賛否両論「男性用コスメ」 利用者の共通点から浮かんだキーパーソンの存在とは

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賛否両論「男性用コスメ」 利用者の共通点から浮かんだキーパーソンの存在とは

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橿村芽久未

TesTeeトレンド分析担当

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近年よく耳にするようになった「メンズコスメ」。美容や肌の健康に熱心に取り組む男性が少しずつ増える一方、無関心という人もまだまだ多い様子。男性がコスメアイテムを使うきっかけとして欠かせないものとは? TesTeeトレンド分析担当の橿村芽久未さんが解説します。

コロナ禍に高まった健康・美容への意識

 新型コロナウイルス感染拡大による初めての外出の自粛要請からすでに半年以上が経過し、マスクを着用しての外出はもはや習慣化されてきています。

 花粉症・風邪以外では着用することのなかったマスクを日常的に使用すること、在宅勤務の人はウェブカメラを通して自分の顔を見る機会が増加したのではないでしょうか。

 また、外出を控えることで必然的に家にいる時間が増えた人も多くいます。その中で、適度な運動の機会を作ることの重要さや、自宅での食事における栄養バランスの見直しなど、あらためて健康や美容を意識するきっかけとなった人も多いと思います。

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 健康や美容に関しては従来から女性もののイメージが強くある人も多いでしょう。ここで、昨今のジェンダーに関しても少し触れたいと思います。

 近年は自身の自認性を公表することに関して、寛容な社会を作っていこうとする動きが活発化しています。

 LGBTQというキーワードをはじめとして、「ジェンダー」に関するニュースや情報が多く散見されるようになりました。

 アパレルではジェンダーレス(フリー)のラインや、ユニセックスラインが登場し、性別の枠に囚われずに着用可能なファッション用品が増えています。

近年メンズコスメの先駆け BULK HOMMEの登場

 もともと男性詞の要素が強い「おひとりさま」は、女性も楽しめるよう工夫された店舗や内装によってジェンダーレスなコンテンツに。今では女性のソロキャンプ本なども見かけるようになりました。

 今回のテーマとなる「美容・コスメ」は女性がするものとイメージする人も多いと思いますが、もはやコスメは化粧をする道具を指すだけではなく「スキンケアや身嗜み関連用品」の総称と考える方が自然なように思えます。

女性に人気のオーガニックコスメのセレクトショップ「コスメキッチン」が全店で男性向けコーナーを設置するなど、メンズコスメへの注目は年々高まっている(画像:マッシュホールディングス)



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 メンズコスメを語る際、外せないのは2013年に誕生した「BULK HOMME(バルクオム)」(渋谷区渋谷)の存在です。メンズコスメの利用を男性の身嗜みとしてブランディングし、サブスクリプションサービス(月額定期便・定額制)のシステムでケアを日常的に行うように意識付けることに成功しました。

 そんなBULK HOMMEを皮切りに、老舗ブランドやコスメ業界もメンズラインやユニセックスラインのコスメ・スキンケア用品を開発・販売し、今では男性の選択肢も広がりました。

 2019年には伊勢丹新宿店メンズ館(新宿区新宿)に「メンズコスメ」の体験・テクスチャーの試供スペースが誕生し、「メンズコスメ用品を試してみたい」という潜在的にニーズに応えました。

 女性にはなじみのあるBA(beauty adviser、美容部員)に代わって「コンサルティングスペース」を設けることで、全く知識の無い男性にも試しやすいような工夫がされています。

 また、いち早くメンズコスメ・スキンケアに注目していたLOFT(ロフト)の公式ネットストアでは現在500点以上のアイテムを販売しています(2020年12月時点)。

「コスメ」という言葉の性別差の融和や、「おうち時間」と呼ばれる巣ごもり需要をきっかけに高まったケア用品のメンズラインについて、若年層のトレンド調査を行い情報発信している「TesTeeLab」(運営・テスティー、中央区日本橋兜町)のアンケート結果から「メンズコスメ・スキンケア」の現状の認知をご紹介します。

10~20代男性、過半数が「肌悩みアリ」

「メンズコスメに関する調査」は2020年5月、10~20代の男性1055人(10代男性491人、20代男性564人)を対象に実施しました。

 まず10~20代の男性1055人を対象に肌の悩みの有無を聞いたところ、年代問わず半数以上が「悩みがある」と回答しました。10代は74.1%、20代は61.2%と10代のほうがより肌に悩みを抱えているということが分かりました。

10~20代男性に聞いた「肌の悩みランキング」。ニキビやできものに悩む男性が多い(画像:TesTee)



 自身の肌に悩みがあると回答した人を対象に、その悩みについて尋ねると10代・20代ともに第1位は「ニキビやできもの」という結果となりました。

 その一方、「スキンケアを日常的に行っていますか?」と尋ねると日常的にスキンケアを行っていると回答した人は全体で3割程度にとどまりました。

 悩みを持っている人は多いものの、スキンケアを習慣化している人はまだまだ少ないようです。

 続いて、メンズコスメという単語を知っているかどうかを聞いたところ、知っていると回答した人は10代で53.3%、20代で68.1%と、10代よりも20代の認知率が高いことが分かりました。

 そこで、「メンズコスメ」という単語を知っていると回答した人を対象に、利用経験を尋ねたところ、「メンズコスメの利用経験がある」と回答した人は10代で27.3%、20代で32.2%となりました。

 利用種類では「スキンケア」が最も多く、6割程度となりました。

人からのプレゼントがきっかけで……

 そして、メンズコスメをプレゼントされた経験があるかを聞いたところ、「経験がある」と回答した人は全体で5割となりました。「プレゼントは誰からもらったか」を尋ねたところ、10代・20代ともに第1位は「友達」、第2位は「家族」という結果になりました。

10~20代男性に聞いた「メンズコスメの利用経験」。20代の方が利用経験者は多い(画像:TesTee)



 肌に悩みはあるものの、日常的にスキンケアを行う習慣を持たない男性にとって「友人からのプレゼント」という形は認知のきっかけとなっているようです。

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 前述の通り、コロナ禍の「おうち時間」が健康への関心を高め、その延長として初めて挑戦してみたという男性も少なくないメンズコスメ。InstagramなどのSNSでは、自らの美容ルーティンを積極的に発信している男性アカウントも数多く見られます。

 とはいえ、世間の男性全体で見ればコスメユーザーはまだまだ少数派。

 伊勢丹新宿店メンズ館のバイヤー池田康信さんは「(男性も)化粧品を使い始めるとその効果効能を感じてきちんと使い続ける」とも話しています(2019年3月15日配信『ISETAN MEN’S net』)。

 身近な男性にコスメアイテムをプレゼントしてみることは、彼らにとって新たな発見につながる機会となるかもしれません。

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