鉄板ネタ「東京人は冷たい」は本当か? 素人ながら自分なりにいろいろ考えてみた

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鉄板ネタ「東京人は冷たい」は本当か? 素人ながら自分なりにいろいろ考えてみた

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何かと使われる「東京人は冷たい」という言葉。これはいったい本当なのでしょうか。具体的な事例を基に、少し考えてみました。

東京人が冷たいと感じるシチュエーション

「東京人は冷たい」とよく言われますが、果たして本当でしょうか?

 筆者はこの言説に賛同できません。もしこれが事実だとすれば、生粋の東京人にとっては不名誉です。東京人の名誉を守るためにも、今回は東京人が冷たいと感じる理由を筆者なりに調べてみました。

東京を行き交う人たち(画像:写真AC)



 まず試しに「東京 冷たい」でYahoo検索してみると、上位5記事は東京人が冷たいと感じた「体験談」に関する記事でした(2021年8月16日時点)。それらの記事に目を通し気付いたことがひとつあります。

 それは東京で

・あいさつを無視された
・接客態度が悪かった

などの体験で、行為の主体が東京人であるという根拠は見当たらないのです。あいさつを無視した人は神奈川県から通勤してきたサラリーマンかもしれませんし、接客態度が悪かった人は上京してきた大学生だったのかもしれません。

 東京の人口は約1400万人とされていますが、そのうち約45%の方は地方出身であり(国立社会保障・人口問題研究所 2016年調べ)、また都外から通勤・通学をしている流入人口は約290万人もいます(東京都 総務局統計部人口統計課調べ 平成27年時点)。

 東京で見かけた相手が生粋の東京人と言える確率は半分ほどしかありません。つまり東京を構成する人口要因を見ても、心無い行為をした相手が東京人である可能性はあまり高いとは言えないのです。

 このようなことからも、東京人と東京に来た地方人を一緒くたにして、東京は冷たいと決めつけるのは少々強引です。このような観点から、筆者は東京人が冷たいと前のめりに慣れない理由です。

 一方で、確かに嫌な思いをした人がいることは事実で、ある種の共通認識ができあがっている以上、東京に冷たい態度をとる人が多くいるという事実も否定できません。

東京に来ると人が冷たく感じる理由

 東京人が冷たいのではなく、東京に来る人が冷たくなるということが事実なら、その理由は一体どこにあるのでしょうか。

東京の雑踏(画像:写真AC)



 理由のひとつに、東京が持つ「特殊性」に原因があるのではないでしょうか。

 東京の特殊性とは、世界トップレベルの人口過密状態です。それを物語るデータとして、世界の駅利用者数ランキングを見ると、東京の駅が1位から3位までを独占しています(世界の乗降客数が多いランキング 2014年)。

 また国連世界都市化予測では、2025年までに人口が多くなる都市の1位が東京と発表されています(総務省)。

具体的な事例で考える

 では、人口の多さと冷たさに関する因果関係を明らかにするため、次の事例をご紹介しましょう。

●傍観者効果
 社会心理学に傍観者効果があります。傍観者効果はある事柄を目の前にしたとき、周りに自分以外の他人が大勢いると行動を起こさなくなるというものです。

 例えば、電車で着座しているときに妊婦や体の弱い老人が乗ってきても、他人が譲ることを見越して座ったままやり過ごしたり、酔っぱらって駅で倒れた人を黙って見過ごしたりすることです。

 人の多い東京では傍観者効果が簡単に発動し、人の行動を抑制してしまうと考えられます。傍観者効果は東京人の行動力を弱め、人に冷たさを感じさせるトリガーとなり得ます。

電車の座席(画像:写真AC)

●リンゲルマン効果
 傍観者効果と似た社会現象に、リンゲルマン効果があります。これは複数人でひとつの作業をするとき、個人の課題実行力が低下する現象です。ドイツの心理学者・リンゲルマンからこの名前が付けられました。

 傍観者効果のように「自分とは関係ない」と他人に無関心となる点では類似していますが、リンゲルマン効果は自分に関わることでも起こる現象です。

 あなたが押しボタン式の信号に差し掛かり、既に何人かが信号待ちしているのを確認しました。しかし、待てども一向に信号が変わる気配がありません。

 そこであなたは、誰もボタンを押していないことに気が付きます。これは、周りに人が多ければ誰かが動くだろうという心理が働き、結果として誰も行動を起こさない一例です。自身に利害があることに関しても、集団になると判断力が鈍ってしまうのです。東京ではこういった現象がいつどこで起きてもおかしくはありません。

東京人とストレスの関係性

●リスキー・シフト
 リスキー・シフトは、理性的な判断が普段できる人でも集団になると危険な判断を選択してしまう社会心理の一種です。

 このようなことは日常的に起こっています。赤信号の横断歩道でほかの歩行者が気にせず渡っていたので、自分もその流れで渡ってしまった経験はないでしょうか。これは他人の行動に自分の判断を委ね、結果として車にひかれるリスクへと行動を起こしているのです。

 この例に限らず他人が多い環境では、他人の行動と自分の行動をひもづけて判断を誤ることで、知らないうちに他人を傷つけている恐れがあります。

マンションのエレベーター(画像:写真AC)



●儀礼的無関心
 儀礼的無関心とは、同じ状況に居合わせた人同士でお互いに関心のない振る舞いをすることです。電車やバスといった人数が多い公共の場所で起こる社会的行動ですが、1対1の状況でも起こり得ます。

 例えばマンションのエレベーター。ふたりだけの空間で密室状態となるとき、関心のないような態度をとることも儀礼的無関心の一例です。エレベーターでなくとも、賃貸物件ですれ違う人があいさつしないという現象も、儀礼的無関心である可能性が考えられます。

●人口過密によるストレスの増大
 ドイツの精神医学中央研究所は、都市生活が人々の大きなストレスになるという研究結果を発表しています。この研究では70人の学生を対象として都市部と非都市部に住む学生の脳の活動を調べました。

 これによると、都市部に住む学生は非都市部の学生と比べてストレスをつかさどる扁桃(へんとう)体と、それをコントロールする前帯状皮質の一部に過剰反応が見られることがわかりました。つまり都市部の学生の方が社会的なストレスを強く感じ、デリケートになっていたのです。

 東京でも人々は社会的に強いストレスを感じており、他人をおもんぱかる行動をやや欠く傾向があるのかもしれません。

東京では集団心理が働く?

 以上の事例から、東京人自体が冷たいのではなく、東京に来た人が集団心理によって冷たい行動をとっている可能性が考えられました。

多くの人が働き、住んでいる東京(画像:写真AC)

 万が一東京人が冷たいことが事実でも、集団心理が働きやすい土地に住む以上、無理からぬ話かもしれません。

 いずれにせよ、都民性を性悪説に基づいて決定するのは早計ということを強調しておきます。

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