ドライフラワーの持ち味を独自に表現する新感覚アイテム
近年、ドライフラワーを使ったアイテムの人気が高まっています。ハーバリウムに次いで、ブームの兆しのみられる「#マイリウム」(以下、マイリウム)をご存じでしょうか?
2年ほど前から大ブレイクしているハーバリウムは、オイルを入れた小瓶に浮かぶ花材(ドライフラワーなど)を、みずみずしい状態で鑑賞できるインテリア雑貨です。自分で作ることもショップで買うこともできます。マイリウムはドライフラワーを自分で瓶に詰めてデザインするもので、オイルなど液剤は使用しません。
昨今のドライフラワー人気を受けて、これを瓶詰めにした商品が2年ほど前からフラワーショップや雑貨店で販売されていますが、マイリウムは「自分自身でデザインする」のを楽しむもの。日比谷花壇(港区南麻布)が2018年1月より展開を始め、インスタグラムなどSNSで拡散され、人気と認知度が短期間で上昇しました。
ドライフラワーの瓶詰めと聞くと、地味な印象のものを思い浮かべがちですが、その実、色鮮やか。日比谷花壇によると、「手軽に世界でひとつしかないものを作れるのが楽しいとして好評です」とのこと。また、ドライフラワーの持ち味を、瓶のなかで独自に表現するという新感覚アイテムであるのも人気の一因といいます。イベントで実施すると、常に人だかりができるそうです。
このマイリウムを体験すべく、同社が運営する「Hibiya-Kadan Style vif 渋谷ヒカリエShinQs店」(渋谷区渋谷)を訪れました。
マイリウムのコーナーは店の奥にあり、色鮮やかなドライフラワーの入った箱がいくつも並んでいました。その上の棚に大小の瓶がたくさん置かれていて、瓶のサイズで値段(1260〜4320円)が決まるとのこと。ドライフラワーを瓶一杯に詰めても、少ししか詰めなくても値段は同じなのです。
まずは、店長の鈴木香菜さんに手本を見せてもらいました。
通常は、箱から自分でドライフラワーを取って直接瓶に詰めていくのですが、鈴木店長には花材を机の上に用意してもらい、瓶に詰めていってもらいました。
マイリウム制作の4つのポイントとは?
鈴木店長が用意したのは、Mサイズの瓶(2160円)とピンセット、花材はヘリクリサム、センニチコウ、スプレーバラ、ラナンキュラス等々。
まず、Mサイズの瓶(2160円)に白とピンクのヘリクリサム、センニチコウなどを入れ、ピンセットで向きやバランスを整えます。360度どこから見ても綺麗か、瓶を四方から見て確認。次にピンクのスプレーバラ2輪の葉を削いで茎を短くカットし、瓶の花材の上にふんわりと載せます。
スプレーバラの花面が他と比べて大きいので、その対比で華やかさが引き立ちます。そこに可憐な白のアンモビュームを数本入れ、蓋を閉めて出来上がり。あっという間にキュートなインテリア雑貨が完成しました。
もうひとつ、瓶一杯にドライフラワーを詰めるのではなく、空間を多く持たせるマイリウムも作ってもらいました。
用意したのは、LLサイズの瓶(4320円)、ピンセット、輪ゴム、花材にヘリクリサム、センニチコウ、ベニバナ、スプレーバラ、シロタエギク、ワイルドフラワーなど。空間のあるデザインには、大きめの瓶が適するそうです。
まず黄色とオレンジのヘリクリサムとベニバナ他を入れ、アキレアとセンニチコウを隙間を埋めるように入れます。次に葉を削いで茎を切った黄色のスプレーバラに、シロタエギクとワイルドフラワーを束ねて根元を輪ゴムで留めます。そして瓶の中へ入れ、蓋を閉めて完成。黄色とオレンジのコントラストが目に鮮やか。空間部分が多いことで、洗練された大人の雰囲気に仕上がりました。
鈴木さん曰く、マイリウム制作ポイントは、以下の3点とのこと。
・ドライフラワーをギッシリ詰めるより、ふんわりとエアリーな感じに入れる。
・花面を同一方向に向けずに、異なる向きにする。
・色は同じよりも、MIXさせた方が華やかになる。
アドバイスを参考に、記者も作ってみました。
こだわるとキリがないマイリウム、初めて作ってみた!
空間を多くとったマイリウムを作ることにして、LLサイズの瓶を選択。黄色と赤のヘリクリサムやベニバナなどを8個程度入れました。教えの通り、360度綺麗に見えるか瓶をクルクル回して花の向きや位置をチェック。ドライフラワーは花の裏側も綺麗なので、あまり花をひっくり返したりする必要がなく、バランスを整えやすく思いました。
メインとなる花を白のラナンキュラスに決め、同色で小ぶりなアンモビュームと束ねて輪ゴムで一括り。瓶のなかへ入れようとして、色コーデに白がボトムに欲しいと思い、白のヘリクリサムを足しました。
ラナンキュラスの束を瓶の中に入れると、ここで失敗。ボトムの花の量では茎を長く残した花束を立てることができませんでした。そこで、瓶の4分の1くらいのところまでドライフラワーを足し入れました。「ボトムのドライフラワーに挿すと立ちやすい」との鈴木店長のアドバイス従い、さらに茎の周りの花を軽く抑えつけて固定しました。これにて成功。
最後にもう一度調整し、初心者でもそれなりの形になりました。ドライフラワーのシャビーな持ち味が斬新にも見え、確かに新感覚。自分で作ったというだけで、思い入れや愛着もひとしおです。色の組み合わせ、花の大きさ、向きなどを細かにこだわっているとどんどん時間が経って行ってしまうと感じました。
マイリウムの客層は、20〜30代の女性が多いそうですが、男性が訪れることもあるとか。女性に「世界にひとつしか存在しないないギフト」を贈ることを目的として制作する人が多いそうなのですが、「男性の方がすごくハマって、凝ったものを作られていきます」と鈴木店長は話します。
マイリウムのもうひとつの楽しさとして、異なるアレンジに作り替えられることが挙げられます。作り替えた際に、使わなかったドライフラワーを他のインテリアの小道具に使ったり、応用範囲はさまざま。香り付けして楽しむ人もいるそうです。
「ドライフラワーは、色や表情が変わる様子も楽しめるんですよ」と鈴木店長。時間が経つと、少々色焦せるそうですが、さほど大きくは変わらないそうです。なかなか時間や心に余裕を持つことのできない都会生活。手軽に楽しめるマイリウムで、ホッと癒される時間を作ってみてはいかがでしょうか。
●Hibiya-Kadan Style vif 渋谷ヒカリエShinQs
住所:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエB3F
営業時間:10:00〜21:00
定休日:渋谷ヒカリエの休みに準じる
アクセス:田園都市線・半蔵門線・副都心線「渋谷駅」15番出口に直結、JR・銀座線・京王井の頭線「渋谷駅」2F連絡通路に直結