ナタデココは今なお健在 25年前に大ブーム、現在は「あの名曲」的な存在に

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ナタデココは今なお健在 25年前に大ブーム、現在は「あの名曲」的な存在に

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1993年から一大ブームを巻き起こしたナタデココ。コリコリとした独特の食感と豊富な食物繊維、そのカロリーの低さで大きな話題を呼びましたが、現在はどのようになっているのでしょうか。

ヘルシーで食べ応えがあって、腹持ち良し

 1993(平成5)年から一大ブームを巻き起こしたナタデココ。コリコリとした独特の食感と豊富な食物繊維、そのカロリーの低さから、かつては健康志向の女性たちを中心に大きな話題を呼びました。

ブーム当初はシロップ漬けのまま食べられることが多かった、ナタデココ(画像:写真AC)



 もともとフィリピン発祥のデザートで、原料となるココナッツミルクにナタ菌を加えて、発酵させて作られる食べ物です。ブーム当時から製造を行う、唯一の国産メーカー・フジッコ(神戸市)が、「最盛期(1993年)に約60億円あった売り上げが、2年後には30億円まで落ち込みました」と振り返るほど、ブームは「瞬間風速」だったようです。

「当時はシロップ漬けの製品をそのまま食べて、純粋に食感を楽しむ傾向が強かったのですが、ここ数年はヘルシーで『食べ応え』のある製品としてカテゴライズされています。食べる際によく噛むため、満足感が得られるからです。また、カロリーもほとんどないため、ダイエット志向の女性にはうってつけで、腹持ちもとても良いんですよ」(フジッコマーケティング部)

ナタデココの原料となるココナッツの実(画像:写真AC)

 フジッコによると、現在のナタデココの「立ち位置」は、サラダなどのトッピング素材として女性に大人気の「蒸し豆」に似ているといいます。

「蒸し豆同様、ナタデココは、女性が罪悪感なく小腹を満たすことができる製品として、いまだ人気なんです」(フジッコマーケティング部)

唯一のナタデココ国産メーカー・フジッコが販売する業務用製品(画像:フジッコ)

 さらに、製品のバリエーションも増えています。

「現在ではさまざまなデザートを彩る『素材』として使われています。以前からあるゼリーやドリンクのほか、アイスや人気紅茶専門店でも使われているんですよ」(フジッコマーケティング部)

 ということで、さっそくベーシックな製品から見ていきましょう。

糖質制限向け製品も

 ナタデココを使った製品といえば、まず思い浮かぶのはゼリーです。フルーツゼリー大手のたらみ(長崎市)に聞きました。

たらみが販売する「トリプルゼロ おいしい糖質0 グレープフルーツ」(画像:たらみ)

 ナタデココを使ったゼリーを同社が発売したのは1990年初旬ごろで、ブームより前だといいます。当時、ゼリーの素材として世界中のフルーツを探し求めていたという同社。ナタデココのブームで販売数は飛躍的に伸び、アイテム数も増えたといいます。現在は約50種の関連製品を展開しています。

「ゼリーの食感とダブルで味わえるため、フルーツゼリーにとってナタデココは大切な素材です。また、糖質もゼロなので、カロリーを抑えたゼリーにとって貴重な素材になります」(たらみ)

 同社ではナタデココを使った「トリプルゼロ おいしい糖質ゼロ」シリーズを展開しています。フルーツの果汁感も感じられつつ、カロリーゼロ、脂質ゼロ、糖質ゼロの商品で、もっぱら糖質制限をしている消費者などから好評だといいます。

 すばり、たらみにとってナタデココとはどのような存在でしょうか?

