淡き「平成カフェブーム」の想い出 令和熱が落ち着いた今、未来とともに考える
2019年6月16日
ライフカフェは、人びとのライフスタイルの変化や時代状況を反映するものです。カフェを通じて見えてくる平成とはどのような時代だったのでしょうか。また、令和のカフェ文化の展望とは。カフェライターの川口葉子さんが考察します。
1989(平成元年)~1999年、フレンチカフェとスターバックスの誕生
2019年5月に時代は平成から令和へとスイッチ。平成とは、新しいスタイルのカフェが次々に誕生して街角にひろがり、日常に定着した時代でもありました。
カフェの表情は、常に時代とライフスタイルを反映して変化します。この30年間の主要なトピックを3つ抽出して平成カフェ文化をふり返り、令和のカフェを展望してみました。

1989年:ドゥ・マゴ・パリ(渋谷)開店
1993年:カフェ・デ・プレ(広尾)開店
1994年:カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ(鎌倉)開店
1995年:オー・バカナル(原宿)、カフェ・ド・フロール(原宿)開店
1996年:スターバックス(東銀座)開店
1997年:バワリーキッチン(駒沢)開店
1998年:オーガニックカフェ(中目黒)開店
1999年:ヌフカフェ(恵比寿)、カフェ・アプレミディ(渋谷)開店
平成のカフェシーンはヨーロッパのカフェをお手本にスタートします。明治時代、日本最初のカフェ群がそうだったように。
偶然にも、パリの名門カフェ「ドゥ・マゴ・パリ」の海外業務提携1号店が東京に誕生したのが1989年、ちょうど平成元年のことでした。
それを皮切りにパリの伝統的なカフェを再現したフレンチカフェが次々に開店し、都心の並木道の風景を変えていきます。
舗道に面して籐(とう)椅子を並べたオープンテラス。昭和の喫茶店の多くが地階に潜るなどして“閉じた空間”を提供してきたのに対して、フレンチカフェは街に向けて扉を開け放ち、空間に新鮮な風を呼び込んだのです。
90年代半ばにはアメリカから「スターバックス」が上陸。ミルクたっぷりのラテや甘いフラペチーノは、コーヒーが苦手な人々にも親しみやすく、スターバックスの全国展開とともに広く愛飲されるようになったラテは、2000年代のカフェでドリンクの主役の座につきました。
重要なのがこの時期にオーナーのセンスを軸にした、作り手の顔が見えるカフェが少しずつ出現していること。
オーナーの嗜好や美意識を打ち出したカフェは、自己表現の場ともなりえます。明確な個性を持った先駆的カフェは多くのリピーターを獲得するだけではなく、「いつか自分も」とカフェ開業を夢見る人々を増やしていき、2000年以降の東京に爆発的なカフェ熱をもたらすことになるのです。

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