テレワークの大敵「お布団」の誘惑に負けそうな人たちがひそかに集まる、練馬の「作業カフェ」とは【連載】東京・居場所さがし(10)

約1400万人もの人が住んでいるのに、ほとんど交わることのない東京は「孤独」を感じやすい街といえるでしょう。たったひとり暮らす大都会で、どうすれば自分の居場所を見つけられるのか。漫画家でイラストレーターのいしいまきさんが「脱ひとりぼっち」の方法を模索します。


定期的に主催する「作業カフェ」

「もくもく作業カフェ」というイベントをはじめました。ひとりでは作業するのがおっくうな人のための互助会のようなものです。場所は江古田駅5分のイベントバー「moja2」(練馬区栄町)。

 わたし(いしいまき、漫画家)がこのイベントをやろうと思ったきっかけのひとつは、シンプルに言えば「コワーキングスペース代の節約」です。

 イベントバーで、1日だけ自分の自由に店を切り盛りする「1日店長」をやれば場所代なしでイベントが開けるのです。

 以前住んでいた場所の近くには、無料で使える図書館内にコワーキングスペースがあったのですが、2020年に入って引っ越しをして以来、“仕事場難民”になってしまいました。

 漫画家の仕事はひとり作業が少なくありません。ですから、やるもやらないも自分の気合次第のようなところがあります。切羽詰まったら家で仕事するのですが、そこまでではない場合、家にはお布団という最大にして最強の誘惑が存在するのですよね。

家で作業をしていると、つい怠けてしまったりお布団の誘惑に負けてしまったり……(いしいまきさん制作)



 わたしは意志が弱いので誘惑に負けることもしばしば。自己嫌悪に陥ってしまいます。コロナ以降リモートワークになって家で仕事をする大変さに直面している人もいるのではないでしょうか。

基本ゆるめ、気乗りしない日は開かない

 外に出て新鮮な空気に触れることで集中できたりもするもの。でも毎回カフェで仕事していたらドリンク代も馬鹿にならないしな……と考えあぐねていました。

 ちょうどいい場所がないなら、自分で作ってみようかな? こうして、もくもく作業カフェというイベントを設けることにしました。

 イベントバーでは自分でイベントを開いたら場所代もかからないし、もし売上があった場合は少しおこづかいにもなります。誰か来てくれたらラッキー。来なくてもタダで場所が使えてラッキーというわけです。

 もうひとつの理由として、やはりコロナで鬱々(うつうつ)としていたというのがあります。

 引っ越して「さあ街を散策しよう!」と思ったとたん、出歩けなくなってしまいました。ちょうど仕事も途切れたときで、社会とのつながりが希薄になり不安な気持ちもでてきたのです。

 なので人と会って時間を共有したかったという気持ちもありました。

「もくもく会」というのはもともと元日本一有名なニートで作家のphaさんが始めたゆるい互助会で、ファミレスなどで集まって思い思いに作業する会だったと記憶しています。

 phaさんの著書を読み、ゆるい感じの会でいいなあと思っていました。

 それを参考にわたしも低いハードルで始めました。気乗りしない日はやりません。

過度な干渉はしない、場所だけ共にする

 もくもく作業カフェは基本的に「わたし作業してるから何か作業したい人は来てね。それぞれの作業をそれぞれでやろう」というスタンスなので接客もしません。お金をいただいて店にあるドリンクを出すくらいです。

 ひとりだとダラダラして作業にならない人が集まる互助会のようなものなので、漫画家とはいえとくに漫画の描き方を教えたりもしていません。ここに来て充実した作業時間が過ごせるかどうかは自分次第という感じです。

お互い自分の作業に取り組む。干渉し合わない居心地の良さがある(いしいまきさん制作)



 というと冷たい感じもしますがお互い過度な期待はせず、場所だけ解放しあとは好きにやってね、というのが気に入っています。

 一度来てみて「なんか違ったな……」という人は途中で帰ってもいいし、しばらく間をおいてまた来てもらってもいいのです。

 以前はご飯を出して接客するイベントもやっていたのですが、気をつかいすぎる自分はすごく大変に思えたのであえて低いハードルにしました。心が疲れていたのでゆるーい意識低い感じのものがやりたかったのです。

 だいたい3~5人くらいの少人数ではありますが、毎回誰かしらが来てくれています。開催のお知らせはツイッターで。もともとこのバーのお客さんだった人が多いけど、初めての人も興味を持って参加してくれています。

 みなさん読書をしたり、絵を描いたり、スマホのデータを移行する人、ネットショッピングをする人などさまざまです。

誰でも開ける、自分の心地いい場所

 人に会うのは精神衛生上とてもいいですね。脳と心が活性化する気がします。

 また、やはり人の目があると「作業をなくては!」という意識が芽生えるのでそういう意味でもイベントにして他の人を呼ぶというのは意味があるなと思っています。

 ただ少し気になっていることもあります。それはわたしの知り合いやお話好きの人が来店してくれた場合、つい私語をしたりお菓子を食べたりして作業にならないことがあるということです。

 とても楽しくていいのですが、集中して作業したい人や会話に入れない人などへの配慮も必要だなと考えています。

 なのでこれからやるときは黙々タイム(私語禁止)とゆるタイム(私語OK)に時間で分けるのもいいかな、なんて思っています。マスクはしていますが、私語が減ると感染リスクもより抑えられるでしょうし。

「そういうのいいな~」と思った人は、だれでもできるので主催者になるのをおすすめします。

 自分でイベントをやることの最大のメリットって自由にルールを決められることですよね。

 ずっと「私語禁止」にしてもいいし、「英語の勉強している人」だけを募ってもいい。ウェブ会議システムZoomでやってもいいですよね。

 せっかく上京してきて引っ越して都会にきたのにコロナ……。閉塞感もありましたがいろいろ工夫してメンタルを癒しつつ社会とつながっていけたらいいな思います。


【アンケート結果】20~50代が考える「在宅ワーク」のメリット・デメリット

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