牛丼チェーンから浮かび上がる「地域性」――下町の吉野家、山の手の松屋、ハマのすき家
2019年10月20日
ライフ味ではなく、量や品目でもない――。法政大学大学院政策創造研究科教授の増淵敏之さんが、牛丼チェーンから浮かび上がる「地域性」について解説します。
多様な業態を持つ「松屋」
筆者(増淵敏之。法政大学大学院教授)の自宅近所に最近、牛丼大手の松屋フーズホールディングス(武蔵野市中町)が運営するすし店「すし松」と中華料理店「松軒中華食堂」が同時に開店しました。
とんかつ店「松乃家」と「松屋」はすでにあるため、同社の拠点地区になったような趣があります。もはや牛丼のみではない、多様な業態を持つ飲食店になりました。長きに渡ってお世話になってきた愛好者としては、少々複雑な心境です。

牛丼でまず頭に浮かぶのは吉野家です。吉野家は1899(明治32)年に日本橋で創業。その後、1926(大正15)年に築地へ移転し、この場所が1号店となっていましたが。しかし、2018年に築地市場の豊洲移転に伴い閉鎖されました。近年ではメニューの多様化が進んでいるものの、いまだ牛丼主体のイメージが強いです。
しかし、吉野家はあくまでも吉野家ホールディングス(中央区日本橋箱崎町)の子会社。同ホールディングスでは「京樽」「海鮮三崎港」「すし三崎丸」の京樽、「はなまるうどん」のはなまる、「ステーキのどん」「フォルクス」のアークミールなどを傘下に収めています。2017年2月期の売り上げは連結で1886億2300円。下町を本拠地にした外食大手企業といえます。
さて松屋はというと1961(昭和36)年に東京都練馬区羽沢の住宅地に中華飯店「松屋」を開店、この店は1969(昭和44)年に閉店していますが、それに先立つ1968年に江古田に牛丼(松屋では牛めしと呼ぶ)、焼肉定食店としての「松屋」を開店させています。これが「松屋」の 1号店です。この店は現在も営業を行っており、吉野家に比べると牛丼以外のカレーライスや定食ものなどの比率が高いといわれています。

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