かつてはキワモノ扱いも 今やすっかり「ご意見番」化したギャルタレの妙に説得力あるトーク力とは

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かつてはキワモノ扱いも 今やすっかり「ご意見番」化したギャルタレの妙に説得力あるトーク力とは

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苫とり子

フリーライター

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かつて「絶滅した」とまで言われた、東京・渋谷を中心とするギャルたち。そのギャルが今、テレビのバラエティー番組などで引っ張りだこになっています。なぜ今の時代に彼女たちはウケるのか。フリーライターの苫とり子さんが分析します。

「絶滅」とまで言われたギャルの復権

 90年代後半、日本では中高生の間で空前の「ギャルブーム」が巻き起こっていました。

 ギャルの聖地と呼ばれた渋谷109(渋谷区道玄坂)を構える東京・渋谷。

 そこでは昼夜を問わず、当時一世を風靡(ふうび)していた安室奈美恵のファッションをまねたアムラーや、黒く日焼けした肌と脱色した髪の毛が特徴のヤマンバギャル、第二のカリスマとして降臨した浜崎あゆみに憧れる白ギャルたちが行き来していたのです。

 ファッション誌『egg』をはじめさまざまな媒体で取り上げられたギャルブランドCOCOLULUの派手な柄のTシャツやデニム、ハイビスカス柄が施されたALBA ROSAのグッズ、厚底ブーツやルーズソックス……。

 思い思いのファッションに身を包んだギャルたちは、PHP片手に友人とのおしゃべりにいそしんだり、パラパラを踊っていたりしました。

ギャル雑誌も次々と休刊した2000年代

 しかし、2000年代に入ると、ギャル文化は徐々に衰退。もちろんギャルが全くいなくなったわけではなく、雑誌『小悪魔ageha』のファッションを参考にしたアゲ嬢や、若者らしさと大人感が両立した姉ギャルなども存在していましたが、原宿系・清楚(せいそ)系ファッションの台頭によって、前ほど目立たなくなります。

 そのうちメディアで取り上げられることも少なくなり、ギャル系雑誌は次々と休刊に。スマホが登場し、SNSで誰とでもつながれる時代になったことで、ギャルサー(ギャルが集うサークル)をはじめとするコミュニティーが不必要になったこともひとつの理由かもしれません。

 しかし、2018年頃からギャルブームは徐々に再燃します。

再燃のきっかけは安室奈美恵の引退?

 定かではありませんが、ギャルブームをけん引した安室奈美恵の引退や、WEB版での『egg』復活、90年代後半を舞台にギャルを描いた映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の公開などがきっかけになったといわれています。

 また、平成から令和への改元を機にニュースで流された当時の映像や、昔ギャルだった人たちによるSNSでの投稿も現代の中高生の心に火をつけたのでしょう。

 2018年6月1日放送の『有吉ジャポン』(TBS系)でも、渋谷を再び盛り上げるために奮闘しているギャル集団「サー人」が取り上げられました。

令和ギャルたちがバラエティーを席巻

 芸能界でも、ファッションモデル・バラエティータレントの藤田ニコル(にこるん)や池田美優(みちょぱ)、木村有希(ゆきぽよ)など、“令和ギャル”と呼ばれる彼女たちが活躍しています。

ファッションアイテムをプロデュースするなど、高い人気を誇る「令和ギャル」のひとり、みちょぱ(画像:フリーカーズ)



「日経エンタテインメント!」が発表しているバラエティー出演本数ランキング(2019年11月1日~20年2月7日の3か月間)では、みちょぱが3位、にこるんが6位にランクイン。ゆきぽよも2019年のテレビ出演本数が100本を達成するなど、今やテレビ界で欠かせない存在となっています。

高い注目度、Twitterは21万いいねも

 ワイドショーにも頻繁に顔を出し、自らも積極的にSNSで世の中に対する疑問や考えを発信する彼女たち。その発言はたびたびメディアでも取り上げられ、大きな話題を呼んでいます。

テレビやファッション誌などで見掛けない日はない、にこるん(画像:講談社)

 例えば2020年5月、芸能人に対するSNSでのバッシングが問題になった際には、にこるんが「人間がいっちばん怖い生き物だよ ストレス発散のため?」「芸能人になるんだったらそれも覚悟してでろって良く言われる。そうゆう考えなるのがもう怖い。」と自身のTwitterに投稿。

 このツイートには21.7万いいねが付いています(8月15日時点)。

世間を共感を集める、飾らない物言い

 日曜午前のワイドショー『サンデー・ジャポン』(TBS系)でも彼女たちの発言は毎回注目を集めますが、最近では2020年8月2日放送回で、新型コロナウイルスに関する国の対応について率直な意見を述べたゆきぽよに、共感の声が寄せられました。

 なぜ今、このように令和ギャルに対する世間の注目が集まり、ギャルを代表とする彼女たちは若者から支持されるのか。

 それはやはり彼女たちが飾らず、うそを吐かず、赤裸々に自分の過去を語り、その上で堂々と表現活動を行っているからではないでしょうか。

ギャルの聖地と呼ばれた渋谷109。2020年7月には人気ブランド「セシルマクビー」閉店のニュースが流れたものの、ギャル文化は今も息づいている(画像:(C)Google)



 にこるんは過去テレビに出演した際、同級生からいじめられていた中学時代を告白。モデルをやっていたことから、心ない言葉を浴びせられたり、集合写真に画びょうを刺されたりしたことを明かしました。

 みちょぱとゆきぽよは、元カレが少年院に入っていたことを暴露。このように、普通ならば隠したくなるような過去の出来事を彼女たちは包み隠さず語ってくれるのです。

“苦難”の時代に培われた強靭な精神

 90年代後半にギャルムーブメントが巻き起こった頃。ギャルたちは世間から冷たい視線を浴びせられていました。

90年代後半、少年の検挙人員は現代と比べて多かった(画像:警察庁生活安全局少年課「少年の補導及び保護の概況」を基にULM編集部で作成)

 2020年現在と比べると当時は少年犯罪も多く、オヤジ狩りや援助交際も頻発していた時期。特に問題も起こさず、おしゃれをして友達と楽しんでいただけのギャルですら批判の的に。

批判を受け止めつつ、自分を曲げない

 しかし、世間の目にも負けず、ギャルは自らのスタイルを追求していました。そんな平成のギャルが持っていた強靱(きょうじん)な精神を、にこるん、みちょぱ、ゆきぽよら令和ギャルも受け継いでいます。

大人には理解されなくてもいい――そう明るく“開き直っていた”平成のギャルに対し、自らの体験を基に意見を表明する令和の彼女たち。

 うそを吐かず、変に大人や権力にこびを売らない彼女たちの言葉は、同世代の声を代弁しているとも言えます。そんな姿を見て、かつて彼女たちに冷ややかな目線を送っていた人たちもまた、胸襟(きょうきん)を開いていったのでしょう。

「ブレないのがいちばん大事」と語った、ゆきぽよ。その考え方には見習うべき点も多い(画像:NAVANA)



「ギャルは自分の意思がしっかりしていて、ブレないのがいちばん大事。」

 これはlivedoorNEWSのインタビュー(2019年8月23日配信)で、ゆきぽよが答えた“ギャルの定義”。

 どんなに周りから批判されても、何よりも自分を大切にして意思を曲げないこと――それがギャルたり得るゆえんであり、10代、20代の若者から支持される理由なのかもしれません。

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