ありのままの自分を愛したい。渋谷の中心で「ヨガ+豚骨麺」 大阪発のイベントが上陸

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ありのままの自分を愛したい。渋谷の中心で「ヨガ+豚骨麺」 大阪発のイベントが上陸

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渋谷駅の近くで2018年5月、「ヨガとんこつ」という名のイベントが開催されました。ヨガをした後に豚骨ラーメンを食べるという一風変わった同イベント。いったいなぜ開催されたのでしょうか。

とんかつとキャベツの関係に似ている?

 晴天に恵まれた2018年5月20日(日)。渋谷駅の近くで、ヨガをした後に豚骨ラーメンを食べるというイベント、その名も「ヨガとんこつ」が行われました。東京初開催で、おもだったPRをしていないにもかかわらず、当日は100人以上が参加。いったいどのような経緯で行われたのでしょうか。

 イベントをプロデュースしたのは、「FAT BOY MEAT GIRLSを応援する!」をコンセプトにかかげる大阪のガレージブランド「FAT College(ファット・カレッジ)」です。
 
 ガレージブランドとは、小規模ながら個性あるアイテムを作るブランドのこと。「FAT College」は2012(平成24)年3月の立ち上げ以来、大阪を中心にオリジナルTシャツやバンダナ、キーホルダーなどの雑貨を販売するほか、飲食店とのコラボイベントなども行ってきました。

2018年5月20日に行われた「ヨガとんこつ」の様子(画像:FAT College)



「FAT College」のプロデューサー・北口あおいさん(45歳、体重113kg)はこれまで、大阪市内で「ヨガとんこつ」を2回開催してきました。同イベントを始めたきっかけは、知り合いのヨガインストラクター・ナカタリツコさんと食事をしながら雑談していた際、コラボイベントの話を持ち掛けられたからです。2015年春のことでした。

「『せっかくコラボするなら、ヨガのイメージとは正反対のものが面白いよね』ということになりまして。そういえば周りの人から『豚骨ラーメンは食べると太るから抵抗がある』と聞いていたことを思い出して、それなら豚骨ラーメン食べる前にヨガをしたら、運動できるし面白くてええやん、となったわけです。

 感覚としては、とんかつを食べるときにキャベツも食べるのに近いというか。それに、街の『たまり場』を作れますしね。ブランド名が『FAT』だけに、アイデアも頭の中にファッと降りてきましたよ(笑)」(北口さん)

 実現に向けてさっそく行動を起こした北口さん。ラーメン店「ヌードルヤME-CHA-KU-CHA」(大阪市西区)を経営する知人に相談したところ、ふたつ返事で協力のOKをもらいました。豚骨ラーメンに使うチャーシューには「FAT College」のロゴを入れることに。

東京でのイベントで提供された豚骨ラーメン(画像:FAT College)

 第1回の開催はそれから数カ月後のこと。ナカタさんのツテを頼って、大阪市内の萬福寺の本堂や入口を会場に実施。友人など約40人が集まりました。2回目はその1年後で、同じく萬福寺で開催。2部制にしたこともあり、参加者は約100人にまで増えました。

「JOURNAL STANDARD」が注目、東京でコラボ開催へ

 しかし大阪のいちガレージブランドが東京・渋谷でいきなりイベントを行うことは簡単ではありません。「ヨガとんこつ」東京開催には、セレクトショップ大手のベイクルーズ(渋谷区渋谷)が手掛けるブランド、「JOURNAL STANDARD(ジャーナル・スタンダード)」の協力があったのです。

 1997(平成9)年にスタートした「JOURNAL STANDARD」は、アメリカンテイストのオリジナル商品と国内外のセレクト商品を展開し、これまでグローバルな商品とファッションスタイルを提案してきたブランドとして、お洒落に敏感な人たちからは知られた存在です。

左からナカタさん、北口さん、「ヌードルヤME-CHA-KU-CHA」の店主。東京開催のイベントで(画像:FAT College)

「FAT BOY」や「MEAT GIRLS」と一見反対のイメージに映る「JOURNAL STANDARD」が、「FAT College」に関心を持ったのは2017年3月のこと。同ブランドと取引がある知人が北口さんにこう教えてくれました。

「ジャーナルさんにいきなり『FAT Collegeを知ってる?』って聞かれたんだ。だから、自分の友達ですって伝えておいたよ」。

「JOURNAL STANDARD」はインスタグラムで「FAT College」の存在を知り、その独自性に関心を持っていました。その後、両者は顔合わせを行い、東京で「ヨガとんこつ」を開催することに。会場は、ベイクルーズの本社がある複合施設「SHIBUYA CAST.」の広場に決まりました。渋谷駅から徒歩数分の近さです。

7割は女性、絶えない笑いの声

「JOURNAL STANDARD」とのつながりから1年2カ月が過ぎた、イベント当日の5月20日。会場には100人以上が訪れました。そのうち7割は女性です。

 イベントは午前と午後の2部制で、それぞれ1時間ずつヨガを行います。ヨガウェアなどに身を包んだ女性とは対照的に、男性はTシャツにハーフパンツとラフな格好。ヨガマットを持っていない人たちは、地面にバスタオルを敷いて来たる時を待っていました。

 午前10時30分から始まったヨガ。柔軟運動と、初心者でも無理なくできる基本ポーズを経て、イベント独自の2種類のポーズに突入します。

「これは『ヨガとんこつ』のポーズです」
「これは『替え玉ちょうだい』のポーズです」。

 指導するナカタさんの説明に、参加者からは笑いの声が漏れます。「真面目にヨガするつもりで来たのにやられたわ(笑)」。

2018年5月20日に行われた「ヨガとんこつ」の様子(画像:FAT College)

 1時間はあっという間に終了。その日の最高気温は、5月にしては珍しい22度。ヨガ終了後には「お風呂に入ったみたい」と汗をぬぐう参加者もいました。豚骨ラーメンもそのような暑さに考慮して、急きょ臭みを抑えた「あっさりバージョン」で提供することに。皆さんお腹が空いていたのでしょう。替え玉をおかわりする人が少なくありませんでした。

「暑い中わざわざヨガをやったのに、豚骨ラーメンを食べるというシチュエーションのせいか、参加した人は食べている間、終始ニヤついていましたね」(北口さん)

 面白い人を誘って、街の「たまり場」を作りたいという北口さんのもくろみは、見事成功。最後に笑いながらこう話します。

「これは本気でやせるイベントじゃありませんから(笑)。イベントに参加したことで、ありのままの自分を愛してくれたらそれでいいんです。太っている人であれば『ポジティブファット』になってほしい。渡辺直美さんみたいな感じですよ」(北口さん)

 どこまでも陽気な大阪発の「ヨガとんこつ」。次回の開催は、2020年を予定しているそうです。

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