インスタ映えするデザートを考案する「夢の仕事体験」! 完成品はメニューに
企画担当者「ワクワク感を実感してもらえたら」 場所は六本木。ミッドタウンにほど近い路地裏に、指紋解錠で開く会員制のフレンチレストランがあります。ラグジュアリーな雰囲気が漂うお店の名前は「Provision(プロビジョン)」。季節によって異なるというメニューには、「和牛のたたき雲丹ジュレ」や「本日のロブスター料理」など、想像するだけで心拍数が上がりそうな名称が並びます。 そんな同店で提供される、クリスマスデザートの装飾を考案するという、夢のような企画が、11月中旬に行われました。ビズリーチ(渋谷区)の求人検索サイト「スタンバイ」による「スタンバイ 夢の仕事体験」です。 「スタンバイ 夢の仕事体験」に参加し、インスタ映えするデザートを考案する女性たちの手元(2018年11月、高橋亜矢子撮影) 同イベントは「世の中にはたくさんの仕事があり、仕事は面白い」ことを伝え、「こんな仕事があったらワクワクするな」を実現するため、さまざまな企業や団体とコラボを行うもので、今回が第2弾。第1弾はクラフトビールの会社、ヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)とのコラボにより、「よなよなエール」に合うポテトチップスを決める会が9月に行われました。 「楽しいもの、ワクワクするものは、この世界にたくさんあります。そんなワクワク感を実感してもらえたらと思っています」(ビズリーチ 田澤さん) 店主「おっさん脳じゃない知恵が欲しい」 今回参加したのは、3人の女性です。初対面でありながら、開始前からすでにスイーツの話題で盛り上がるほど、スイーツ好きの精鋭がそろいました。 1人目のななこさんは、はるばる京都から参戦。小さな頃から、お菓子づくりや、『ぐりとぐら』や『こまったさん』シリーズ、『からすのパンやさん』などの食べ物が出てくる童話が大好きだったといいます。「海外旅行に行ったらまずは食べ物! その国にしかない食べ物を食べるのが大切です」と力説します。 10年来の友人から「ドンピシャのイベントがある」と教えてもらったというななこさん(左)(2018年11月、高橋亜矢子撮影) 2人目のポジこさんは、食べ歩きが趣味のブロガー。「自己紹介写真(A4サイズ)」には、10月に食べたスイーツの写真24枚がずらりと並んでいました。「すごい! 多いですね」と思わず声をかけたところ、「これ、全部じゃないんです。抜粋なんです」とポジこさん。 スイーツの写真を説明するポジこさん(2018年11月、高橋亜矢子撮影) 3人目のよぴこさんは、コミュニケーションプランナーの仕事をするかたわら、アンテナショップのレポートをしたり、和菓子のオンラインコミュニティで、大福の食べ比べをするなど、食べ物に関わる活動を行っているといいます。 そして「Provision」の店主 品治さんも自己紹介。同店は、会員制ということもあり、女性客が5割を超えることが滅多にないとのこと。「ぜひとも女性にも使ってほしい」「おっさん脳じゃない知恵が欲しい」と話します。 自己紹介しつつ、お店の説明をする品治さん(2018年11月、高橋亜矢子撮影) すると、参加者たちからは早速「どんなお客さんに来てほしいですか?」という質問が上がりました。女性といっても千差万別。どんな女性をターゲットにするのか、細かいヒアリングが始まったのです。 「客層で一番多いのが40代男性なため、連れ立ってくる女性の年齢層も、20代というよりは30代。30代が写真を撮りたくなるようなものがよいです」と答える品治さん。 さらに、女性陣からは「『きれい』『かわいい』など、どの系統を目指すのかで大きく異なりますが、どのテイストでいきますか?」という問いかけが。 品治さんは「きれい目がよいです」と答えつつ、お店にコーヒーを置いていないため、「お酒に合うデザートをお願いします」とオーダーしました。 今回装飾するのは、切り株を模したケーキ「ブッシュ・ド・ノエル」です。試食用に1切れと盛り付け用に1つずつが各自に配られ、デコレーション用の食材もずらり。「わーエディブルフラワー(食用花)!」と、歓声が上がりました。 盛り付け用に各自に渡された「ブッシュ・ド・ノエル」(2018年11月、高橋亜矢子撮影)制限時間は約10分(2018年11月、高橋亜矢子撮影) ホワイトチョコレートを見て「目の前でチョコレートを削ってほしいです! 最後、雪のようにケーキに降らしてほしい」と即座に発言したのは、ななこさん。「ライブ感が欲しい。インスタで動画映えするはず!」と話します。 装飾作業の様子(2018年11月、高橋亜矢子撮影) その会話からわずか約10分後。