隅田川いまむかし 「鉄道橋」にみる戦前・戦後の風景とは
2020年9月11日
知る!TOKYO90年あまりの年月を経た現在も、美しい姿を見せ続ける隅田川の鉄道橋について、文筆家の広岡祐さんが解説します。
美しい姿は現在も
東京の東部を流れる隅田川は全長23.5km。荒川の下流部にあたる一級河川です。
近年は川沿いに遊歩道が整備され、川面を間近に眺めながら散策できる場所が多くなりました。コロナ禍の昨今も、早朝のウオーキングやジョギングを楽しむ人たちが見られます。
川をまたぐさまざまなデザインの橋も、隅田川の大きな魅力のひとつです。江戸時代には風情ある木橋が浮世絵の画題になり、近代に入ってからは関東大震災の復興事業で完成した多くの橋梁(きょうりょう。橋)が、90年あまりの年月を経た現在も美しい姿を見せています。
今回はそれらの橋の中から、隅田川にかかる鉄道橋にスポットを当ててみます。
浅草名所・花川戸の鉄道橋
まず紹介する写真は戦前の絵はがきです。中央上部の横長のビルディングが、1931(昭和6)年築の浅草松屋デパート(現・浅草EKIMISE)。2階部分が東武鉄道浅草駅です。建物を出た線路が、急カーブを描いて隅田川を渡っているのがわかります。

浅草駅を出発した東武伊勢崎線(東京スカイツリーライン)の電車がわたる全長166mの鉄道橋が、東武鉄道隅田川橋梁です。浅草花川戸と対岸の向島を結ぶことから、「花川戸鉄道橋」の別名があります。
今も残る戦前の風景
東京スカイツリーの展望台から、この絵はがきとほぼ同じ角度の風景を見ることができました。

松屋デパートと駅前の神谷バー(1921年)、東武線の橋梁と吾妻橋、北十間川合流部の枕橋(1928年)などは戦前のままです。
手前左手にあったアサヒビール吾妻橋工場は1980年代に取り壊され、リバーピア吾妻橋とよばれる高層ビル群に姿を変えています。

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