原宿のショップも閉店――平成の“ファンシー文化”を支えた「サン宝石」が、少女たちに残した偉大なる功績とは
2021年9月5日
ライフ 2021年8月に民事再生法の適用を申請した「サン宝石」。小中学生向けのアクセサリーや雑貨を製造販売し、多くのファンを魅了してきました。同社が平成の時代に残した偉大な功績とは? コラムニストの佐倉静香が同社の歴史をたどります。
少女たちのあこがれをリーズナブルな価格で
2021年8月、小中学生向けのアクセサリーや雑貨を製造販売するサン宝石(山梨県中央市)が甲府地裁へ民事再生法の適用を申請、保全命令を受けました。
女の子たちのあこがれをかなえるリーズナブルなアクセサリーを提供してきた同社の苦境は、日本の「ファンシー文化」がひとつの岐路にあることをうかがわせます。
同社が担ってきた平成のファンシー文化と、多くのファンたちに残した偉大な功績を振り返ります。
原宿・竹下通りへの出店は2002年
サン宝石は1965(昭和40)年に山梨県の地場産業である貴金属業を担う企業として創業。1979年に現在の「サン宝石」に改称。
1971年から通信販売を開始していましたが、現在に至るまでティーン向けの安価な商品に特化してきたのは、当時は女性誌への広告出稿がコスト高で、子ども向け雑誌を狙った方がよいという戦略からでした。

その後、1995(平成7)年に商品カタログ「Fancy POCKET」を発行し、「10円セール」が好評を得ます。
主な顧客である小中学生といえば、お小遣いは月々500円あるいは1000円ほどの場合が多いはず。たった10円でアクセサリーやおしゃれな文具が手に入るセールは、どれほど魅力的に映ったことでしょう。
通信販売中心に営業を続けていたサン宝石がJR原宿駅前の竹下通りに実店舗をかまえたのが2002年のこと。
「ファンシーポケット」(渋谷区神宮前1)と名付けられたお店には、通信販売は少しハードルが高いと思っていた少女たちが次々と訪れて連日大盛況に。アクセサリーや雑貨、文具などでキラキラした店内で、時間がたつのも忘れて商品に見入ったという思い出を持つ人も数多くいるでしょう。
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