【受験生の夏2020】首都圏の中学受験生に「売れっ子芸能人」ばりのハードスケジュールが待ち受けているワケ
通学習塾不可能だった首都圏の小学生たち 2020年の夏、東京はオリンピック・パラリンピックが開催される予定でした。 しかし新型コロナ禍により、事態は急変。オリンピック・パラリンピックは延期が決定し、1年前には誰も想像しなかった状態となっています。 中学受験のイメージ(画像:写真AC) さまざまな場面で多大な影響を及ぼしている新型コロナ禍ですが、中学受験を控えた小学6年生や教育産業も例外ではありません。 東京や神奈川の中学受験入試の解禁日は2月1日ということもあり、中学受験を目指す子どもたちが通う学習塾では新年度スタートを2月と設定しています。 新型コロナ禍が深刻だった首都圏の大手学習塾は、緊急事態宣言が出た4月から5月末まで対面式授業を休止。宣言発令以前の3月に学校自体が休校となっていたこともあり、休校措置や対面式授業からオンライン授業や動画配信に切り替えた学習塾もありました。 そのため受験生は不安定な状況下での勉強を強いられており、「受験の天王山」ともいわれる夏休みまでに通学習塾できたのは、2月と6月以降のみでした。 学校と学習塾両方が夏にある中学受験組学校と学習塾両方が夏にある中学受験組 例年7月下旬から本格始動する学習塾の「夏期講習」は、本番の入試まであと約半年ということもあり、志望校合格に向けて子どもたちが夏休み返上でラストスパートをかける重要なイベントです。 中学受験のイメージ(画像:写真AC) ところが、2020年夏は3月から5月にかけての臨時休校措置による授業数不足を補うため、多くの自治体が夏休みの短縮を決定しています。 そのため、受験生は学校に通いながら夏期講習にも参加するという、大人顔負けの超ハードスケジュールで7月から8月を駆け抜けなければなりません。 起床して学校に行き、帰宅後、夏期講習を受けるため学習塾へ。日によっては20時30分や21時過ぎまで勉強し、帰宅したらすぐに就寝。このようなスケジュールを繰り返すことになります。 学習塾は例年同等の授業時間を確保 7月20日頃から8月末まで夏休みとする学校が多い東京都では、例年40日以上ある夏休みを23日間前後に短縮しました。 文京区などでは8月1日(土)から23日(日)までとしていますが、足立区や大田区のように16日間と、ほかよりも1週間程度短い区もあります。 中学受験のイメージ(画像:写真AC) 7月中は学校があるため、学習塾が午前中や午後の早い時間から授業を行うことは難しくなっています。しかしそれを理由に授業を大幅に短縮したり、時間を減らしたりすることは避けたい状況で、多くは例年と変わらない授業数を確保しています。 通学に支障のない配慮が求められている通学に支障のない配慮が求められている 毎年男女御三家に多くの合格者を送り出している大手「SAPIX」の6年生の日程は、2019年と同じ全18日間です。 ただ学校があることも考慮し、2019年は13時や15時スタートだったところを16時にしたり、100分授業を90分にしたりするなどして対応しています。 中学受験のイメージ(画像:写真AC)「日能研」は6年生の夏期講習を全30日とし、トータルで例年の夏期講習と同じ120コマを確保。学校がある日とない日によって授業開始時間をずらし、通学に支障のないよう配慮しています。 「四谷大塚」や「早稲田アカデミー」は校舎にもよりますが、学校のない日は午前中から授業を行い、学校のある平日は午後からという日程を組んでいます。 夏期講習の料金は15万円オーバー 早稲田アカデミーは新型コロナ禍の影響で伝統の夏期合宿を中止し、その代わりに5日間に及ぶ集中特訓を設置。 初日の8時30分からの開校式から始まり、昼食や休憩を挟んで18時20分に終わるこの特訓は、私国立中受験コースの授業料が会員生で6万7000円、一般生が7万円となっています。 中学受験のイメージ(画像:写真AC) 日能研のように夏休み全般に夏期講習を行う学習塾でも、SAPIXや四谷大塚と早稲田アカデミーのように夏期講習と特訓を合わせる学習塾のどちらも授業料は15万円を軽く超し、場合によっては20万以上かかるケースも。 親子ともども心身の健康を親子ともども心身の健康を 前述の通り、各学習塾は学校があることを踏まえた時間設定としていますが、7月中や8月に学校が再開すると、これまでのように ・午前は宿題や予習復習を行い、午後から学習塾へ行く ・午前から学習塾に行き、自習する ということができなくなります。 中学受験のイメージ(画像:写真AC) 例年並みに宿題や課題を出すと学校生活に支障をきたす可能性もあり、学習塾は難しい判断を迫られています。 また子どもは疲労がたまって体調を崩したり、精神的に追い詰められたりする可能性も否めません。 普段通りの生活を送りながら夏期講習をこなしていくには、親子そろって心の余裕を持つ必要があります。 年度始めからさまざまなことが起こり、思い描いたような学習計画が立てにくい状況ですが、志望校に向かって頑張る子どもを励まし、時には息抜きタイムを準備するなどして、2020年夏を乗り切ってください。
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