猫と一緒なら新型コロナ禍も明るく楽しく過ごせる?【連載】月刊 猫を読む(3)
猫もしゃくしも、コロナ一色 吾輩はビールである。 人間の体を構成している細胞は、毎日食べている食事が元になっています。そして、その細胞はおよそ半年に1回生まれ変わると言われています。筆者は本屋を開店した日から欠かさず毎晩ビールを飲んでいるので、「吾輩はビールである」と言っても過言ではないでしょう。あるいはビール腹とも言います。 猫本専門書店「キャッツミャウブックス」の猫たちと今回紹介した本(画像:安村正也) そんな『吾輩はビールである』(廣済堂出版)は、猫本のタイトルでもあります。食の第一人者である小泉武夫先生が、ビールの歴史からおいしい飲み方までのウンチクを語るこの本。表紙はおもいっきり犬ですが、本家『吾輩は猫である』とビールとの関わり(ネタバレ)を頭に入れて読めば、間違いなく猫本であることが分かります。 新型コロナウイルスと、無関係なふたつの「コロナ」新型コロナウイルスと、無関係なふたつの「コロナ」 さて、ビール好きにとって最近の悲しい出来事と言えば、風評被害によってコロナビールの売り上げが減少しているという話。一方で、「祈りに力を与え、メシア到来に備えるため、コロナビールを飲みなさい」と信者に説いているユダヤ教の指導者もいるとか。そう、いずれも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に端を発した、「なんでやねん」的なニュースです。 猫本専門書店「キャッツミャウブックス」の猫たちと今回紹介した本(画像:安村正也) ビール好きが「コロナ」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、この「コロナビール」ですが、大半の人が連想するのは「太陽コロナ」かも知れません。 もしも、「それ、なあに?」という方がいらっしゃれば、『ネコ博士が語る 宇宙のふしぎ』(徳間書店)を手に取ってみましょう。宇宙にまつわるあらゆることについて、児童から老人にまで分かりやすく、レトロでおしゃれなイラストのネコ博士が解説してくれる大型絵本です。本当に大型なので、ちょっとした武器にもなります。 まさに、太陽コロナのような「丸い光の輪」や「王冠」を意味するラテン語の「コロナ」がコロナウイルスの名前の由来になっているわけですが、顕微鏡写真による新型コロナウイルスの形状は、脳裏に刻み込まれて、もう忘れることができなさそうです。こんなことはエヘン虫を見たとき以来でしょうか。 ところで、猫はなぜ突然姿を消すのかところで、猫はなぜ突然姿を消すのか 当たり前ですが、王冠は王がかぶるもの。新型コロナウイルスみたいな王冠があれば、それは地獄の王のものでしょう。そして、猫にも王がいます。『猫の王 猫はなぜ突然姿を消すのか』(小学館)によると、古くから日本には、突然姿を消した猫は猫岳に登って「猫の王」になるという伝承があるそうです。 猫にも社会があって猫の王が存在するという考えは、日本だけでなく、アイルランドを中心としたイギリス諸島にもあり、昔話としてもたくさん残されています。 なんでもない飼い猫が「ある名前の者が死んだらしい」と飼い主の人間から聞かされると、「自分はその者の跡を継ぐべき王である」と告げて出て行ってしまうという展開が典型的なパターンのようですが、『猫の扉 猫ショートショート傑作選』(扶桑社)に収められているイギリス民話「猫の王様」を読むと、自分の家にいる猫も実は王なのではないかと、いつも以上に下僕の気分にさせられます。 猫本専門書店「キャッツミャウブックス」の猫たちと今回紹介した本(画像:安村正也) そもそも、猫と暮らしている人間にコロナウイルスの名前は、致死率の高い猫伝染性腹膜炎(FIP)を引き起こす可能性のある「猫コロナウイルス」としてよく知られています。そのため、恐ろしいウイルスというイメージがすでにあるのですが、もっと恐ろしいのは、鳥インフルエンザのようにヒトにも感染する、猫インフルエンザのウイルスが生まれることでしょう。 それでも避けがたい、猫との「濃厚接触」それでも避けがたい、猫との「濃厚接触」 そんな想像もしたくない事態を40年以上も前に描いていたのが『猫の町』(群像社)。クリミア半島の架空の町である夜、人間が猫に襲われ、猫インフルエンザウイルスが見つかると、検疫のため町は封鎖、住人たちは猫を殺し始めるという、映画化は絶対にしてほしくない内容の小説です。 ところで、どなたも興味はないでしょうが、ここで筆者が「コロナ」と聞いて思い出すことを発表します。 それは、石油コンロやストーブで有名な株式会社コロナ(新潟県三条市)。テレビCMの「コ・ロ・ナ♪」の声が常に脳内再生されています。季節はもう春ですが、『ぬくぬく、ぽかぽか、あったかにゃんこ』(ジーウォーク)には、こたつやストーブ、ホットカーペットなどで気持ちよさそうに温まっている猫たちの写真が満載ですので、ぜひ見てほっこりしてください。 最後に、新型コロナのせいで「猫の目のよう」に世の中が変わるなか、筆者はマスクと猫のことばかり考えています。『マスクねこと猫のことわざ&慣用句』(主婦の友社)にもある「猫の子一匹いない」ような町にも、早く人が戻って来られる状況になりますように。切に願いながら、今日もビールで咽喉をアルコール消毒し、店員猫たちと「濃厚接触」することにします。
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