トレンド発信地「代官山」に、拍子抜けするほどオーソドックスな弁当店ができたワケ

代官山の並木橋交差点の近くに、ひときわ異彩を放つお弁当屋さん「TOKYO BENTO STAND」があります。とりわけ目を引くのは、ハンガーに吊るされたお弁当。どんなお店なのでしょうか。


昔ながらの定番弁当を、「TOKYO STYLE」にアレンジ

 渋谷と代官山の間、おしゃれなショップやカフェが散見される並木橋交差点界隈。そこに、小さいながら異彩を放つ店構えのお弁当屋さん「TOKYO BENTO STAND」(渋谷区猿楽町)が2019年8月末にオープンしました。

「TOKYO BENTO STAND」のディスプレイ(2019年10月9日、宮崎佳代子撮影)



 とりわけ目を引くのが、お弁当サンプルのディスプレイ。ハンガーに吊るされていて、その下に、洋服用のタグが値札がわりに置かれています。「SIZE」欄にはお弁当の大きさに合わせて「REGULAR」「LARGE」の表記、「QUA(クオリティー)」欄には「DELICIOUS(おいしさ) 100%」と書かれているなど、遊び心がたっぷり。

 店は、昔よく見かけたラーメン屋さんなどが配達時に使っていた岡持ち(アルミ合金製の箱)をモデルとしたかのような佇まい。言われないと気づきにくいのですが、扉はふたつ折りにして天井部分に半分押し込める作りになっており、カウンターやイートイン用のスタンドなど、大部分にアルミ合金が使われています。

 昔ながらのものを「現代風」に、店長の西村 章さん曰く「TOKYO STYLE(東京風)」にアレンジしているのがこの店の個性といえるでしょう。

 固定メニューは、サケ弁当、のり弁当、唐揚げ弁当、しょうが焼き弁当、焼き肉弁当、ミックスフライ弁当、東京弁当(幕の内)。スタイリッシュな店の様子からは拍子抜けするほど、そのラインナップは、お弁当屋さんの「王道メニュー」に徹しています。

 容器は白で、ご飯の上にはゴマと小梅。「お久しぶり」と言いたくなるような懐かしさもありながら、その中身にきちんと彼らのオリジナリティーをもたせていて、おかずの種類が多く、彩りも計算されています。

 ディスプレイにひとつだけ、ご飯の上にクエスチョンマークがついたものがあり、これが月替わりメニュー。10月は「赤魚の西京味噌漬け焼き」(880円)で、お客様から「ラインナップに焼き魚が欲しい」のリクエストに応えたものだそうです。

お弁当といえば日本茶! お茶もこだわり満載

 お弁当屋さんながら、Tシャツや帽子、ロゴ入りキーホルダーなど物品のお土産コーナーがあるのも斬新。パッケージに寿司屋の折詰にぶら下げて持てるように紐がついているものがあり、「昭和の酔っ払い」の姿を懐かしく思い出しました。

 販売されている飲み物は、やっぱり「お茶」。

ICE緑茶 280円(画像:TOKYO BENTO STAND)



 昭和を追求するのであれば、新幹線で提供されていた、コップ替わりになる蓋のついた四角い容器(持ち手のついたもの)で提供してもらいたいところでしたが、「探したんですけどね、製造しているところがなくて、特注したら高くなるのでやめたんです」と西村店長。

 しかしその分、クオリティーにかなりこだわっています。

 かつて、東京の水道水がカルキ臭が強くおいしくなかった頃、東京で作られるお茶は、焙煎の強い茶葉を使ってそこをカバーしていたそうです。しかし、今は水質が向上して東京の水がおいしくなったため、その味わいを活かす焙煎具合の茶葉を使い、味わいを設計したそうです。熱いお茶と冷たいお茶とでも茶葉の焙煎具合を変えており、水出し緑茶もあります。緑茶のほかにほうじ茶と玄米茶もあり、西村店長曰く、「どれも自慢のお茶」だそうです。茶葉は静岡産を使っています。

 同店のオーナーは、anea design(港区白金)代表取締役CEOで、クリエイターの横町 健さんです。横道さんは、都心部に4店舗カフェを展開しているほか、塊根植物ブームの火付け役となった「BOTANIZE(ボタナイズ)」のオーナでもあります。

 店舗デザインおよびロゴを手掛けたのは、アートワーク事務所のナイジェル・グラフ(千代田区神田西福田)。雑誌「POPEYE」や「BRUTUS」のカバーアート、NIKE JAPANなどのアートディレクションも手掛ける気鋭のアーティストです。「TOKYO BENTO STAND」は、そのセンスが至るところで感じられます。

 それにしても、横道さんはおしゃれなカフェやレストランが多数集まるエリアでなぜ「お弁当」に目を向けたのでしょうか。

意外と多い、代官山の「ランチ難民」を救うために開業

 横道さんは同店の開業に至った経緯を次のように話します。

anea design代表取締役CEOの横町 健さん(2019年10月9日、宮崎佳代子撮影)



「理由はシンプルです。この建物(2階に「BOTANIZE」がある)の1階がカフェだったのですが、そこが空いたので何かやろうかと考えました。そこで、この近辺にオフィスを持つ知り合いのカメラマンやアパレル関係者に、どんな店があったら便利かを聞いてみたんです。そしたら、『ランチ難民』になる人が意外と多いことがわかり、ならばお弁当をやろうと思いました」

 周囲のリクエストは、コンビニにあるような目新しいものより、「昔ながらのお弁当を食べたい」というものだったそうです。

「そのなかで、誰もが好きと思われる定番のメニューを選びました。人は食べなれたものやメニューへの愛着があって、そういったものには食べ飽きることがないですよね。子どもの頃にお弁当を持って学校に通っていた人が、ピザを毎日食べられるかというと、難しいと思うので」(横町さん)

 そのニーズが店全体のコンセプトとなっていることがよくわかりました。

 お弁当の価格は680円〜1200円で、800円台が中心価格帯と少々高め。しかし、東京弁当を食べてみたところ、穴子の天ぷらがボリューミーな満足感に加えて、味わいの異なるおかずを少しずつ色々楽しめるため食べ飽きることがなく、素直に「また食べたい」と思える内容でした。他のメニューもおかずの種類が多めで、最も安いのり弁当には、白身フライ、ちくわ天、肉団子、キンピラゴボウ、煮物、魚のすり身ののり巻きなどが入っています。

 店内に、ゆっくりと落ち着いてお弁当を食べる時間のない人たち向けに、「早弁用コーナー」があるのも今どき。他方、西村店長の夢は、東京駅や品川駅の新幹線乗り場近くで「TOKYO BENTO STAND」のお弁当を販売することだそうです。今どきでありながら、古風な感覚も合わせ持つ。素敵なお弁当屋さんでした。

●「TOKYO BENTO STAND」 概要
・場所:東京都渋谷区猿楽町2-3 corpo amagi 1F
・営業時間:平日 11:30〜18:00 ※お弁当はなくなり次第販売終了
・休館日:土日祝
・アクセス:東急東横線「代官山駅」から徒歩約8分


「TOKYO BENTO STAND」のお弁当ラインナップ(11枚)

画像ギャラリー

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