今話題の「オンライン飲み会」、1000人同時にやったら一体どうなる?
芸能人との飲み会に参加した気分になれる? 新型コロナウイルス感染拡大により東京をはじめ全国で「外出自粛」要請が続くなか、若者たちを中心に今ブームとなっている「オンライン飲み会(オン飲み)」。 パソコンやスマートフォンのカメラを通じて、家にいながら友達や会社の同僚との飲み会気分を味わえるこの新しいコミュニケーションを、企業も積極的に取り入れようとする動きが加速しています。 2020年4月25日(土)夜には、大手ビールメーカーのアサヒビール(墨田区吾妻橋)がゲスト芸能人と一般参加者1000人を招待した企画「いいかも!オンライン飲み ASAHI SUPER DRY VIRTUAL BAR」を開催しました。 乃木坂46・秋元真夏さんの音頭で乾杯したアサヒビール主催のオンライン飲み会(2020年4月25日、遠藤綾乃撮影) 今や至るところで開かれているオン飲みですが、1000人という大規模な企画には、なかなかお目に掛かれないはず。アイドルグループ乃木坂46の秋元真夏さんやお笑いコンビ三四郎のふたりなどをゲストに迎えた約1時間、記者も参加してみることにしました。 見ず知らずの人々が一堂に会するという圧巻見ず知らずの人々が一堂に会するという圧巻 開始予定時刻は18時。せっかくの飲み会ですから、ポテトチップスとポップコーン、チョコレートのおつまみを用意しました。パソコンがきちんと接続されているか、念入りにチェックしてスタートを待ちます。 今回のオン飲みに使われたツールは、テレビ会議システムとして各企業も導入を始めている「Zoom(ズーム)」です。イベント主催者からメールで送られてきたZoomの「ミーティングID」「参加用ネーム」「パスワード」を入力してログインする仕組みで、申し込みから参加まで、家にいながら全ての手続きが済みました。 18時を少し過ぎたあたりで、三四郎の小宮浩伸さんと相田周二さん、秋元さん、アサヒビールイメージガールの高田里穂さんが画面上に登場。一般の参加者たちも次々に映し出されます。 秋元さんの熱烈なファンなのか、乃木坂のCDや秋元さんの写真集を掲げて猛アピールする男性、乾杯の前からすでにおつまみを食べ、ビールを飲み始めている気ままな女性、なぜかベイスターズのユニホームを着てチームタオルを見せつける男性、芸能人顔負けの決め顔を片時も崩さない20代風の女性など、実に多彩な顔ぶれです。 芸能人と並んで、一般の参加者も表示される仕組み。同じ場所で飲んでいるような気分になれる?(2020年4月25日、遠藤綾乃撮影) とにかく、会ったこともない「普通の」人たちが一斉にモニターに表示される様は圧巻でした。普段は人見知りで大人数の飲み会が苦手な記者ですが、オン飲みなら会場の端っこでひとり取り残されてしまう寂しさがないので、ちょっと気分も大胆になります。 かつてちょっとだけファンだった小宮さんが画面に大きく映し出されたときは、つい手を振ってアピールしてしまいました。向こうから見えていたかどうかは不明ですが……。 着々と進む、オン飲み需要に応える素地作り着々と進む、オン飲み需要に応える素地作り 今回、アサヒビールが掲げたコンセプトは「会えなくたって、乾杯!」。新型コロナウイルスの感染拡大により飲み会はおろか友人と会うことさえままならなくなってしまった現状に、大手ビールメーカーとして 「数年前には成立しなかった『ビールを通じた新しいコミュニケーション』を提案することで『みんなで楽しむ、人と人とがつながる』というビール本来の価値をあらためて伝え、さらには『楽しい生活文化の創造』を目指しています」。 同社の担当者は、開催の狙いをそう話します。 飲食店の営業自粛を背景に、国税庁が期限付きの「酒類小売り販売免許」の交付を発表するなど、オン飲みでの需要に応える素地(そじ)作りは着々と進んでいます。 さらに今回の企画中には、街の飲食店が積極展開を始めているお持ち帰り(テイクアウト)の利用を促す呼び掛けがされるなど、「できることから飲食店を皆で応援しよう」という趣旨も強く感じられました。 「さすがは人気アイドル」な神対応もキラリ ところで今回のオン飲みは、一般参加者は基本的にマイクがミュートに設定されているため芸能人に直接話しかけることはできません。1000人もの参加者が一斉にしゃべったら収拾がつかなくなるので、それは仕方のないこと。 それでもオン飲みの醍醐味(だいごみ)をより感じてほしい秋元さんは、積極的にファンに語りかけ「初めてファンの方たちと顔を合わせて飲んでいます」「普段のイベントで会うのとは違う、近くに感じられるのがいいですね」という言葉でファンを喜ばせていました。 この神対応、さすがは超人気アイドルです。 誰とも知らない一般参加者が突然大写しになり、不思議な空気が流れる場面も(2020年4月25日、遠藤綾乃撮影) 途中途中に、「参加している感」をより味わえる企画がさまざま用意されていたのも、大手メーカー主催ならではの展開でした。 例えば、自分の画面の背景を任意の画像に切り替えられる「バーチャル背景」機能を利用したミニゲームは、参加者が背景画像を4種類の中から選んで表示させることでA~Dの4択に回答する多数決方式。 「三四郎にやってほしいこと」というお題では、参加者のリクエスト(多数決)に応えて小宮さんが珠玉のラブソング(サザンオールスターズの「愛の言霊」)を熱唱したり、相田さんが無音ダンスを披露したりというコミカルな一幕が参加者を湧かせました。 大規模オン飲みは積極的に「参加」してこそ大規模オン飲みは積極的に「参加」してこそ 何しろリハーサルのできない1000人オン飲みなので、進行がときどき「グダグダ」(小宮さん)になることも。 それが返って、普段見るテレビとは違う「親近感」を一般参加者に抱かせて、会はおおむね好評だったもよう。あっという間の1時間余り、ツイッターには「初めてのオンライン飲み会楽しかったー」「こういう暗い状況で楽しめるコンテンツを提供してくれるのはうれしかった」などのコメントが投稿されていました。 これだけの大人数、当初は「ただぼんやり眺めているだけで、テレビやYouTubeとあまり変わらないかな」と焦っていましたが、全員で乾杯をしたり「あっちむいてホイ」をしたりするのは、同じ時間を共有しているオンラインならでは。初めて体験する高揚感でした。 今回、主な司会進行を務めたアサヒビールイメージガール高田里穂さんも言っていたように、オン飲みは「きっとこれから先も確実に定着していく」スタイルのひとつ。ツイッターにも「文明の利器はすごいものだと実感しました」と、新しい飲み会の可能性に感心する投稿が寄せられています。 昨今しきりに「若者のアルコール離れ」が言われている一方で、こうした新しいスタイルが定着することによって、アルコールの楽しさ、飲み会の楽しさというものがあらためて見直される機会にもなるのでしょう。 アサヒビールのオン飲みは、5月4日(月)に第2回を開催予定です。アサヒ以外のメーカーも、今後ますますこうしたイベントを開催するようになっていくでしょう。ひいきのメーカーや大好きな有名人が参加する大規模オン飲みを見つけたら、あなたも参加を申し込んでみるのはいかがでしょうか。
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