東京の喫茶店が激増したのは関東大震災後から 混乱の日々を癒した驚きのサービスとは
2021年1月20日
知る!TOKYO日本で初めて喫茶店ができたのは1888年のこと。その後、関東大震災をきっかけにその数を増やしていきます。フリーライターの本間めい子さんが解説します。
1年で55軒から159軒までに増加
東京の喫茶店の始まりは、1888年(明治21)年に開業した「可否茶館(かひさかん)」とされており、台東区上野には「日本最初の喫茶店『可否茶館』跡地」の碑が立っています。

東京で喫茶店が数を増やしたのは、1923(大正12)年に発生した関東大震災後とされています。
『東京市統計年表』には1898(明治31)年以降の喫茶店の数が記されており、これによると、1898年には戦前の東京市の旧市部(1932年以前の東京15区)に69軒だった喫茶店が、1940(昭和15)年には2867軒にまで増えています。そのなかでも特に1923年から1924年までで、55軒から159軒へと急増しているのです。
なぜか喫茶店だけが増加
建築史家・初田亨さんは著書『繁華街の近代 都市・東京の消費空間』(東京大学出版会、2004年)のなかでこの増加に言及し、
「関東大震災で数多くの建物がなくなっていること、さらにバラック以外建てることの難しかった当時の状況を考えると、いかに増えたかがわかる」
と記しています。
また喫茶店と同じように「警察取締ヲ要スル諸営業」とされた料理店や飲食店が1923年にすべて減っているにもかかわらず、喫茶店だけが増えていることにも言及しています。

初田さんは著書のなかで、喫茶店だけが増えた理由を明確に語っていませんが、理由を考察できるヒントには出会えます。
震災後の喫茶店の発展を記した部分では、
「昭和の初めには、喫茶店は友達と語らう場、休むことのできる場、大衆的な社交場として利用されていたのである」
としています。
おそらくは混乱の続く慌ただしい日々のなか、料理店ほど腰を据えられないが、少し落ち着けたり、人と語らったりできる場として喫茶店が受けたのではないかと想像できます。

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