ブームからはや10年 超有名パンケーキ店が「原宿限定メニュー」を全国販売することに決めた理由
わざわざ全国から訪れる超人気店 日本でのパンケーキブームの始まりは、2008(平成20)年に「bills(ビルズ)」が神奈川県鎌倉市七里ガ浜に、続く2010(同22)年には「Eggs’n Things(エッグスンシングス、以下エッグスン)」が渋谷区神宮前に、相次いで店をオープンさせたことがきっかけと言われています。 とりわけ「エッグスン」は若者の流行発信地・JR原宿駅近くという立地も手伝って、平日・休日を問わず長い行列を作りました。 いっときのブームに終わらず手堅い人気を獲得したパンケーキ。エッグスンが全国21店舗(2020年5月現在)まで拡大した今でも、原宿店は“特別な店”と位置付けられていています。 2019年8月にお目見えした同店限定の「原宿チョコミントパンケーキ」も、そうした意気込みの表れです。SNS映えする見た目のかわいらしさも相まって、わざわざこの店に足を運んででも食べたいと、全国からパンケーキ好きたちを集める人気メニューでした。 平日・休日問わず長い行列ができる、エッグスン日本第1号店の原宿店(画像:EGGS'N THINGS JAPAN) 特別な店舗でしか味わえない、特別なメニュー。それをこのたび運営会社のEGGS’N THINGS JAPAN(港区六本木)は、2020年5月15日(金)から全21店舗で期間限定販売すると発表しました。 一体なぜなのでしょう。 スイーツ界を席巻するチョコミントスイーツ界を席巻するチョコミント 同社の広報担当者によると、全国展開を決めた1番の理由は、原宿以外の各店舗から「チョコミントパンケーキを食べたい、というお客さまの声が数多く聞かれる」との要望が寄せられたから。 確かにチョコミントはここ2、3年で人気が増しているフレーバーです。 昭和生まれ世代にとっては子どもの頃からなじみのある定番の味ではありますが、2017年8月放送のTBSテレビ系「マツコの知らない世界」で取り上げられたことなどをきっかけに、人気が再燃。 2018年夏に各食品メーカーのチョコミントアイスがヒットしただけでなく、ケーキやパフェ、スムージーなど、2020年現在もスイーツ界のあらゆるジャンルを席巻しています。 2020年5月15日から全国21店舗で販売する「原宿チョコミントパンケーキ」(画像:EGGS'N THINGS JAPAN) それだけ人気のチョコミントですから、エッグスン原宿店以外の店や利用客から「羨望(せんぼう)のまなざし」が向けられることは、原宿パンケーキの発売当初からある程度織り込み済みだったはず。 それがここに来て全国展開へと踏み切った背景には、やはり新型コロナウイルスの影響も少なからず見え隠れするように思われます。 「多くの人に食べてもらいたい」「多くの人に食べてもらいたい」 新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う外出自粛の影響は、人気パンケーキ店にとってももちろん例外ではありません。 前年同月比の売り上げについて広報担当者は明言を避けたものの、休業や短縮営業を迫られる現状で「売り上げが減じているのは事実」とのこと。 当の原宿チョコミントパンケーキは、2019年夏からの好評を受けて、折しも2020年4月1日(水)に原宿店でのリニューアル販売を開始したばかり。「原宿店のシェフや社員がせっかくアイデアを練った自信作ですから、こんな時期ですがより多くの方に食べてもらいたい」と担当者も話します。 新型コロナ以前の原宿店は、修学旅行で東京を訪れる中高生も数多く立ち寄っていたといいます。 都道府県をまたいでの往来や旅行がかなわない今、全国の若者が目指す「一大観光地」でもあった原宿に構える飲食店は、住宅地の中にある定食屋や喫茶店以上に難しい状況にあると考えられます。 マンゴーサルサチキン&エッグス(右)も、原宿チョコミントパンケーキと同時に2020年5月15日から全国販売(画像:EGGS'N THINGS JAPAN) ちなみにエッグスンでは、世間の外出自粛ムードが高まった4月上旬から本格的なテイクアウトも開始したとのこと。 原宿チョコミントパンケーキは2020年6月11日(木)までの期間限定販売(予定)で、イートインなら1480円(税抜き)、テイクアウトはホイップクリームとチョコミントアイス無しで880円です。 全21店舗の中には休業中のところもあるとことですが、営業を再開し次第この限定メニューも登場予定です。 原宿に行かなければ食べられなかったはずのメニューが、全国さまざまな店で購入できる――。新型コロナでふさぎ込みがちな日々ですが、消費者にとってはこの時期ささやかな楽しみがひとつ増えたと捉えることもできるかもしれません。
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