上司は今日もイライラ? 2021年新卒社員に感じる「違和感」の正体【東京女子お悩み相談】

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上司は今日もイライラ? 2021年新卒社員に感じる「違和感」の正体【東京女子お悩み相談】

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秋カヲリ

ライター、心理カウンセラー

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東京で働く女性たちは、日々どんな悩みを感じているのでしょうか。今回は新橋の大手企業に勤めるB子さん(30歳)の話です。

新橋で働くB子さんの場合

「リモートワークで直接会う機会が少ないせいか、新卒の社員に対してイライラしやすくなってしまいました。メールやチャットなど文面でのやり取りだけだと表情が見えないし、それほど親密にもなっていないので、ついきつく言ってしまいます」

 そう打ち明けるのは、東京・新橋の大手企業で働くマネージャー・B子さん(30歳)。新卒社員の直属の上司であり、教育を任される立場です。リモートワークが導入される前は、今ほどイライラしなかったとのこと。

東京に暮らす女性たちは、どんな悩みを抱えているのか。今回は新橋の大手企業に勤める30歳のB子さんの話(画像:写真AC)



「同じオフィスにいればその場ですぐ話せますし、相手の表情を見ながら言葉を選べます。でもリモートワークだと文字だけのコミュニケーションになりがちで。謝罪の言葉も『申し訳ありません。』だけだと仏頂面のように見えてしまうんですよね。特に社会人になりたての新卒にはギャップを感じることも多く、どうしてもイライラしやすいです」

 コミュニケーションには言葉で交わる言語コミュニケーションと、ジェスチャーや表情など言葉以外で交わる非言語コミュニケーションの2種類があり、非言語コミュニケーションのほうが重要だと言われています。

 海外旅行に行ったとき、現地の言葉がしゃべれなくても身振り手振りでなんとかコミュニケーションが取れるように、言葉以外でのコミュニケーションは多くの情報を与えられるのです。

リモートワークに思わぬ課題

 身だしなみや表情、仕草などが非言語コミュニケーションに含まれていますが、非対面のリモートワークでは読み取りにくいもの。

 コロナ禍で入社した新卒社員は既存社員との心の距離が縮められず、悪い印象ばかり目立ってしまうこともあります。それが上司のイライラを助長してしまっているのです。

 新型コロナ禍で東京都が「出勤者の7割削減」を掲げたことにより、都内ではリモートワークの導入がいっそう加速しました。感染予防や通勤時間の削減などメリットが大きい半面、こうした思わぬ課題も生じました。

なじめない新社員、五月病も

 しかし、こうした非対面のコミュニケーションに困惑しているのは上司だけではありません。

 新入社員も会社になじめずに苦戦しています。若手社員のなかには「ミスが多くても憎めない愛されキャラ」もいますが、チャット上の文面だけで愛されキャラになるのは難しいでしょう。

 千代田区・神田のメーカーに勤務している新卒社員のC子さんはこう語ります。

「社会人のルールがいまいち把握できていないままリモートワークをしていて、『言葉遣いがまだ学生だね』と言われてしまいました。チャットだと指摘された言葉もそのままログに残るので、なんだかチャットツールを見るのも憂鬱になってしまって……自宅でひとりで仕事をしていてもやる気が出ず、正直、五月病ぎみです」

本音を聞き出すのは上司の役割

 このように上司も部下も悩んでいるわけですが、不慣れな新卒社員に急激な改善を求めるのはやや酷です。リモートワーク下では新しい環境に適応するだけでも苦労しますから、すでに会社に適応している上司が歩み寄るべきでしょう。

オンライン会議でも、用件だけで終わらせずちょっとしたコミュニケーションを取ってみる(画像:写真AC)



 心の距離を縮めるには、リモートワークでも自己開示しやすいオープンな場を設けるのが理想的です。

 自己開示とは、自分の感情やプライベートな情報を相手に打ち明けること。新入社員に「こんなことを言ったら怒られるんじゃないか」と上司に対する恐れがあったら、なかなか自己開示できません。

 まずは「この人になら弱音を吐いても受け入れてくれる」といった信頼を得る必要があるのです。

 上司は「何かあったら連絡してね」と言いがちですが、それだけでは「何かなければ連絡できない」と思われます。連絡のハードルが上がり、深刻なトラブルではない限り話しかけにくいのです。部下の行動を待つのではなく、上司から行動して本音を引き出しましょう。

 仕事上の自己開示しやすいタイミングは、打ち合わせ後の雑談や残業後の飲み会など「ついでの自由時間」です。

 定期的にオンラインミーティングや報告会を行い、そのついでに「最近どう?」とラフなコミュニケーションをしましょう。「仕事は楽しい?」とストレートに聞くとごまかしにくいため、部下の素直な感情を引き出しやすくなります。

かつては自分も「新人」だった

 ポイントは、どんな本音を打ち明けられても否定せずに「そうなんだね」といったん受け入れることです。せっかく勇気を出して本音を言ったのに、そこですぐにダメ出しをされると部下は二度と本音を言わなくなってしまいます。

 一度受け入れたうえで「でも、○○かもしれないよ」とアドバイスするなどして望ましい方向へ誘導しましょう。

対面のときのようなスムーズなコミュニケーションを、リモートワークでも心掛けたい(画像:写真AC)



 社会人になりたての新卒社員にはギャップを感じてモノ申したくなるかもしれませんが、誰しも新卒時代は未熟だったはず。

「当時の感覚を忘れているだけで、自分も昔はこうだったかも」と考えるようにしてください。新卒社員と自分を同一視せずに客観視するクセをつけると、自分も相手も楽になります。

 リモートワークで身体的距離が離れても、コミュニケーション次第で心理的距離は縮められます。心は近くに寄り添えるように、新卒社員が本音を伝えやすい場を作ってください。

※記事の内容は、個人のプライバシーに配慮し一部編集、加工しています。

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