コロナ後も郊外に住みたい! 自然派志向な会社員に薦める「忖度なし」の最強ベッドタウンと選択条件

新型コロナ禍ではテレワークを導入する企業が増え、それに伴い郊外へ引っ越した会社員も少なからずいるようです。コロナが収束して以降も引き続き郊外を志向する東京在住の会社員にとって、最も適した在住場所はどこでしょうか? フリーライターの出島造さんが独自の取材でリポートします。


「完全テレワーク」とはならなかった会社員たち

「東京に住むなら23区よりも多摩地域の方がいいのかも知れない」――

 2020年からの新型コロナ禍でテレワークが普及したことにより、会社員が郊外へ移住したり企業が本社機能を地方へ移転させたりといったニュースがたびたび報じられました。

コロナ禍で「都市より郊外」と考える人は増えている。街選びの条件とは?(画像:写真AC)



 ただ、オフィスで行っていた全ての仕事をテレワークに切り替えるというのはなかなか容易ではありません。

 どうしても顔を合わせてやらなければならない業務はありますし、会社側にとってみれば「社外秘」の文書などを保管・管理する必要があるといった事情は変わらないからです。

 そのため、オフィスを床面積の小さいところに移すにしても、立地自体はやはり都心を選ぶ企業が大半のようです。

 テレワーク普及によって「職住一致の傾向が強まる」と言われてきたものの、さすがに100%完全テレワークの導入までには至らなかった企業が少なくないということが、この1年余りで明らかになりました。

 そうした中で、これまで都心で働いていた人たちが考えることとは何でしょうか。

 出社の必要はあるにせよ、毎日通勤するわけではないから通勤時間が多少延びても環境の良いところに住みたい、と思いを巡らす会社員は多いのではないでしょうか。

「都心部よりも自然豊かな郊外」6割超

 2020年、ミサワホーム総合研究所(杉並区高井戸西)がまとめた「新型コロナウイルス影響下における住まいの意識調査レポート」。

 既婚者 / 世帯年収400万円以上 / 新型コロナウイルスの影響で在宅勤務――という条件に当てはまる20~69歳の男女824人を対象にした調査では、回答者の6割超が

「住む地域として、人口が密集した都心部よりも自然豊かな郊外が良いと思うようになった」

と答えています。

「新型コロナウイルス影響下における住まいの意識調査レポート」より抜粋(画像:ミサワホーム総合研究所)



 こうした意向を背景に活発になっているのが、東京都心まで1時間から1時間半ほどで通勤できる、首都圏郊外エリアの住宅需要です。

 特に注目したいのは、最寄り駅からはバス利用を検討する「徒歩20分くらい」のエリアでも、住宅を求める人が増えていることです。

 従来、住宅を買い求める際には最寄り駅からの近さも重視されてきましたが、毎日出勤する必要がなくなったことで、必ずしも最寄り駅に近くなくてはならないという枷(かせ)から解き放たれたわけです。

 とはいえ、見落としてはならないことがあります。

とはいえある程度の利便性も必要

 いくら最寄り駅から遠くても構わないと言っても、駅前にもコンビニがあるかないかといった地域が住宅購入の対象エリアになるわけではないという点です。

 最も重視されるのは、ちょっと離れた最寄り駅がどれだけ充実しているかということです。最寄り駅に娯楽や大型商業施設、公共施設がある程度そろっていれば、都心にまで出ることなく、たいていの用事が済ませられるからです。

 ここにさらに、いざ都心に出るときも近い、という条件が加われば最強の街になると言えるでしょう。

東京通勤者にお薦めしたい「府中市」

 その要素を備えている東京郊外の街といえばどこか。

 筆者はこれまでさまざまなエリアを取材で巡ってきましたが、コロナ禍以降、条件を満たして発展の兆しを見せている街があります。それが府中市です。

利便性と周辺の自然環境、両方を兼ね備えている府中市の魅力とは(画像:写真AC)



 府中市の何が優れているかといえば、まず駅を降りたときに目に飛び込んでくる光景です。

 テレワークを機に郊外へ引っ越しを考えている人が求める大きな要素に「自然の多さ」があります。駅前からそれを満たしているのが、府中市です。

 何しろ、京王線の府中駅を出るとすぐ目の前に大國魂神社(おおくにたまじんじゃ)の参道でもあるケヤキ並木が続いています。こんなに駅前から緑が広がっている駅はほかになかなか思い当たりません。

都心ターミナル駅並みにそろう商業店舗

 自然が多いだけでなく、店舗も都心のターミナル駅並みに多いのが府中駅周辺の特徴です。

 府中駅では、再開発が早くも1981(昭和56)年の京王線の高架化によって始まり、それに続いて南口での再開発も2017年に完了しています。つまり、再開発によるまちづくりはすでに完了しており、いまは“街を育てる”段階に入っていると言えるのです。

京王線・府中駅前に伸びるケヤキ並木の参道(画像:(C)Google)



 南口には駅ビルの役割も持つ「武蔵府中ル・シーニュ」(同市宮町)をはじめ、「フォーリス」「ミッテン府中」など複数の商業ビルが建ち並んでいます。

 これらのビル内にスーパーから映画館までさまざまな店舗がそろい、さらに2021年5月にはミッテン内に家電量販店のノジマが入居したことで、いよいよ「都心に出かけなくても、たいていのものがそろう」利点を極めつつあります。

府中が「凡庸な郊外」ではない理由

 こうした施設の充実度だけを並べると分譲マンションの広告みたいですが、実際に地元住民に尋ねてみると「ありきたりの店ばかりではないので飽きない」との声が聞かれます。なぜなのでしょうか。

 このような再開発地域に造られた商業施設は、ともすれば話題の人気チェーンばかりが入居し、ブームが過ぎると客足が落ちるといった状況がしばしば起こります。

 ところが府中の場合、再開発前の商店街にあった店舗も商業施設に入居しているところがあります。それによって店の種類も豊富になり、ほかの街とは異なる府中ならではの魅力を高めていると言えます。

 この、古いものも継承しているという点が、府中が凡庸な郊外のベッドタウンとなっていない重要な理由です。

歴史の長さを証明する大國魂神社

 それを可能にしている理由には、府中の街の歴史の古さがあります。

 ケヤキ並木の先にある大國魂神社は武蔵国一宮(むさしいちのみや)。かつては武蔵国の国府が置かれていた場所です。いわば、東京の歴史は、ここから始まったわけです。

府中駅前から参道が続く大國魂神社(画像:写真AC)



 また、国府が置かれたことからも明らかなように、災害という観点から見ても安全な地域とも言えます。実際、地形を見てみると府中駅周辺は多摩川に近いにもかかわらず高台に位置していることが分かります。

 もともと地盤も堅固で洪水の害も避けられるという理由で選ばれた優れた土地なのでしょう。

 そんな歴史を積み重ねた府中は、現代的な発展を遂げつつ、大型公園も自然もある複合的な都市として現在の形を成してきました。

進化を遂げる街だけが持つワクワク感

 実は筆者も長らく府中を訪れていなかったのですが、最近の人気を聞き、久しぶりに降りてみて驚きました。

 新宿からは京王線の特急に乗れば3駅、20分ちょっと。なのに、街が極めてコンパクトかつ周囲を自然に囲まれた別世界であることを再発見してしまいました。

 駅周辺では続々とマンションの建設も続いています。コロナ禍で発展が加速する府中はこれから、どのような街になっていくのか。進化を遂げる街だけが持つワクワク感が、確かにそこにあります。


【画像】筆者が歩いた「最強ベッドタウン」(8枚)

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