完成したななこさんの装飾は「ホワイトチョコレートを削ったときにどうしたらきれいに見えるか」を念頭に置いて考えたものでした。 ゴッホの名画をイメージしたという装飾も出現!ゴッホの名画をイメージしたという装飾も出現! 3人それぞれの装飾が完成しました。ななこさんは「雪」を目立たせるため、フランボワーズの大きな円をお皿に描いてみたとのこと。 ホワイトチョコで雪を降らすパフォーマンスを自ら行うななこさん(2018年11月、高橋亜矢子撮影)「ななめのラインをつくって、スタイリッシュにしようと思いました」と話すのはポジこさん。色がきれいに映るように、フルーツをこんもりと盛り、花を添えました。 「色使いが良い」「下に緑を置くと映えるね」というコメントが寄せられた、ポジこさんの装飾(2018年11月、高橋亜矢子撮影) よぴこさんは、ゴッホの名画『星月夜』をイメージしたといいます。巨匠の名前が出てきた途端、その意外性からどよめきが起こり、そもそもどの絵のことを指しているのか、名前と絵が一致せず、スマホで検索し始めた人もいました。 装飾の説明をするよぴこさん(2018年11月、高橋亜矢子撮影)真上から見たよぴこさんの装飾(2018年11月、高橋亜矢子撮影) イメージの中枢となる「月」を、スライスオレンジで表現しています。緑の雫の軌跡は、ソリで駆けていくサンタクロース、もしくは流れる彗星のイメージ。アーモンド焼き菓子の上には、ハーブや果実が添えられ、森のような世界をつくり出しています。 それを見たシェフは「小人が座っていてもおかしくなさそうな雰囲気がある」とコメント。「ストーリーのあるスイーツって素敵ですね」という声も上がりました。 そんな、物語のあるお皿をつくった、よぴこさんのコメントで印象的だったのが「真上から撮影することを想定した」ということ。一方、ポジこさんやななこさんは「横から」だったといいます。 真上から撮影する場合、真上のアングルからどう見えるかを考えて配置することが重要になります。一方、横から撮影する場合に、重要なことのひとつは「高さ」。「どこから撮るかによって盛り付けも異なってくる」という話に会場が湧きました。 参加者「夢が1個かなったかなぁ」 そして、ここからはシェフの出番。3人の装飾各々のエッセンスを集約します。 シェフの手元(2018年11月、高橋亜矢子撮影)仕上げに、ホワイトチョコレートで雪を降らせる(2018年11月、高橋亜矢子撮影)大胆に舞い落ちた雪(2018年11月、高橋亜矢子撮影) その後「月(スライスオレンジ)は入れたい」など、3人の要望を聞いて微調整を行いつつ、メニュー名も「ブッシュ・ド・ノエル ~雪降る月夜の森をイメージして~」に決まりました。 ここまでで2時間弱、あっという間に新しいメニューが生まれました。このデザートは、同店のクリスマスデザートとして、12月20日(木)から25日(火)の間、実際に振る舞われます。 終わってみて、店主 品治さんは「この業界で働き始めて、僕は15年、シェフは30年。長く続けているなかで、なんとなく『定番はこう』『盛り付けといえばこう』『この組み合わせは合う』というように、凝り固まってきてしまう。どうしても、そういう部分が出てきてしまうなかで、活発な意見を聞かせてもらい、とても良い機会になりました」と発言。 参加者の3人からは「スイーツだけでわくわくして楽しいのに、わくわくがもっと高まった2時間でした」(ななこさん)、「自分にないアイデアがあって楽しかったです。しかもお店で提供してもらえる、貴重な経験」(ポジこさん)、「テンションが上がりました。自分は、インスタグラマーというほどではなくて、わたしでいいのかなぁと思いながら参加しましたが、夢が1個かなったかなぁ」(よぴこさん)などの感想が寄せられました。 参加者全員に「報酬」として、クリスマスディナーのペアチケットが手渡された(2018年11月、高橋亜矢子撮影)集合写真。一番左にいるのは、同店のシェフ 広瀬さん(2018年11月、高橋亜矢子撮影) 今後も「スタンバイ 夢の仕事体験」は随時行われる予定です。 ●月額会員制フレンチレストラン「Provision(プロビジョン)」 ・住所:東京都港区六本木4-5-13 Reve六本木 3F ・アクセス:日比谷線・大江戸線「六本木駅」7番出口から徒歩2分 ・営業時間:18:00~翌02:00 ・月額料金:Solo(単独利用)15000円、Unison(会員含め4名までの利用)30000円 ※一部、追加料金となるメニューやワイン有 ●求人検索エンジン「スタンバイ」 ・URL : https://jp.stanby.com/ ※2018年11月時点の情報です。
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