募金できる自販機があった ジュースついでに気軽? 制作背景を聞いた

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募金できる自販機があった ジュースついでに気軽? 制作背景を聞いた

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アーバンライフ東京編集部

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募金に協力したいけれど勇気が出ないという人に、ぴったりの方法があります。その仕組みを作ったのは仙台市のNPO法人でした。

ジュースを買ったおつりで募金ができる

 人通りの多い路上や駅構内で日々行われる募金活動。本当は協力したいけれど、周囲の目が気になるから……と感じている人は少なくないのではないでしょうか。そんな人にぴったりの寄付方法が実はあるんです。

 それは、NPO法人ハートフル福祉募金(仙台市)が展開する、募金機能の付いた自動販売機「ハートフルベンダー」です。ジュースを買ったついでに、他人の目を気にせず募金ができる「ハートフルベンダー」は先日、若者に人気の動画共有アプリで話題となりました。

都内に設置された「ハートフルベンダー」(2019年4月19日、國吉真樹撮影)



「ハートフルベンダー」は硬貨の投入口の上に「10円」と「100円」の2種類のボタンがあり、このボタンを押した数だけ募金ができます。例えば、200円を投入し、140円のジュースを買ったあと、「10円」ボタンを6回押せば、おつりの60円が寄付できるという仕組みです。2回押せば20円の募金。その後、返金レバーを下げれば、残りの40円が釣り銭口から出てきます(機器ごとに仕様が異なるケースあり)。もちろんジュースだけの購入や、募金だけもできます。

 集められた募金は、ハートフル福祉募金が集計し、「赤い羽根」のマークで知られる共同募金会を通じて、各種福祉や社会事業団体に配分。社会福祉や地域福祉などに使われます。

募金総額が「右肩下がり」という現状

 ハートフルベンダーはどのような経緯で作られたのでしょうか。ハートフル福祉募金専務理事の髙橋靖雄さんに聞きました。

ーーハートフルベンダーの取り組みはいつ始まったのですか。

 2005(平成17)年です。宮城県共同募金会(仙台市)の会合で出たアイデアが元になっています。共同募金運動の期間は通常、毎年10月1日から翌年3月31日までの6か月間ですが、それを年間通してやれたらいいねと。

ーー自動販売機に募金機能を付けるアイデアは、どのように出てきたのですか。

 その時、宮城県共同募金会の副会長を務めていたのが、現在、ハートフル福祉募金で理事長務める佐藤隆雄でした。その佐藤が、事業所向けに自動販売機を展開する企業の代表と知り合いで、そこからアイデアが出たんです。アイデアが出てから8か月をかけて、機械メーカーと自動販売機に取り付ける専用のソフトウェアを開発しました。第1号機が設置されたのは2006年4月。場所は、東北福祉大学(同市)の学生食堂でした。

ーーアイデアが出たそもそもの理由は何ですか。

 募金総額そのものが減少し続けていることが背景にあります。中央共同募金会(千代田区霞が関)のデータによると、1995(平成7)年をピークに募金額が下がり続けているのです。

ーーその理由は。

 世の中が不景気だったり、「赤い羽根」以外の団体を支援する人が増えたりしたからです。そのほかにも、街頭募金を名乗った詐欺事件が起こるなど、募金のあり方を問う声が出てきたことも関係しています。われわれは、そのような不透明性さへの疑問に応えたかったんです。

募金した募金は全額、共同募金会へ

ーーハートフルベンダーは都内に何台設置されているのでしょうか。

 2018年12月時点で21台で、全国では824台です。ハートフルベンダーの8~9割は建物の屋内に設置されています。そのため、設置は現在、その建物や企業のオーナーの好意に依るところが大きいです。街角にもっと増やしていきたいですね。

ーー都内はどこに設置されているのでしょうか。

 屋内に設置されているケースが多いため、具体的な場所は公表していませんが、見かけたらぜひ募金してもらえるとうれしいです。

ーー募金したお金の何%が共同募金会に行くのでしょうか。

 全額です。手数料は一切引かれません。100円を募金したら、100円そのままが各都道府県の共同募金会に募金されます。手数料が引かれない理由は、NPOの運営費を自動販売機の運営会社が負担しているためです。

 募金は、NPOの指定業者である各自治体の企業が商品の補充などの際に回収しています。金額はハートフル福祉募金のホームページで報告しています。

「ハートフルベンダー」の募金の仕組み(画像:ハートフル福祉募金)



ーー動画共有アプリで話題になったことについて、どのようにお感じになられますか。

 一般人が地元の教会やNPO活動へ募金をする文化がある欧米と比べ、日本は募金に対して、まだ「恥ずかしい」という気持ちが強い。ですから(動画共有アプリ)で取り上げられることで、認知度が上がり、募金が増えたらうれしいですね。

※ ※ ※

 従来の募金のイメージを払しょくしようと作られたハートフルベンダー。街角で見かけたら、一度トライするのも面白いかもしれません。

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