時代遅れなんてとんでもない 路面電車が「新しい公共交通」と呼ばれる四つの理由
2020年6月2日
知る!TOKYO都内の地域住民に愛されるほのぼのとした路面電車。一般的に「ノスタルジー」なイメージとして語られがちの路面電車ですが、実は「新しい」のだそう。鉄道に関する著作があるフリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。
都民から親しまれた都電
2020年1月、JR御茶ノ水駅近くの道路から戦前期に使われていた都電の線路が露出し、ちょっとしたニュースになりました。
かつての東京都内には、40路線もの都電が走っていました。それだけ多くが走っていたわけですから、都電は都民から親しまれる存在であり、日常生活に欠かせない移動手段でもありました。

しかし、都電の存在感は時代とともに揺らぎます。高度経済成長期、国民の所得が向上したことで東京にはマイカーがあふれ、都電と一緒に道路の上を走る光景が当たり前になったのです。
自動車が増えるにしたがい、都内の道路は渋滞が頻繁に発生。そして、渋滞は慢性化し、社会問題になっていきます。
そして残った都電荒川線
渋滞の原因としてやり玉にあげられたのが都電です。
当時、都電は道路を占領しているように捉えられ、自動車交通を阻害する邪魔者として扱われました。そのため、都民の間から廃止論が高まったのです。
廃止を望む都民の声を受け、東京都は次々に都電を廃止していきました。代替として、地下鉄やバスが整備されたことも都電廃止の流れを後押しします。その結果、現在は早稲田~三ノ輪橋間を走る都電荒川線だけが残りました。
都電は荒川線のみですが、都内にはもうひとつ路面電車が走っています。それが三軒茶屋駅と下高井戸駅間を走る東急世田谷線です。

世田谷線は自動車と一緒に道路を走る区間がないため、路面電車っぽさを感じさせません。それでも、かわいらしい車両が走り、沿線住民から親しまれる路面電車です。
荒川線と世田谷線、両者に共通するのは沿線の街や行き交う人々、利用客がほのぼのとした雰囲気を漂わせ、のんびりとした時間を感じさせてくれることです。

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