「フルーツゼリーと相性抜群のヘルシー素材です。今後、ますます注目されるのは間違いありません」(たらみ)

ドラッグストアに置かれる製品に成長

 続いて聞いたのは、ナタデココのドリンクを発売する伊藤園(渋谷区本町)です。

伊藤園が販売する「ナタデココ ヨーグルト味」(画像:伊藤園)



 同社が業界初のナタデココドリンクを発売したのは、ブームの真っただ中、1993(平成5)年10月のこと。「缶ナタ・デ・ココinオレンジ」「缶ナタ・デ・ココinグレープフルーツ」「缶ナタ・デ・ココinヨーグルトドリンク」の3種類でした。2001(平成13)年8月には「ナタデココ ヨーグルト味」が特定保健用食品(トクホ)の表示許可を取得。2012(平成24)年には、より幅広い年齢層に受け入れられるようパッケージを一新しました。

「これまで缶入りで自動販売機を中心に販売してきましたが、ドラッグストアにも置かれるようになりました。ヨーグルト風味の飲料と相性がよく、特定保健用食品の表示許可を得てからは、健康志向の人からの支持も増えています。また、(ドリンクタイプのため)仕事の合間のちょっとした小腹満たしに、手軽に楽しめるとの声もいただいています」(伊藤園)

 すばり、伊藤園にとってナタデココとはどのような存在でしょうか?

「『世界で一つだけの花』ですね。ナンバーワンではないけれど、他の物では代用できないオンリーワンな存在です」(伊藤園)

消費者の声で販売再開したナタデココアイス

 続いてはアイスです。乳製品メーカー大手の森永乳業(港区芝)では「ナタデココ in 杏仁豆腐バー」を2016年4月から発売しています。

森永乳業が販売する「ナタデココ in 杏仁豆腐バー」(画像:森永乳業)

 同年秋に販売を一度終了しましたが、ウェブサイトやSNSを中心に消費者の反響が大きかったため、2018年春に発売を再開しました。当時の反響について、同社は次のように話します。

「『食感が独特で歯応えがあり、アイスでこの食感は初めて』『コリコリモチモチにハマってしまいそう』『杏仁豆腐をそのまま凍らせたようで美味しい』『無くなる前に買い占めた』といったようなお言葉をいただきました。弊社のお客さま相談窓口にも『どこに売ってるのか?』『再発売してほしい』というお声が来たほどです」(森永乳業)

 消費者から好評だった「食感」をさらに強化するために、2018年の復活時にはナタデココを増量したといいます。売り上げも好調で、出荷実績(数量)は、2018年4月~7月累計でリニューアル前の2割増となっているとのこと。ちなみに、消費者の6割以上は女性で、特に20代~30代女性に人気だといいます。

 すばり、森永乳業にとってナタデココとはどのような存在でしょうか?

「『ナタデココ in 杏仁豆腐バー』は、もっちりアイスとコリコリしたナタデココのコントラストが一番のポイントです。このふたつの要素は野球のバッテリーのような関係で、一言で表現すると、ナタデココは『名バッテリーのピッチャー』です。ピッチャー役のナタデココを、キャッチャー役のアイスが包み込んでいる感じですね」(森永乳業)

台湾ティーで「人気No.2」のトッピングメニューにも

 最後は聞いてみたのは、インスタグラムで特に人気だった台湾ティー専門店「Gong cha(ゴンチャ)」です。同店は原宿・表参道をはじめ首都圏を中心に店舗を展開していますが、提供する台湾ティーには、トッピングとしてナタデココを加えることができます。

ゴンチャジャパンが販売する「マンゴー阿里山ティーエード」。トッピングにナタデココが入っている(画像:ゴンチャジャパン)

「ナタデココはゴンチャの発祥の地である台湾でも普及しており、多くの人々に好まれています。ゴンチャで提供しているドリンクとの相性が良いため、2015年の日本上陸年からトッピングメニューとして展開しています」(ゴンチャジャパン)

 なお、数あるトッピングメニューのうち、ナタデココのオーダーランキングは2位で、とても人気の高いメニューだとのことです。

 一時のブームは陰りを見せたものの、ナタデココは形を変え、いまでも熱いファンに支えられているようです。

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