東京「港区」なのに「港」っぽいイメージが全くしない理由

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東京「港区」なのに「港」っぽいイメージが全くしない理由

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櫻井幸雄

住宅評論家

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高所得者が多く住む東京港区。そんな港区は「港」の名前が付くものの、いまいち港のイメージ画ありません。いったいなぜでしょうか。住宅評論家の櫻井幸雄さんが解説します。

港とは縁遠い「港」区

 東京都港区は純粋な都心部の一画です。純粋な都心部、つまり純都心部は千代田、中央、港の3区をさす場合がありますし、新宿、渋谷を加えた5区とする場合も。いずれの場合も、港区は純都心として認識されています。

 そんな港区には表参道や赤坂、六本木といった、華やかで流行の発信地と目される場所が多く存在します。一方、住宅を買うにしろ、借りるにしろ、高額物件ばかりで手が届かない……でも憧れる場所です。

港区は区の名前に「港」が付きますが、「港」や「海」とは縁遠い印象があります。表参道、赤坂、六本木、麻布、白金……いずれもセレブな香りこそすれ、潮の香りとは縁遠いイメージの場所です。

 しかし港区には東京湾に面した場所があります。それはおおまかに言えば、JR山手線の品川駅から浜松町駅までの間で、山手線の東側エリア、加えて、埋め立て地のなかの台場エリアが港区で東京湾に面した場所となります。一般的に「湾岸」と呼ばれる地域の一部は、実は港区だったのです。

東京湾に面している区は6区

 東京23区内で東京湾に面した場所があるのは、

・港区
・大田区
・品川区
・中央区
・江東区
・江戸川区

の合計6区です。

港区(画像:(C)Google)



 その6区のなかで、港区は江東区と同様に東京湾に面した場所が多く、港と縁が深い場所であることがわかります。

 港の印象が薄い……と思われがちな港区ですが、本当は東京湾と縁が深い場所。では、なぜ、港区に「港」の印象が薄いのでしょうか。

 その理由はふたつあります。

「港」の印象が薄い理由

 港区に「港」のイメージが薄い理由。そのひとつめは、品川駅から浜松町駅までの間の東京湾側――具体的な駅名を挙げると、竹芝、日の出、芝浦ふ頭に倉庫街や入国管理事務所といった施設が集まっているためです。

港区の竹芝、日の出、芝浦ふ頭駅周辺(画像:(C)Google)



 東京湾で陸揚げされた荷物を保管するための大型倉庫が並び、首都高速道路の下の海岸通りを大型のトレーラーが行き来する……そんな光景が広がり、遊びや買い物関連の施設はほとんど見当たりません。

 その結果、一戸建てはもちろんのこと、マンションもほとんどみかけません。住んでいる人が少ないために、

「港区の東京湾側には縁がないし、行ったこともない」

という人が多くなります。この「なじみのなさ」が、港区から「港」のイメージを薄めているふたつめの理由と考えられます。

 しかしながら、品川駅から浜松町駅までの間の東京湾側には、近年、少しずつマンションが建設されるようになりました。一部の倉庫が移転し、マンション用地として活用されるようになったからです。

 その場所は駅から徒歩10分以上になるところが多く、日々の買い物も便利とは言えません。首都高速道路に近く、海岸通りの交通量も多い、と懸念材料が複数あります。

 そんな場所のマンションなど、分譲しても買い手がいないと思われがちです。ところが、実際は好調に売れてしまうケースが多くなっています。

 理由は、「意外な利点」があるからです。

港区の港側には芸能人が好む要素も

 まず、東京湾の眺望が広がります。

 マンションと東京湾の間に別の建物があっても、倉庫や入国管理事務所など、さほど背の高い建物ではありません。そのため、マンションの10階以上であれば、東京湾のパノラマを満喫できるわけです。東京湾とは反対の内陸側を望むと、今度は大都市・東京の夜景を楽しむことができます。

港側の物件からの眺望イメージ(画像:(C)Google)

 次に、商業施設が少ないエリアなので、夜は人通りが少なくなります。これは「都心でありながら、人目が少ない」という立地特性を生むことになり、芸能人など有名人に好まれる要因になります。

 付け加えると、新幹線の品川駅や羽田空港に近く、地方に出掛けやすいのも、売れっ子の芸能人には好都合です。

 道路の騒音は窓を2重にするなどの対応があれば、問題なし。港区内にあっても新築分譲マンション価格が抑えられているのは、港区の港側エリアの利点となります。

台場には、割安賃貸マンションも

 港区内では割安と言っても、新築分譲マンションは2LDKが7000万円を超えるような水準なので、誰でも買えるわけではありません。

 しかし港区内の賃貸マンションで、単身者用住戸が月額家賃10万円から13万円程度で借りることができると言ったら、どうでしょう。それなら、借りてみたい、と思う人がいるのではないでしょうか。

 実は、港区台場エリアには、そんな賃貸マンションがあります。

 都市再生機構(UR)が運営するUR賃貸で、「シーリアお台場」というマンション群です。そのなかには、超高層マンションも含まれ、住戸バリエーションは豊富です。

「シーリアお台場」(画像:(C)Google)



 公式サイトで空室一覧をみると、1DKで家賃10万9000円や、1LDKで家賃13万9000円、約86平方メートルの2LDKで家賃21万円といった空き室が並んでいます。この賃料、港区内に暮らすことができると思えば、納得感があります。

 最寄り駅はゆりかもめのお台場海浜公園駅、もしくはりんかい線の東京テレポート駅。駅まで歩いて1分の棟もありますが、駅まで徒歩13分という棟も。それでも、ゆりかもめに乗れば、新橋駅まで約13分ですし、りんかい線で大崎駅まで約12分ですから、都心近くで海が身近な暮らしが満喫できます。

 加えて、新居のアドレスは東京都港区――港区の港側ではそんな暮らしも実現するのです。

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