若者だけが悪いのか? 街中の「路上ゴミ問題」、根本的原因と意外な解決案とは

新型コロナ禍の「路上飲み」などを契機に、街中に放置されるゴミの問題があらためてクローズアップされました。路上飲みに参加しているのは若者たちであるとの報道も数多くなされましたが、果たして彼らを責めることで問題は解決するのでしょうか? ライターの鳴海汐さんが問題の根本原因と解決策を探ります。


根底にある「ゴミ箱が少ない」という事実

 ここ数年、東京都内のゴミ放置問題の報道を見聞きする機会が増えました。ハロウィーンの翌朝の渋谷の街や、直近では新型コロナによる自粛下での「路上飲み」の現場に、たくさんのゴミが置き去りにされています。

自粛下での「路上飲み」をめぐっては、学生など若者たちが多く参加しているとたびたび報道された(画像:写真AC)



 ゴミを置いていった彼らの平常時のモラルは分かりませんが、アルコールが入ったために、ゴミの持ち帰りが面倒になる、皆がやっているからいいだろうと気が大きくなったことが想像されます。

 許される行為ではありませんが、そこには「東京の街はゴミ箱が少ない」という問題が少なからず影響しているはずです。

 彼らが家路につくにあたってゴミを捨てようとしても、その場にも、駅までの道のりにも、駅構内にも、ほとんどゴミ箱が無いのですから。

東京の街からゴミ箱がどんどん消えてゆく

 都内からゴミ箱が無くなっていったのは、1995(平成7)年の地下鉄サリン事件の頃からと記憶しています。事件直後はさまざまな駅でゴミ箱の使用を停止しました。

 その後、透明な素材でできた「中身の見えるゴミ箱」の設置をするなどして使用再開をした鉄道会社もありますが、全体としては昔よりも個数が減った印象があるのではないでしょうか。最近でも、西武線の駅からは2021年3月以降にゴミ箱が撤去されたという報道がありました。

2021年3月以降にゴミ箱が撤去されたと報道された西武線(画像:写真AC)



 都内の公園のゴミ箱撤去も進んでいて、ゴミ箱がない公園が珍しくなくなりました。

 経費削減といった目的は当然あるでしょうが、鉄道会社や公園はゴミ箱撤去の大きな理由として、「家庭ゴミの持ち込み」被害を挙げています。

 現場の苦労が想像できますが、利用者の立場としては、ゴミ箱はあってほしいもの。ゴミ箱を復活させてポイ捨てを防ぐ対策をいくつか考えてみました。

1. 公共のゴミ箱は投入口を小さく

 公園のゴミ箱というと、上の部分が開いたメッシュのコップ型のイメージがあるでしょうか。箱型のタイプもよく見かけました。

 いずれも投入口が大きめですが、家庭ゴミの持ち込み対策としては、投入口をもっと小さくするのはいかがでしょうか。テイクアウトの食べ物や飲み物の容器を捨てられる程度のサイズに限定するのです。

 たとえば、筆者が仕事でよく滞在する英国ロンドンの繁華街では、本当に至る所にゴミ箱があるのですが、よく見掛けたのは投入口が小さいものです。日本のゴミ箱に慣れているとちょっと捨てにくいと感じるほど。

ロンドンのゴミ箱は、日本のものと比べて投入口が小さい(画像:鳴海汐)



 この投入口のサイズは、「捨てるには十分大きく、しかし悪天候や破壊行為でゴミが外に出てしまうのを防ぐには十分小さい」ことを考慮したとのこと。

(ちなみに、2012年のロンドンオリンピック開催にあたり開発されたもので、上部に灰皿があり、可燃とリサイクル全般のふたつの投入口があり、内部は難燃性の加工がしてあります。)

 公園で見かけたゴミ箱も形状は違いますが、投入口が小さいものでした。

 もちろん投入口を小さくしても、その脇に家庭ゴミを置く人はいるでしょう。低予算で実現しそうな対策として、箱の外に置くと音や点滅する光でアラートが出るなどの仕掛けを施せば少しは良心の揺さぶりになりそうです。

2. コンビニのゴミ箱を「公共化」

「家庭ゴミを持ち込まないでください」という注意書きがあるゴミ箱といえば、コンビニです。近頃は管理のために店内に設置されることが増えた印象があります。

 公園や駅などへのゴミ箱の設置が難しければ、いっそのことコンビニのゴミ箱を公共化するのはいかがでしょうか。

コンビニのゴミ箱を“公共化”すれば、路上ゴミは削減されるのでは?(画像:写真AC)



 家庭ゴミの定義を、その店舗で購入したもの以外とするのであれば、現時点でもおそらく“家庭ゴミ”を持ち込んでいる人は多くいるでしょう。筆者自身、良心の呵責(かしゃく)を感じながらも、他店で買った商品の外袋を捨てた経験があります。

 そのため、コンビニのゴミ箱を公共化したとしても、ゴミ箱に入るサイズなどのルールを定めれば、その量が現状より大幅に増えることもないように想像します。

 協力するコンビニ側にも当然メリットが必要です。協力店としてのステッカーを貼るなどだけでは足りません。協力店舗に対しては、ゴミ処理の費用を一部負担して委託料とするのです。

3. 個人でできるポイ捨て対策

 個人レベルでできるポイ捨て対策も必要です。

 これはもしかしたらすでに実践している人もいるかもしれませんが、10年以上前、筆者の友人がゴミ袋用のコンビニ袋を自身のバッグ内に常備していることに感銘を受けました。外出中に出るゴミはすべてそこに入れていたのです。

 たとえば鼻をかんだティッシュペーパーは濡れているので、直接バッグに入れたくないわけですが、ゴミのコーナーをバッグ内につくれば、なんてことはありません。家まで、もしくはオフィスや学校まで持ち歩く。これを完全な習慣にすれば少しは道端に出るゴミが減るでしょう。

4. 分別をもっと簡単にできたら

 そもそもですが、家庭ゴミを公園や駅に持ち込む理由には、家庭ゴミの分別の難しさがあると考えられます。たとえば金属とプラスチックといった異素材を組み合わせた製品の分別に悩みます。

 自治体も努力をしていて、たとえば中野区のホームページを見ると、ゴミ分類アプリを作っていたり、「資源とゴミの分け方・出し方」では「問い合わせの多い品目の出し方一覧」を掲載していたりします。

 たとえばアイロンは金属とプラスチックの組み合わせが一般的ですが、陶器・ガラス・金属ゴミに分類されるそうです。

 また素材によっては回収頻度が低いことも家庭ゴミ持ち込みの理由になっているようにも感じました。

 もし大掛かりな設備投資ができて、「分別はすべて機械がするので、人間の手作業による分別は一切不要」となったら、いつでも家庭ゴミが出せる環境になり問題は全て解決するように思いますが、実現はなかなか難しそうです。

 やはりそれ以外の対策を進めつつ、ゴミが落ちていることは醜いこと、自分のゴミに責任を持つ、といった感覚を育てていくのが正攻法でしょうか。


【画像】ポイ捨てが減る? 画期的ゴミ箱

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