【都市伝説】浅草寺のおみくじは「凶」が多いってホント? 自腹で試してみた
東京人の誰しもが一度は耳にしたことがある都市伝説「浅草寺のおみくじは『凶』ばかり出る」。これは一体本当なのでしょうか。フリーライターの真砂町金助さんが実際に体験しました。本当に「凶」が多いのか 浅草寺(台東区浅草)のおみくじは、ほかと少し違う――そんな話、一度は聞いたことありませんか? しかも何度か引いたことがある人に限って、「浅草寺のおみくじは『凶』ばかり出る」と必ず言っているような気がします。 凶が多いというのは、東京人であれば半ば常識とも言えるかもしれません。そのためか、浅草寺公式サイトの「よくある質問」コーナーには、次のように書かれています。 「『浅草寺のおみくじは凶が多い』とよく言われますが、古来の“おみくじ”そのままです。また凶が出た人もおそれることなく、辛抱強さをもって誠実に過ごすことで、吉に転じます。おみくじの棒は備え付けの筒に必ずお戻しください。凶が出た方は観音さまのご加護を願い、境内の所定の場所におみくじを結んでご縁つなぎをしてください」 おみくじはどこの神社仏閣にもありますが、吉凶の割合はそれぞれ違います。何度引いても、なかなか凶に出会わないところも多くあります。実際、吉凶の割合を調節して、最初から凶を入れてないところもあるそうです。 その点、割合を古来変えていない浅草寺のおみくじは、凶に出会う確率が高いと言えるでしょう。 浅草寺における「吉凶」の割合浅草寺における「吉凶」の割合 しかし、大吉も当然入っています。浅草寺はこの割合をオープンにしていて、これまでメディアの取材に対して、100本の内訳は ・大吉:17本 ・吉:35本 ・半吉:5本 ・小吉:4本 ・末小吉:3本 ・末吉:6本 ・凶:30本 であることを語っています。 浅草寺のおみくじにおける「吉凶」の割合(画像:ULM編集部) というわけで、どうしても大吉が引きたかったら、6回引けば1回ぐらい大吉をゲットできる計算になります。 皆さんは「そこまで大吉にこだわる人なんていないよ」と思うかも知れませんが、かつてはいたのです。ちなみに一般人ではありません。浅草を愛した文豪・永井荷風(1879~1959年)です。 荷風は、浅草寺で引いた大吉のおみくじをいつも大切に持っていたと言われています。そしておみくじを引くときには、大吉を引くまで何度も引き続けたそうです。 うたぐり深い筆者(真砂町金助。フリーライター)は具体的な割合を聞いても、本当にそんなに入ってるのか気になります。こればかりは、実践してみなければわかりません。 もちろん外国人観光客は皆無 というわけで、平日に浅草寺へ行ってきました。 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国際的な観光地の浅草寺周辺は外国人観光客の姿をまったく見かけません。日本人はぼちぼち、といったところでしょうか。 ほぼ日本人しかいないという、近年ではありえないような光景が目の前に存在しています。 閑古鳥が鳴く仲見世を尻目に本堂へ閑古鳥が鳴く仲見世を尻目に本堂へ そんな浅草寺の雷門をくぐって、仲見世(みせ)へ。ここに来るとコロナ禍の影響は一目瞭然です。 2019年はどの人形焼き店も漏れなく繁盛していましたが、今は閑古鳥が鳴いています。土産物屋も同様です。 現在求められるのは観光客の呼び戻しですが、感染者数が高止まりしていることを考えると、さすがに「出掛けたほうがいい」とは言えない状況です。行こうと思っている人は、くれぐれもソーシャルディスタンス(社会的距離)を守ってくださいね。 本堂にあるご本尊・聖観世音菩薩(ぼさつ)さまに「おみくじをたくさん引かせてもらいます」とあいさつを済ましてから、いよいよスタート。早速、本堂の中にあるおみくじを引いてみます。 引いて出てきたものは…… 100円玉を積んで、「みくじ棒」の入った「みくじ筒」をガラガラと振ります。 まず出てきたのは、凶。 このまま凶が出続けるのかと思いつつ、気を取り直して2回目へ。 すると、今度は吉。 3回目は、凶。 本堂で5回引いた後、今度は境内に移動して再びガラガラと振ってみます。 結局、計10回引いてみた時点で ・吉:6枚 ・小吉:1枚 ・凶:3枚 という結果に。 これにはちょっと驚きました。なぜならこれまでの経験だと、凶を引いて悔しい思いをしながら「ならばもう一度」とやっても、再び凶だったことしかなかったのです。それが今回、10回引いたら凶よりも吉のほうが多くなったのです。 ただ、現時点で大吉はありません。ならばとさらにと2回引きましたが、吉と凶が1枚ずつ。もう少し引こうかと思いましたが、何だか薄気味悪くなり、これで終えました。 実際に出た「吉凶」の割合(画像:ULM編集部) なお最終結果は、計12回で ・吉:7枚 ・小吉:1枚 ・凶:4枚 でした。 おみくじの吉凶は、自分との「対話」?おみくじの吉凶は、自分との「対話」? この体験が教えてくれたのは、東京の「常識」として語られている「浅草寺のおみくじは『凶』ばかり出る」といううわさの否定です。 面倒な確率論を使わずとも、1000円程度で確実に吉を引くことができそうです。1万円も使えば、大吉にもきっと出会えるでしょう。 「吉凶」の割合と実際の結果の比較(画像:ULM編集部) しかしこれは、おみくじの「正しい」作法ではありません。 おみくじの吉凶は、あくまでもの自分との「対話」。プラスに書かれていることは伸ばせばいいですし、マイナスのところは注意すればいいだけの話です。 現在は大吉でも、転じて転落する可能性もありますし、大凶は「右肩上がり」しか残っていないと読むこともできます。 だいたい、大吉を引いただけで人生がうまくいくなんてことあるわけがない。筆者はかつて、神社巡りの最中に1日連続5回大吉を引いたことがありますが、特別なことは何も起きませんでした。 今回、筆者の隣でおみくじを引いていた、若い女性のふたり組はそろって凶を引いた後に、こんな会話をしていました。 「へえ、凶を引いても柱に結んでおけば、悪い運気を清めてもらえるんだね。なんて親切なんだろう」 人生はこころもち次第で、いかようにでもなるのかもしれません。 ※2024年2月13日情報修正
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