漫画「妻が流産した男性のお話」を読んで、当事者の私が考えた「悲しみ」と「弔い」の分かち合い
2019年7月21日
ライフ妊娠・出産は人々のライフステージにおいて、とても喜ばしいことと考えられています。しかしその一方で、悲しみが存在していることも確かです。ライターの秋山悠紀さんが自身の体験を交えながら解説します。
妻の「感情のサンドバック」になりがちな夫
イラストレーターのやまもとりえさんが2019年7月12日(金)に、自身のツイッターで公開した漫画が話題になっています。内容は、妻が流産したという男性の話。ショックを受ける妻に対し、懸命に慰めようとした男性ですが、その男性本人も深い悲しみの中で苦しんでいたという作品でした。
筆者も数年前、後期流産を経験しました。妊娠15週を過ぎた頃の、安定期直前の出来事でした。こういった筆者の経験から、漫画で描かれていた流産における夫の苦悩や、夫婦としての「前の向き方」を考えます。

流産とは、医学的には妊娠22週未満で胎内にいる赤ちゃんが亡くなってしまうことを指します。しかし、法令上では12週を超えると「死産」の扱いになるため、死産届を提出し、火葬許可証をもらう必要が出てきます。
筆者の場合は進行流産だったため、火葬できる「子ども」がありませんでした。「火葬さえしてあげられないなんて」と、書類を書きながら区役所の窓口で号泣したのを今でも鮮明に覚えています。
流産の詳しい原因は分かりませんでした。主治医からは「妊娠や出産、命の誕生は不確実なことが多い。流産は決してあなたのせいではない」と言われましたが、「ああ、そうか」と簡単に納得して元気にはなれませんでした。
流産の手術を終えた後、筆者はしばらく仕事を休んで自宅で療養していました。しかしショックからなかなか抜け出せず、泣きながらスマホで「流産 原因」「流産 次の妊娠」などと検索しては、悲しみやイライラを夫に当たり散らす日々。夫は完全に筆者の感情を受け止める「サンドバック」でした。
夫は当時について、「君が立ち直るために必要な工程だったと思うよ」と振り返ってくれます。しかし、一方的に相手から「辛いんだよ!」という感情をぶつけられるのは、非常に心苦しいものがあっただろうなと、今になって反省しています。

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