熱心過ぎる親が子に背負わす「教育虐待」、まず親が捨てるべきは何か?
2019年7月1日
ライフ中学受験が珍しくなくなった一方で、親の過度な期待が子どもを追い詰め、「教育虐待」につながる危険性も指摘されています。元塾講師で、子どもの教育問題に幅広く携わってきたライターの中山まち子さんが、中学受験との向き合い方を紹介します。
東京では中学生の4人に1人が私立へ
「我が子をより良い教育環境で学ばせたい」と願う親は昔も今も変わりません。
しかし、親がヒートアップした結果、2016年8月には名古屋市で、中学受験をめぐり父親が子どもを刺し殺すという悲惨な事件も起きています。子どもの学歴をコントロールしようとした末に起きた悲劇です。

文部科学省の「平成30年度学校基本調査」によると、2018年度の東京の私立中学に通う生徒は7万4504人になり、東京都の中学生徒数30万85人のうち約4人に1人が私立中学に通っていることになります。
このように東京では中学受験は珍しいことではなく、一度リーマンショック後に下降した中学受験熱が再燃しています。
その背景には大きくふたつの理由が挙げられます。ひとつは、少子化に伴いひとりの子に教育費をかけられること。もうひとつは、センター試験廃止や私立大学の定員厳格化による不安で子どもを大学付属中学に早めに入学させたい親が増えていることです。
私立中学だけではなく、進学実績を上げている公立中学一貫校への受験をする小学生も増えています。
しかし、現実を見ると中学受験の準備は低年齢化しており、必ずしも子どもから自発的に受験を希望しているとは言い切れません。親が率先して中学受験への道を作ると「教育虐待」につながる危険性もあるのです。
今回は、子どもの心を潰さない中学受験との向き合い方を紹介していきます。
「あなたのため」が子どもをつぶす
都市部での中学受験に向けた塾通いは低年齢化し、小学3年の2月からスタートするのが一般的です。入試問題の難化に対応するためにも、この時期から塾通いを始めるのが理想的だといわれています。
実際に塾講師として働いていたので分かりますが、少子化のため塾業界も生き残りが激しく、生徒を早い段階で集めるために通う学年が年々下がってきている面も否めません。
正直、9歳の子どもがひとりで中学受験をする、しないを決めるのは難しく、「仲の良い友達が受けるらしい」という周囲からの影響や、親からの「中学受験した方が将来の選択肢が増える」の言葉で決めることが多いです。
子ども本人も「親の言うことなら間違いない」と思い、塾通いや家庭学習量を増やしていきますが、子どもの辛さを理解せずに親が一方的にのめり込む恐ろしさもあります。
テストを受ければ全て数値化して返却されます。思っていたより点数が取れていなければ、子どもに不満をぶつけます。これが教育虐待です。
教育虐待をする親は周囲から「教育熱心な親」「子どものために教育資金を惜しまない親」と思われ、批判されることはありません。しかし、家庭内で子どもは毎日のように親からの怒りの言葉を浴び、助けも求められずに追い詰められていくケースが少なからずあるのです。

New Article
新着記事
Weekly Ranking
ランキング
- 知る!
TOKYO - お出かけ
- ライフ
- オリジナル
漫画