まるで蛇の群れ? 東京の地下鉄路線が「クネクネ」曲がっている理由
2020年8月30日
知る!TOKYO東京の地下鉄の路線図を見ていて、誰もが1度は思うこと。それが「なぜこんなにクネクネしているんだろう」でしょう。そんな疑問について、ルポライターの昼間たかしさんが解説します。
「皇居があるため」は間違い
東京の地下鉄は、なぜ蛇のようにクネクネ曲がっているのか――その理由としてよく言われるのが「皇居があるため」です。しかし、これは決して正しい答えではありません。
日本の地下鉄の始まりは、1927(昭和2)年に浅草~上野間で開通した現在の銀座線です。この路線は新橋へと以降延伸し、現在は渋谷まで及んでいます。
銀座線は現在、「東京メトロ」の通称で知られる東京地下鉄(台東区東上野)が運営しています。それ以前の2004(平成16)年までは帝都高速度交通営団という物々しい正式名称と通称「営団線」で知られていました。
当初、新橋までは民間企業の東京地下鉄道によって建設されていました。そして新橋から渋谷までは同じく民間企業の東京高速鉄道によるものでした。そして国策によって、戦時下の1941(昭和16)年、営団となりました。
最初に浅草~上野間で開通した理由は、当時の浅草が一大繁華街であり、さらなる売り上げを目指せるという経営上の理由でした。そこを先行で開通させて得た資金で新橋まで工事を進めたというわけです。
上野駅から先、新橋駅までの路線もより多くの乗客を獲得するためには、日本橋や銀座などの繁華街を通らねばなりません。そうして、自然と曲がりくねった路線になったのです。
背景に江戸からの事情も
さらに戦後になり地下鉄の需要が高まると、次々と新たな路線が計画されていきます。まったくの荒野に新しい街を築くのと異なり、東京は既に出来上がった街です。

そのため、いざ地下鉄を通そうとすると地下使用権を得るための用地買収の費用も大きく膨らんでしまいます。そこで、地下鉄は費用を抑えるために国道や都道など公共の道路の下に造られていきます。
東京の道路は江戸城が築かれて江戸の街が始まった以来、城を取り囲むように同心円状に整備されています。その下を通りつつ、需要の多い場所に駅を造り、ほかの路線との接続も果たそうとするわけです。
路線は曲がりくねったのは必然的だったのです。対称的に、大阪は道路が直線を基本として整備されているため、地下鉄も直線の多い路線となっています。

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