。持ち重りするリンゴの実、持ち重りする薔薇の花(これは丸谷才一さんの小説)、持ち重りする金の延べ棒(持ったことありませんが)などなど。
さて、今回は持ち重りするフライパンの話です。
銀座線「田原町駅」から徒歩5分ほど、台東区にある「かっぱ橋道具街」は日本有数の料理道具街。約800mの商店街には、およそ170の飲食店向け専門店が軒を連ねています。
その中の1店、深い品ぞろえと圧倒的な専門性で人気の料理道具専門店「飯田屋」(台東区西浅草)は1912(大正元)年創業。世界中から料理人と料理好きが集まります。地震や戦争の被災により2度にわたって店を焼失するものの、そのたびに「目の前のお客さまを喜ばせる」ことに徹して、100年を超えて商いをつないできました。
老舗を切り盛りするのは、6代目の飯田結太(ゆうた)さん。テレビや新聞・雑誌など多くのメディアに「料理道具のプロ」として登場し、私たちに料理道具の魅力を教えてくれます。そんな飯田さんには、「世代を超えるほど長く使い続けられるフライパンをお客さまに届けたい」という夢がありました。

多くの一般家庭で使われているフッ素加工フライパンはこびりつきづらく、手入れのしやすさから人気です。しかし、耐用年数はわずか1~2年。フッ素がはがれてくると道具としての用をなさず、消耗品としてゴミとなります。料理道具を愛する飯田さんに、それは堪えがたい悲しみでした。

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