「負け癖」がついてしまった日本を救う「国譲り」という現実的思考方法
2020年12月25日
ライフ日本神話に登場し、国造りを行ったと言われる神・オオクニヌシ。そんなオオクニヌシの「国譲り神話」から、経営コンサルタントで経済思想家の倉本圭造さんが日本の行く末について論じます。
「国譲り神話」を持つ先進国、日本
先日、普段は行かない東京の「東側」をぶらぶら散策していて、神田明神(千代田区外神田)や将門塚(千代田区大手町)などの一帯はオオクニヌシ(大国主)が祭られているゾーンだ……と感じることがありました。
オオクニヌシは苦労しながら国造りを行ったと言われる神様で、私は常々、不思議な存在だと感じていました。国造りの功労者なのですが、「国譲り神話」では出雲に引っ込んでしまう神様でもあるのです。

オオクニヌシは相手に「あなたがたの長と同じぐらい立派な宮殿を建ててくれるなら、私は引っ込みましょう」という条件をつけます。つまり、被征服者が「征服者と同じレベルの宮殿を建ててほしい。そうしたら納得して新しい国に参加するよ」と言っているのです。
世界各国を見回したときに、少なくとも先進国と呼ばれる国のほとんどは一神教(唯一の神を信仰する宗教)であり、こうした「国譲り神話」が基礎となっている国はほとんどありません。征服した側と征服された側が明確に分けられ、完全な支配か完全な滅亡が国の正統性をうたい上げることが一般的です。
しかし日本神話はそうではありません。征服された側は征服した側と同じくらい尊重され、それと同時に征服した側と同じ国造りに参加することを受け入れる(もしくは、受け入れなくてはならない)という構造なのです。
「煮えきらなさ」が必要とされる時代
いわゆる「判官びいき」な日本人の性質と相まって、これは
・時代の権力へ簡単になびくことを嫌い、敗者側に心理的な共感を常に持つ
一方で、
・新しい時代が始まったら、秩序への協力を受け入れる
という、矛盾しているように見える日本人の性質につながっているのではないでしょうか。
単純なイデオロギー(思想傾向)ですべてを斬り伏せたい20世紀的な個人主義者にとって、こういった見方は煮えきらなくて憎らしい……となりがちです。
しかし1周回って、国譲り神話的に「敵を完全に征服せず、一緒に協力しあうことでお互いを受け入れる」という解決のあり方が必要とされる時代が、世界的にやってきていると私は考えています。

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