防災の日に見るべきアニメ「東京マグニチュード8.0」 首都直下地震「今後30年で70%」の現実にどう備えるべきか

9月1日は防災の日です。昨今、南海トラフ地震や首都直下地震の発生が懸念されるなか、今回はテレビアニメ「東京マグニチュード8.0」を通してその現実を考えます。


「東京マグニチュード8.0」の舞台

 2009(平成21)年7月から9月までテレビアニメが放送された「東京マグニチュード8.0」(フジテレビ系列)。各話の冒頭には、「本作品は首都圏での巨大地震発生を想定し、膨大なリサーチと検証に基づいて制作されたフィクションです」と表示されます。

「東京マグニチュード8.0」(画像:(C)東京マグニチュード8.0製作委員会、角川エンタテインメント)



 震源は東京湾北部、震源の深さはおよそ25km、マグニチュードは8.0の大地震が発生した世界を生きる女子中学生が主人公の物語です。

 オープニング映像では崩壊した東京の数々の名所が描かれています。上野のアメヤ横丁では、建物が崩壊し、道がふさがれています。秋葉原の万世橋交差点の建物は半壊し、道路にがれきの山が築かれました。ほかにも数々の東京の名所が無残な姿で描かれているのです。

 物語は主人公の女子中学生・小野沢未来とその弟・悠貴がお台場へロボット展を訪れるところからはじまります。突如震度7の揺れが未来たちを襲い、ふたりは崩壊する建物から脱出。自宅のある世田谷区の三軒茶屋へ徒歩で目指します。道中でふたりは日下部真理という大人の女性と出会い、協力して三軒茶屋へ向かいますが、途中でレインボーブリッジが崩れ落ちたりと、数々の苦難に襲われます。

 第4話では東京タワーが根元から倒壊し、飛び落ちてくるがれきから未来を守るために、弟の悠貴は亡くなってしまいます。未来は無事両親との再会を果たしましたが、そこには悲しみが残るというストーリーで幕を下ろしました。

「東京マグニチュード8.0」のストーリーはあくまでフィクションですが、前述の通り、製作は膨大なリサーチと検証に基づいているとしています。

 では、もし実際に東京を巨大地震が襲った場合、町はどのようになるのでしょうか。

都心南部直下、マグニチュード7.3の地震

 内閣府防災が発表したシミュレーションを見てみましょう。地震の発生は

「20XX年、ある冬の日の夕方、都心南部直下でM7.3の地震が発生」

というシチュエーションです。

 山岳部では土砂崩れが頻発し、木造住宅密集地では火災の多発、延焼が見込まれています。木造住宅密集地では道が狭く、消防車両の進入が困難なため、消火活動は難航します。住民たちが自分たちの手で初期消火できるかが明暗を分けるとされています。

 次に被害想定の全体像を数字で見てみましょう。死者合計数は最大で2万3000人、これは阪神・淡路大震災の約3.5倍の人数です。この人数は直接死のみで、感染症や飢餓などの二次災害を含んでいません。全壊および焼失棟数合計は最大61万棟で、阪神・淡路大震災と比較すると約5.5倍にのぼります。

首都直下地震の震度最大値の分布図(画像:国交省)



 ライフラインはどのような被害を受けるのでしょうか。都区部では5割が断水し、5割が停電に陥ります。1割では下水道の使用が不可能になり、地震発生直後には9割の通話規制が予測されています。

 交通被害は主要路線の道路啓開に少なくとも1~2日の復旧活動が必要とされ、地下鉄は1週間、私鉄・在来線は1か月運行が停止、被害の大きい港湾は復旧に2年以上を要するとされています。

 帰宅困難者は東京都市圏では最大800万人、東京都で最大490万人の予想で、避難者は2週間で最大720万人にのぼる見込みです。

 その避難者はどのような生活を送るのでしょうか。地震発生から1週間で最大3400万食の食料が不足し、飲料水は最大で1700万リットルの不足が予想されます。断水のため洗髪、洗顔などはできない状況が続き、プライベートな空間の用意はできないため多大なストレスを感じながらの生活を余儀なくされます。

 内閣府が発表したマグニチュード7.3の地震発生予想でも甚大な被害が見込まれていますが、もしアニメどおりマグニチュード8.0の地震が起きたのならその被害はさらに拡大すると思われます。

首都直下地震は30年以内に70%の確率で発生

 なぜならマグニチュードはその数値を1上げるごとに、エネルギーの大きさは約32倍になるからです。マグニチュード8.0の地震はマグニチュード7.3の地震のおよそ11.2倍のエネルギーになります。もし内閣府が発表した地震と震源地、震源の深さが同じならば被害はさらに大きくなると予想できます。

 地震調査研究推進本部地震調査委員会が2020年に発表した内容によると、首都直下地震でマグニチュード7程度の地震が30年以内に発生する確率は、70%程度です。

 また首都直下地震ではありませんが、南海トラフ地震ではマグニチュード8~9の地震が30年以内に70~80%の確率で発生すると予想されています。

 日本は複数のプレートの境界に位置する国のため地震の発生が多く、世界で起きるマグニチュード6.0以上の地震のおよそ2割は日本付近で発生しているほどです。

「東京マグニチュード8.0」では東京タワーは倒壊し、主人公の弟・悠貴は犠牲になりました。首都直下地震が起きた場合、果たして東京タワーは本当に倒れてしまうのでしょうか。

 東京タワー公式ホームページによると、東京タワーは関東大震災以上の地震にも耐えられる設計とのことです。基礎工事の段階から既に巨大地震を想定しており、東京タワーを支える塔脚基礎は1脚で4000トンの重圧にも耐えるほどです。

東京タワー(画像:写真AC)



 では関東大震災のマグニチュードはいくつだったのでしょうか。内閣府ホームページによると関東大震災はマグニチュード7.9です。つまり東京タワーはマグニチュード7.9以上の地震に耐える設計ということになります。首都直下地震がマグニチュード8.0だったとしても、その揺れに耐えるだけの耐震性はあるのでしょうか……。

9月1日は防災の日

 こうして考えると、近いうちに巨大地震が起きる確率は決して低くありません。

 地震の発生を防ぐことはできませんが、備えることはできます。どういった地震が起きる可能性があるのかを知っておくことで、いざ被災したときにパニックに陥らず、冷静な対応を取れるかもしれません。

 9月1日(水)は防災の日です。自分や大切な人の命を守るためにも、今一度地震について見つめ直してみてはいかがでしょうか?


【貴重画像】1923年撮影、関東大震災直後の「銀座」

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