音楽とビールの街・中野の盆踊りへ! 2022年開催予定の人気盆踊り大会情報も

  • おでかけ
  • 中野
音楽とビールの街・中野の盆踊りへ! 2022年開催予定の人気盆踊り大会情報も

\ この記事を書いた人 /

アーバンライフ東京編集部のプロフィール画像

アーバンライフ東京編集部

編集部

ライターページへ

待ちに待った夏祭りの季節がやってきました。コロナ対策で引き続き中止する自治体が多い中、地域振興のため3年ぶりの開催を予定している人気盆踊り大会もいくつかあります。今回は数年前に“盆ジョヴィ”が有名になった中野駅前大盆踊り大会を中心に、7/15時点で開催が予定されている人気の盆踊り大会についてご紹介します。【最新の開催情報は公式サイトでご確認ください】

民謡と舞踊による祈りの空間のアップデート

 櫓(やぐら)を囲んで同じ動作を繰り返す盆踊り。幼い頃に住んでいた土地で振付を覚えた方もいるのではないでしょうか。風に漂う屋台の匂いや、提灯の連なる光、和太鼓や笛の音。昼間の暑さ和らぐ夏の夕暮れに五感を刺激する夏の風物詩です。

 浴衣に草履や下駄といったレトロで新しいファッションに身を包み、祭りという非日常空間に身を任せれば、自然と身体が動いてしまうもの。浴衣デザインの多様化とともに、踊らなくても音楽フェス感覚で楽しめると数年前から若年層を中心に人気が高まっています。

モダンな浴衣に身を包みBON DANCEを楽しむ人々(画像:中野総合研究所リリースより)



 今回ご紹介する「中野駅前盆踊り大会」では、関東を中心とした各地の伝統的な音頭のほかにも、“和製ディスコ”といった趣きで、DJの選んだポップスに合わせ盆踊りを踊ることでも有名です。また、録音された音楽を流す盆踊りが多い中、生演奏にこだわっている点も特徴です。

2022年の中野駅前大盆踊り大会

 「中野駅前大盆踊り大会」は、2013年から毎年開催されており、2022年で10周年を迎えます。コロナ前の2019年には2日間で約2万人を動員する人気のイベントでした。2020年には規模を縮小し、2021年にはオンラインイベントとして開催。

 今回3年ぶりに地上道路を通行止めにして開催されるとあって、ギネス世界記録への挑戦を予定するなど、盛り上がりを見せています。参加型企画の内容は、「東京音頭」を浴衣姿の一般客3,000人で踊るというもの(※要予約、事前練習あり)。

公式サイトでは動画で振付を予習できる(画像:中野総合研究所リリースより)

 東京音頭は、1923(大正12)年に関東大震災、1929(昭和4)年には世界恐慌がおこり、不況に苦しんでいた日本経済を景気づけるため、1932(昭和7)年に誕生した側面があるのだそうです。作詞は童謡『かなりや』の西條八十、作曲は『シャボン玉』の中山晋平です。

 近年では東京オリンピックの閉会式でも取り上げられ、形を変えて長くヤクルトスワローズやFC東京の応援歌としても歌い継がれてきた曲ですので、地方出身の方であっても耳にしたことがあるかもしれません。

中野駅前大盆踊り大会の人気の秘密

 中野駅前大盆踊り大会の主催は、民謡の担い手「日本民踊鳳蝶(あげは)流」の家元が運営する中野区民謡連盟が中心となって構成された実行委員会です。「中野ブランドの確立」や、「盆踊りを通じて民謡や和楽器生演奏の良さを広く継承すること」を目的としています。

 それだけに、毎年中野にかかわる著名人を招いたり、J-POPやディスコ曲等を古典の盆踊りと同じ振付で踊ったりと、地元民以外でも楽しめる工夫が凝らされています。

 以前から『ダンシング・ヒーロー』やアニメ曲のテープに合わせて踊るといった盆踊りは各地で行われていましたが、中野駅前盆踊り大会の新しさは、伝統的な盆踊りと革新的なDJイベントが融合している点でした。踊りを知っている人だけが参加できるものから、誰でも音楽を楽しみ一体感を感じられる場へと間口を広くしたことで、地域の振興とともに人の集まる祝祭空間としても機能し、中野区大和町八幡神社の例大祭大盆踊り会とともに、「開かれた中野」を印象付けました。

和太鼓や三味線、民謡の歌い手のライブ演奏が生み出すグルーヴ(画像:中野総合研究所リリースより)

 過去の盆ディスコ企画では、DJとしても活躍しているお笑いコンビ「エレキコミック」のやついいちろうさんやDJ KOOさんなどが出演。2018年には、ボン・ジョヴィの曲で盆踊りを踊る「盆ダンス」動画についてアーティスト本人がコメントしたことでニュースになりました。今回のゲストは未公表ですが、2日目の8月7日(日)に実施が予定されています。

【過去に盆ディスコで流れた楽曲】

  • きゃりーぱみゅぱみゅ『PON PON PON』
  • Perfume『Baby cruising Love』
  • 黒うさP(feat.初音ミク)『千本桜』
  • TRF『EZ DO DANCE』
  • BONJOVI『Livin’ On A Prayer』など
  • ※「日本民踊・盆踊り『鳳蝶流』YouTubeチャンネル」にて一部振付の解説動画が見られます

     また、東京都心という移住者の多い街だからこそ、さまざまな地方の伝統民謡が演奏されるのも魅力。日本三大盆踊りのひとつとして名高い岐阜の「郡上おどり」をはじめ、福岡の「炭坑節」、大阪の「河内音頭」、青森の「黒石よされ」「黒石じょんから」、鹿児島の「鹿児島おはら」など、各地の伝統楽曲の演奏が予定されています。

