コロナ収束で年収「100万円ダウン」しても、あなたは胸を張って「今が幸せ」と言えますか?
2020年7月20日
ライフ日常の「平穏無事」がいかに幸せなことだったのかを改めて感じさせられているウィズコロナ時代。これからの「幸福論」について、日沖コンサルティング事務所代表の日沖健さんがアダム・スミスの考えを基に探ります。
withコロナの幸福な暮らしとは?
先日、東京都内のある神社に行きました。学業成就のご利益で有名な神社ですが、いつもの「○○大学合格!」という絵馬に交じって、次のような絵馬を見かけました。

「早くコロナ終息して」
「平穏無事で幸せな暮らしでありますよう」
新型コロナウイルスという巨大な脅威に直面し、私たちは「幸せは何なのか」と改めて考えるようになっています。
アダム・スミスの幸福論
古くからさまざまな幸福論がある中、意外と知られていないのが経済学の祖、アダム・スミスの幸福論。現在の日本人が考える幸福論と重なる部分が多いので、紹介しましょう。
スミスというと、“弱肉強食”の自由主義経済の信奉者だと思い勝ちですが、全く違います。スミスは、つつましく平穏無事な生活を送るのが幸せな状態であり、それ以上のぜいたくな暮らしは、幸福感とは無関係だと主張しています。
スミスは、主著『道徳感情論』(生涯のもうひとつの著作が『国富論』)の中で「賢人」と「弱い人」を対比させています。

「賢人」は、最低水準の富さえあればそれ以上の富は自分の幸福に何の影響ももたらさないと、考えます。それに対し「弱い人」は、最低水準の富を得た後も、富の増加が幸福を増大させると考えます。
ただ、ぜいたくな暮らしが無意味ということではありません。王侯貴族や成功者がぜいたく品を消費すると、ぜいたく品の生産に労働者が携わるようになる。最低限のものだけを生産する社会よりも多くの労働者が収入を得て、平穏無事な生活を送ることができるようになる――。
つまり、人々が大きな富を求めて自由に活動することによって、「見えざる手」に導かれて幸せな国民が増える。これが大ざっぱに言ってスミスの経済思想です。
コロナに平穏無事な生活を脅かされている状況で、「平穏無事な生活こそが幸せ」というスミスの考えに多くの人が賛同するのではないでしょうか。
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