都内「空き店舗」にトレカショップが次々と入居し始めている理由

近年拡大しているトレーディングカードゲーム市場。その背景には何があるのでしょうか。文殊リサーチワークス・リサーチャー&プランナーの中村圭さんが解説します。


新業態や大型店舗が次々に登場

 トレーディングカードゲーム(TCG)の人気がここ最近、急上昇しています。TCGとは「異なる点数や価値のついたトレーディングカードを組み合わせて出し合い、勝負を争う遊び」(デジタル大辞泉)で、都心の繁華街の雑居ビルや商業施設では、新型コロナウイルス感染拡大の影響でテナントが抜けているものの、一方でTCG人気を追い風にトレカショップが次々に増えています。

都内の空き店舗イメージ(画像:(C)Google)



 2021年7月には、秋葉原に国内最大級のポケモンカード専門店「晴れる屋2」がオープンしました。また9月には、ゲームセンター「アドアーズ秋葉原店2号店」が入店していたビルに専門店「トレーディア」(ともに千代田区外神田)がオープンしました。

 そのほかにもカフェ併設の「トレーディングカードショップ Clove Base 秋葉原」(同区神田佐久間町)や、渋谷パルコ内にある国内最大級の「SPORTS CARD &CARD GAMES SHOP MINT 渋谷店」(渋谷区宇田川町)など、新業態や大型店舗が次々に登場しています。

 さらにはカードゲーム系ユーチューバーが運営するショップがオープンするなど、都心におけるTCG関連の新規店舗のニュースは枚挙にいとまがありません。

 世界中で古くから楽しまれているTCGといえば、米ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の「マジック:ザ・ギャザリング(MTG)」です。国内では1996(平成8)年の任天堂「ポケットモンスター(ポケモン)」をカードゲーム化した「ポケモンカードゲーム」の登場からその歴史は始まり、1999年にはKONAMIから「遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム(遊戯王OGC)」が販売されています。

 遊戯王はもともと週刊少年ジャンプに連載されていた漫画で、作品中に登場するさまざまな遊びのなかのひとつであるカードゲームから火が付きました。アニメの人気もあって、幅広い層に人気が拡大。販売枚数がギネス世界記録に認定されるほどの世界的なブームとなりました。毎年、世界大会も開催されています。

 この人気を受けてタカラ(現タカラトミー。葛飾区立石)はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社とタッグを組んだ「デュエルマスターズ」を販売。こちらもアニメ化されて人気を呼びました。

 また、2007年にはトレーディングカードゲーム専門企業であるブシロード(中野区中央)が設立され、アニメ化もされているTCG「カードファイト!! ヴァンガード」や「フューチャーバトル バディファイト」、さまざまなアニメのキャラクターがクロスオーバーして対戦するTCG「ヴァイスシュヴァルツ」など多くのTCGを生み出しています。

 このほかに、アーケードゲームでも「WCCF FOOTISTA」「三国志大戦」「戦国大戦」「艦これアーケード」など、さまざまな人気ゲームが登場しています。

親子2世代で楽しむケースも

 日本玩具協会(墨田区東駒形)によれば、カードゲーム・トレーディングカードゲームの市場規模は2020年度で1222億4千万円となっており、玩具市場規模全体(8227億5600万円)の約15%のシェアとなっています。

カードゲーム・トレーディングカードゲーム市場規模トレンド。国内玩具市場規模/(一社)日本玩具協会より作成(画像:中村圭)



 この数値はトレーディング要素のないカードゲームも入っているため、一概にはTCGの市場規模とは言えませんが、ホビー市場の中でも存在感のある分野と言えるでしょう。

 2019年度の市場規模は1133億300万円であり、対前年度比7.9%の増加となりました。2017年度までは900億円前後の市場規模を維持していましたが、2018年度以降は増加の一途となっています。コロナ禍でも市場拡大傾向にあると言えるでしょう。

 TCGはMTGや遊戯王など、販売から数十年を経過しても遊ぶ人が途絶えず、一定の人気を維持し続けているものが多くあり、ファンの息が長い特徴が挙げられます。カードゲームなので簡単に始められる手軽さの反面、やり込めば大人が楽しめる戦略性があり、次々にブースター(拡張)パックが売り出されることで戦略性も拡張され、人気が継続しています。遊戯王などは、定期的にアニメが放映されていることも人気の維持に寄与しているでしょう。

 小学校時代に始めたゲームが現在も続いていることから、学業などで一時期は止めたものの、また大人になって復活する人も見られ、何だかんだでTCG歴20年以上の人も結構います。

 現在は初期世代が親になって、ポケモンカードや遊戯王などを子どもと一緒に遊ぶ状況が生まれています。コロナ禍の自粛期間でその動向がより一層促進された可能性があると言えます。

 トレカショップは売買だけではなく、初心者が色々相談できたり、仲間と交流できたりする、TCGユーザーのコミュニケーションハブの機能もあり、新しいトレカショップが増加することでTCGを楽しむ層がさらに幅広くなることが期待されています。

進むプレミア化 数千万円の商品も

 一方、ゲームで遊ぶだけではなく、カードをコレクションアイテムとして収集して楽しむ人も増えています。

 TCGはイラストの良さやカードによる希少性など、コレクションとしても魅力があります。経済力にものを言わせて、子どものころあこがれたカードを大人買いする人もいるでしょう。

 長く続いていることもあって、過去のカードの価値が上昇しています。TCG大会の優勝賞品や絶版となっているもの、第1弾のレアカードなど、手に入りにくいものは特に取引価格が高騰しています。

 例えば、ポケモンカード「リザードン(初期版、英語版)」がオークションで3800万円で落札されたり、遊戯王OCGの2001年アジアチャンピオンシップス優勝賞品「青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)」が4500万円、MTGの「ブラックロータス」が6000万円で取引されたりするなど、もともと1パック数百円だったものとは考えられないような価格になっています。

トライアルデッキ+(プラス)「Marvel Avengers」のカード(画像:ブシロード)



 確かに希少性はコレクションにとって大切な要素ではありますが、米のトレーディングカードの鑑定制度であるProfessional Sports Authenticator(PSA)の日本参入も背景にあって、もはやアート作品などと同様に投機対象として取引されている面もあります。

 取引が活発化していることで、現在は現行品でもトレカショップやフリマアプリ、オークションサイトなどで1枚数万円の価格で販売されていることがあり、詐欺や買占めなどのトラブルも多くなりました。最近ではポケモンカードゲームのブースターパックがお店から消え、なかなか手に入らない状況なったことは記憶に新しいでしょう。

 このように現在はコレクター、カードゲーマーともに購入過熱状態にあると言えます。近年のTCGの市場規模の拡大はこの状況も大きく影響していると言えるでしょう。各地でトレカショップが増加していることでさらにカード売買が過熱していく可能性があります。誰でも遊べる健全な環境は維持してほしいところです。

 興味を持った人や、また遊びたくなった人は是非トレカショップを覗いてみてください。


【図表】2020年度の国内玩具市場規模は8268億円! 前年度比101.5%で、コロナ禍と少子化の中でも好調

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