     とはいえ、地元中野区民のためのイベントではないのかといえば、そうではありません。通称「中野音頭」と呼ばれる中野区民歌謡もしっかりと継承しています。

     中野区民歌謡は、1968(昭和43)年、美空ひばりの『柔』や『悲しい酒』などの作曲を手掛けた古賀政男さんによって制作されたもので、区歌が代替わりしても、中野音頭は変わらず区民に愛されてきました。

     このように多様性が混在できる懐の深さと柔軟性は、中央線や東京メトロ東西線など各線が通り、新宿まで自転車圏内でもある中野という土地の特性によるところが大きいのかもしれません。

     周辺にはイベント参加に積極的な飲食店や居酒屋、各国料理のお店も豊富。グローバル企業であるキリングループ本社も移転し、年々人の流れが多くなっている地域でもあります。隣駅はアーティストや舞台人の多い高円寺であり、1957年から8月下旬に「東京高円寺阿波おどり」が開催されていることでも有名です。

    また、サブカルの聖地「中野ブロードウェイ」やアイドルライブでおなじみの「中野サンプラザ」などがあることで、文化の混交に寛容な土地柄が醸成されているともいえます。

    ほかにもあります! 都内の人気盆踊り大会

     ここからは2022年の実施が決定している人気の盆踊りを中野の他に5つご紹介します。

     新型コロナ感染対策として屋台の出店を中止したり、人数制限のためチケットの事前予約が必要なものもありますので、詳しくは事前に公式サイトで最新情報をご確認ください。

    中野第大踊り大会では屋台も出店する予定(画像:photoAC)

    8月3日(水)~6日(土)築地本願寺納涼盆踊り大会

     各日2,700名限定チケット購入が必要です。申込期限は7月20日まで。(「築地本願寺YouTubeチャンネル」でもライブ配信あり)

     例年は築地場外市場からさまざまなグルメが出店され「日本一美味しい盆踊り」と呼ばれています。3日目には仮装大賞も。(今年はどちらも休止)

    開催場所:築地本願寺
    アクセス:東京メトロ日比谷線 築地駅より徒歩1分、有楽町線 新富町駅より徒歩7分

    8月4日(木)〜6日(土)サンシャインシティ納涼盆踊り大会

     アルパの4F屋上に櫓が組まれます。例年は専門店の屋台が出店しています(今年は休止)。

    開催場所:サンシャインシティアルパ屋上 サンシャインガーデン
    アクセス:東京メトロ有楽町線 東池袋駅すぐ、JR山手線、西武池袋線 池袋駅より徒歩9分

    8月6日(土)・7日(日)中野駅前大盆踊り大会

     1日目にギネス挑戦、2日目に各地の音頭の演奏やゲストDJによるステージが行われます。

    開催場所:中野セントラルパーク北側通路一帯
    アクセス:JR中央線、東京メトロ東西線 中野駅より徒歩1分

    8月12日(金)~14日(日)神田神社納涼祭 盆踊り

     1日目にアニソン盆踊りが行われ、2日目は千代田区民謡、3日目に浜町音頭が行われます。過去にはDJ KOOさんが出演したり、最新テクノロジーを駆使した提灯が飾られるなど、さまざまな楽しみ方ができる盆踊りです。

    開催場所:神田神社
    アクセス:東京メトロ銀座線 末広町駅より徒歩4分、JR御茶ノ水駅より徒歩5分、JR秋葉原駅より徒歩9分

    8月26日(金)・27日(土)中央区大江戸まつり盆踊り大会

     広々とした敷地で行われる都内最大級の盆踊り。例年はさまざまな地方の音頭や『バハナ・ママ』(振付:炭坑節)など近年の定番曲などが演奏され、アンテナショップの出店なども行われています。(今年は休止)

    開催場所:浜町公園
    アクセス:都営新宿線 浜町駅より徒歩1分

    ご紹介したもの以外にも、人気の高い盆踊りはたくさんあります(画像:photoAC)

    おわりに:盆踊りの楽しみ方

     「お盆」はご先祖様の霊が戻ってくる期間と言われています。つないできた命があるからこそ、と感謝の気持ちで弔い、これからの未来を元気に生きていく力をいただくといった儀礼的な側面があるのです。

     東京音頭が作られた背景に未曽有の不況からの景気づけがあったように、疲れてしまった心を潤すため、盆踊りという非日常空間を味わいに出かけてみませんか?

    楽しみ方は人それぞれ。近所の小さな盆踊り大会を静かに眺めに行くのもオツです(画像:photoAC)

     公式サイトにはさまざまな振付を解説した動画がピックアップされています。どれかひとつでも予習してから参戦するもよし、当日知っている曲がかかったらまずは見よう見まねでなんとなく混ざってみるもよし。もちろん踊らず、和太鼓や三味線の生演奏ライブを聴いているだけでも風流ですよ。さまざまな楽しみ方ができる夏の風物詩をお見逃しなく。

    【楽しむポイントまとめ】

  • 踊りの基本動作を予習する
  • 当日見よう見まねで踊りの列に参戦してみる
  • 民謡はもちろんオリジナル曲やご当地音頭の演奏を聴く
  • フェス感覚でライブ演奏のグルーヴを楽しむ
  • さまざまな浴衣ファッションに注目する
  • 屋台グルメには近隣店からの出店も
  • 参考
    ・中野駅前大盆踊り大会実行委員会公式サイト
    ・中野駅前大盆踊り大会公式インスタグラム
    ・中野総合研究所プレスリリース
    第10回中野駅前大盆踊り大会 東京音頭を踊り「ギネス世界記録® 町おこしニッポン」に挑戦しよう
    ・オマツリジャパン
    ・佐藤智彦『東京盆踊り天国』ヤマケイ新書(2022年刊)

    関連記事