原宿駅前の熱狂 一世を風靡した「ホコ天」はなぜ消滅したのか
2020年5月24日
ライフ1970年代から90年代にかけて、原宿には流行に敏感な若者がけん引した歩行者天国文化がありました。現在では廃止となったその歴史を、フリーライターの猫柳蓮さんが解説します。
背景にあった「バンドやろうぜ!」な時代
新駅舎が先日開業した原宿駅。木造建ての旧駅舎は96年の歴史に幕を下ろし、解体されることになりました。そして、若者の街・原宿も様変わりしようとしています。
原宿駅の風景として思い出すのは、かつて歩くこともできないほど人を集めた「ホコ天(歩行者天国)」とインディーズバンドでしょう。とにかくバンドを組む――それが1980年代の中高生にとっては、人生の必須事項でした。

ホコ天が隆盛する背景となった1980年代のバンドブームの特徴は、バンドの演奏を楽しむのではなく、「バンドやろうぜ!」という中高生がどっと増えたことでした。この時代、ミニコンポや携帯音楽プレーヤーは安価になり、音楽を聴く機会は以前より格段に増えていました。
そこに流れるロックやパンクを通じて、音楽が「誰でもできるもの」「バンドは組めるもの」という意識が広がっていったのです。
テレビ番組が人気を後押し
とりわけギターは「コードさえ覚えればなんとかなる」と言いはやされていましたが、その必要性すらもなくなりました。市販されるバンドスコアはTAB譜が当たり前となり、コード表を見て「C」や「F」などを覚えなくとも、指の置き方を理解できるようになり、グッとハードルは下がったためです。
こうして中学や高校は、いくつものバンドを組んでいる人が当たり前という状況が生まれました。

それをベースに台頭したのが、インディーズバンドの登場です。彼らは誰も考えつかなかった先進性を追い求めており、活動の中心地となったのは、原宿のホコ天でした。
1989(平成元)年から1990年にかけて一時代を築いたテレビ番組、「イカ天」こと『平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国』(TBS系)の隆盛もあり、ホコ天に集まるインディーズバンドはとにかく人気を呼びました。
今は亡き池田貴族の「Remote」、セーラー服に革ジャンというスタイルが話題になった「えび」。中高生に大人気の「YELLOW DUCK」など人気バンドが次々と生まれたのです。

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