麻布・広尾・目黒に「高級住宅街」「下町」の真逆イメージが両方根付いた歴史的経緯(後編)
2020年10月31日
知る!TOKYO麻布・広尾・目黒という土地のイメージと歴史について考える、ジェイ・エム・アール生活総合研究所社長の松田久一さんの連載(全3回)。3回目のテーマは、近現代のまちづくりについて。
戦後に訪れた価値の大転換
麻布、広尾、目黒という主に日比谷線沿線の地名を聞くと、芸能人や著名人が多く住み、住みたいが手の届かない「山の手」の「お屋敷町」、「高級住宅街」というイメージがあります。実際、沿線別の路線地価は極めて高くなっています。
他方で、地元民や年配者などは全く対極のイメージも持っています。意外ですが、「原っぱ」、「庶民層」、「ブルーワーカー」などの印象です。この地域の1960年代は、映画『ALWAYS三丁目の夕日』の舞台に近いかもしれません。
この二重性をひも解いてみようとするのが本稿の狙いです。3回続きの第3回は、近現代のまちづくりという側面から。
※ ※ ※
東京の南西地域の丘陵地域が持つ、対極的な二重性。なぜ、このようなイメージが持たれるようになったのでしょうか。

理由を要約すれば、江戸の自然地形を利用して江戸のまちづくりを計画的に行った徳川家康、そして、それを近代都市化しようとした明治新政府、震災と戦争の破壊からの再建計画、戦後の高度経済成長、バブル経済による地価急騰と崩壊、そしてアベノミクスなどが重ね合わされた結果です。
この歴史的変化によって、この地域の価値が逆転し、表面と深部が逆のイメージを持つことになったようです。
パリのような計画的なヨーロッパ都市では、このような二重性は生まれなかったでしょう。

New Article
新着記事
-
自分が住む街のブランドイメージなんてこれっぽっちも気にしない人に贈る――私の「嫌悪施設」考【連載】東京下町ベースキャンプ(番外編)
2021年2月27日
-
飲んべえの聖地・葛飾区「立石」――地名の由来はビックリするほど小さい「石」だった
2021年2月26日
-
東京・板橋区にある「2つの富士山」知ってる? 行ったみたら、実にコンパクトな眺望で驚いた【連載】分け入っても低い山(2)
2021年2月26日
-
かつて水車タウンだった「目黒区」から水車が消えてしまった、マンガみたいな理由
2021年2月25日
-
渋沢栄一の偉業は東京だけじゃなかった! 静岡を日本屈指の「お茶王国」にした実績をご存じか【青天を衝け 序説】
2021年2月23日
Weekly Ranking
ランキング
- 知る!
TOKYO - お出かけ
- ライフ
- オリジナル
漫画