手土産の定番「ヨックモック」のミュージアムが渋谷区にあった! ファン垂涎のグッズも多数登場していた

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手土産の定番「ヨックモック」のミュージアムが渋谷区にあった! ファン垂涎のグッズも多数登場していた

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佐倉静香

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身近な手土産で知られる洋菓子店・ヨックモック。そんなヨックモックの魅力と、2020年にオープンしたミュージアムについて、ライターの佐倉静香さんが解説します。

新しい建物をめざして住宅地のなかへ

 訪問先への手土産といえばヨックモック(運営会社:ヨックモック、千代田区九段北)のお菓子、という人は多いのではないでしょうか。

 誰にでも好まれる優しいおいしさで人気があるヨックモックは、会社や家で空き缶が活用されていることでも知られています。そんなヨックモックが美術館の運営も始めていたことをご存じでしょうか。あの作家の作品や、入手必須のグッズもあるようです。

 ブランドショップが立ち並ぶ東京・表参道は、コロナ禍にあっても休日に多くの人がおしゃれなショップやカフェをめざしてやってくる街です。

 みずほ銀行や交番のある交差点から南。根津美術館方面へ向かうと、だんだん道が細くなって人通りも少なくなってきます。印象的な建築のプラダのショップを過ぎて少し進んだところに気品のあるお店があり、ここがヨックモックの青山本店(港区南青山)と直営カフェ「ブルー・ブリック・ラウンジ」です。

港区南青山にあるヨックモック青山本店(画像:(C)Google)



 通り側の青い外壁に対し、中庭のテラス等は外壁が白。賞を授かった経験もあるという雰囲気たっぷりの建築でいただくスイーツが、日常を忘れさせてくれます。午後にはコーヒーに大人気のお菓子・シガール(葉巻型のクッキー)がついてくるというしあわせなカフェ。入りたいところですが、通り過ぎて、住宅地のなかへと向かいます。

 きょうの目的地は、2020年にオープンした新しいカフェです。

 新しいカフェがあるのは、骨董通りを南に入った、首都高速3号線(六本木通り)からも近い「YMハウス」(同)のなか。ヨックモックのクッキーのような白さが際立って美しく、青色の瓦も心に残るYMハウスは、栗田祥弘(よしひろ)氏によってデザインされました。

 栗田氏は、隈(くま)研吾建築都市設計事務所に9年間在籍したのちに独立した人物。数々の受賞歴を誇る気鋭の建築家です。YMハウスは大きな建物ではありませんが、5年の歳月を費やしてつくられたそう。それだけのこだわりがあるといえるでしょう。コンセプトは「友人を招くようにみなさまをお迎えしたい」とのこと。

オープン1周年、友人の家のような美術館

 YMハウスのメインは、カフェやスイーツではありません。ここはヨックモックが運営する美術館なのです。その名もずばり「ヨックモックミュージアム」。

港区南青山にあるヨックモックミュージアムのイメージ(画像:YMハウス)



 ヨックモックホールディングス取締役会長の藤縄利康が館長を務めるこちらの美術館の収蔵品は、会社が30年以上かけて集めたもの。その数は約500点にのぼります。中心を成すのがピカソのセラミック作品。セラミックは粘土やセラミック材料による造形美術作品のこと。

 ヨックモックミュージアムは1年近く前、2020年10月25日に開館し「ピカソ:コート・ダジュールの生活」と題した記念展が開催されました。第2次世界大戦後に始められたピカソのセラミック制作について、コート・ダジュールでの生活と文化、人々との関わりなどを紹介するものでした。

ファン要チェックアイテムも

 これらの企画展が行われるのは地下1階、そこから2階に上ると常設展を見ることもできます。2階にある常設展示室。この部屋では54点もの皿が3面の壁に展示されており、見ごたえがあります。

 お皿は、ピカソのセラミックのなかでも生産数が限られていた「エディション」と呼ばれる作品群。フロアは、太陽光が入るように設計されており、開放的かつ自然の光の下で作品と対峙(たいじ)できるぜいたくな空間なのです。

港区南青山にあるヨックモックミュージアム(画像:(C)Google)

 1階は中庭に面しており、ヨックモックグループ内でもハイクラスな「UN GRAIN(アン グラン)」ブランドの、ミニャルディーズと呼ばれる小さなお菓子を楽しめます。ミュージアム限定のミニャルディーズもあるので、ファンは要チェックです。

 また、カフェでは「art for cafe」と呼ばれるキットも販売されています。キットはミュージアムを鑑賞したあとにクリエーティブな活動を引き出すのがねらいで、第1弾は「世界で1つだけのコースターをつくろう」として、ドリンクとプティ・シガール、コースターや色鉛筆などをセットで提供しました。

 作品を見てめばえたインスピレーションを、お茶を飲みスイーツを楽しみながらその場で表現するのは斬新な楽しみ。この夏には、季節に合わせた貝殻モビールのキットが販売されるなど、今後の展開も期待できそうです。

ロゴデザインは鉄博デザイナーによるもの

 また、こちらのカフェではここでしか目にできないロゴマーク入りの器などが使われており、ミュージアムショップではクリアファイルやマスキングテープなどのオリジナルグッズなどを入手することができます。

 ロゴはピカソのセラミックをシンボルモチーフとしてデザインされているそう。デザインは鉄道博物館(さいたま市)のロゴマークで知られ、数々の企業や施設のCIデザインを手掛けてきた廣村正彰氏によるもの。

 ロゴの色はヨックモックのイメージそのままのブルーで、かわいさが全開でぜんぶほしいと思わされます。独特の丸みもすてきで、「友人の家」のコンセプトのように親しみが湧いてくるようです。

ヨックモックミュージアムの内部イメージ(画像:YMハウス)



 さらに、隣接するライブラリーでは、ピカソ関連の書籍が閲覧可能。このスペースでは、各種のイベントや学芸員の解説やトークセッションなどの「レクチャーシリーズ」なども開催されます。ライブラリーには入館料が必要です。現在は入館も事前予約が必要ですので、ヨックモックミュージアムのウェブサイトでチェックしてからお出掛けください。

東京の「隠れ家」になるか

 ヨックモックのお菓子は、いつもらってもうれしく、まちがいなくおいしいので、手土産に本当によく使われています。そして食べたあとの空き缶は、文具入れやお裁縫箱として、職場や家庭に必ずあるもの、気がついたらそこにあるほど生活になじんだものです。

ヨックモックのウェブサイト(画像:ヨックモック)

 ヨックモックミュージアムは、そんなふうに都会のひっそりとした住宅街のなかにたたずんでいる場所なのです。

 コロナ禍で都心に出掛けること、美術館などに行くこと、カフェに立ち寄ることなど、これまで日常にあったちょっとしたお出掛けが難しくなっています。緊急事態宣言の解除後もまだしばらく元の生活に戻るには時間がかかりそうです。

 お散歩がてら、友人の家への散歩のような旅程、お茶とお菓子、知らなかったピカソの一面を見られる作品を楽しめるヨックモックカフェ。東京のまだ新しい隠れ家です。

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