コロナ禍の夏レジャーで「美術館」「博物館」がひそかに存在感を増す理由
来るウィズコロナの夏休み 7月も下旬に入り、夏休みシーズンに突入しました。制限されていた都道府県間の行き来も解禁され、レジャー・観光産業が徐々に始動し始めています。 東京にあるミュージアムのイメージ(画像:写真AC) しかし、7月に入り都内を始めとして各地で感染が拡大しており、2020年夏は感染予防を強く意識するウィズコロナでの夏休みとなります。不特定多数が大勢集まるレジャー施設ではコロナ予防対策が気になるところです。 テーマパークや遊園地、動物園、水族館、ミュージアムなどの定番レジャー施設では、 ・利用者の入場時の検温(37.5度以上の体温の人は、体調不良者の利用のお断り) ・入場時の手消毒の励行 ・スタッフのマスク、フェースガードの着用 ・スタッフの健康チェックの徹底 ・手に触れるところの消毒の徹底 ・施設内のソーシャルディスタンスの確保(アトラクションなどの席数の間引き、場合によっては入場規制の実施、もしくは事前にチケットを入手する完全予約制の実施) などのコロナ予防策をとっています。 東京都では感染拡大防止ガイドラインの徹底に取り組んでいる事業者に、「感染防止徹底宣言」ステッカーを配布しており、それがひとつの目安になるかもしれません。 感染を予防するため長く休園していた「東京ディズニーランド・東京ディズニーシー」(千葉県浦安市)や「サンリオピューロランド」(多摩市落合)も、7月に入って営業をスタートしました。 オープン日はキャラクターやスタッフが総出で利用者を迎え、感動で涙ぐむファンも見られました。 コロナ対策のためキャラクターグリーティングは直接の接触を避け、一定距離をおいて手を振る程度。しかし、気持ちだけは寄り添おうとギュッとするジェスチャーをしてくれるキャラクターもいて、それなりに気持ちが伝わってきます。 遊びに行っても入場規制の可能性も遊びに行っても入場規制の可能性も 気になるのは、人出が集中することです。 わが国のレジャー・観光は、ゴールデンウィークや夏休みなど特定の期間に極端に人出が偏る傾向があります。 働き方が長く均一的であったことがその理由で、遊びのために平日に休んだり、1か月程度の長期休暇を取得したり、人と違う時期に休むことが社会意識的にもなかなか難しくなっています。 都内をあわただしく移動する人たちのイメージ(画像:写真AC) レジャー施設は、特に8月のお盆に利用が集中します。この期間に多くの人を集め、効率的に回転させるのがレジャー施設の運営のポイントです。しかし、2020年はコロナのためにそうはきません。 事前チケット制で全体の入場者数をコントロールしているならばともかく、そうでなければ「密」な状態となる危険があり、場合によっては、せっかく行っても入場規制で利用できないことも考えられます。 今まで以上に魅力的なキャンペーン実施も 2020年の夏休みは、 ・お盆期間はできるだけ避ける ・休日よりも平日 ・可能ならば9月に入ってから取得する など、できるだけすいた時期を狙って分散取得することが肝要です。 遊園地のメリーゴーラウンド(画像:写真AC) 国内のレジャー施設において、コロナ以前から、閑散期と繁忙期の極端な集客格差が課題となってきました。 レジャー・観光産業はゴールデンウィークの分散実施、1か月程度の長期休暇取得の促進などを働きかけてきました。今回のコロナを契機に、国や自治体、企業で夏休みの分散取得が積極的に推奨されればと思います。 また、レジャー・観光産業も課題を解消するきっかけとなるよう、分散取得を促進するように、平日や閑散期の利用に今以上の魅力的な特典をつけるキャンペーンを行うなどの取り組みが期待されます。 アウトドア人気も 人手の多さに注意アウトドア人気も 人手の多さに注意 では、どのようなレジャーで感染リスクが低いのでしょうか。感染症の専門家は屋外でのレジャーを推奨しており、代表的なものとしてキャンプやグランピングなどのアウトドアレジャーが挙げられます。 アウトドアのイメージ(画像:写真AC) 実際、緊急事態宣言前の3月には、感染の心配が少ないと言うことでグランピングの利用が増えました。コロナ以前からアウトドアの人気は高まっており、2020年の夏休みは人出が増えると予測されます。 いくら屋外と言っても、キャンプ場の洗い場やトイレで人が密集したり、屋外で暑くてマスクをつけなかったり、バーベキューや水遊びで大声で騒いだりすると、感染が心配になります。 夏の強い日差しの下ではウイルスが活性化しないと言う見解もありますが、赤道に近い暑い地域でも感染が拡大しており、世界保健機関(WHO)も感染抑制の因果関係は不明と言っているため、現時点でリスクがないとは言えません。 やはりできるだけ人手の多い時期や場所を避けることが懸命です。 「避暑」としても使えるミュージアム 屋内施設と言っても美術館や博物館、科学館などのミュージアムの中には建物の階高が高く、吹き抜けやオープンエアのスペースが設けられ、比較的「密」になりにくい施設があります。 館内は冷房が効いているため、マスクをつけていても苦になりません。もちろん大声でしゃべる人もいません。 近年はミュージアムを「避暑」として利用する人が増えています。猛暑の夏には海やプールで遊ぶのも日差しが強くて厳しく、ミュージアムならば日焼けもせず、雨天でも利用できるので良いと言うことです。 遊園地の乗り物に乗る子ども(画像:写真AC) 大型の施設は休憩場所が幾つも設けられ、施設によっては関連する書籍のライブラリがあり、のんびり過ごせます。 現在、国内の博物館や美術館、科学館では「#エア美術館」や「#自宅でミュージアム」などのハッシュタグで画像や動画をアップしています。 国立科学博物館(台東区上野公園)では「おうちで体験!かはくVR」と銘打って3Dビュー+VRで館内の展示物を観賞することができます。このような画像や動画で予習してから、実物を見に行くのも良いでしょう。 注目があつまるドライブインシアター注目があつまるドライブインシアター 海外では感染リスクの低いレジャーとして、ドライブインシアターが注目されています。オープンエアのなにもない駐車場で、利用は自家用車の中に限定されるため、他の人と「密」になる心配がありません。 ドライブインシアターのイメージ(画像:ラコル) 映画だけでなく音楽ライブをドライブインシアター形式で行うイベントも見られます。国内では、1990年代に松竹シネ・ファイジャパンの「MOVIX」などのドライブインシアターが各地に開発されましたが、撤退して残っていません。 しかし、現在は野外シアター系の団体がイベントとしてドライブインシアターを開催し、ウィズコロナでのエンターテインメントとして注目されています。 野外シアターを展開する「Do it Theater(ドゥ・イット・シアター)」(目黒区中目黒)は2020年6月13、14日にイオンモール幕張新都心で「SING/シング」、「バーレスク」、6月20日に東京タワーで「スパイダーマン:スパイダーバース」、7月17~19日に大磯ロングビーチで「ラ・ラ・ランド」、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」などを上映しました。8月にも大阪万博記念公園(大阪府吹田市)で開催が予定されています。この機会にドライブインシアターの風情を楽しむのも良いでしょう。 2020年の夏休みは、くれぐれもコロナ予防に気を付けてレジャー施設をご利用してください。
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