「都営」なのに、新宿線の終点「本八幡駅」が千葉県にあるワケ
2021年3月21日
知る!TOKYO全国の公営鉄道のなかで、都道府県を越境しているのは「都営新宿線」だけ。終点の本八幡駅は千葉県にあります。いったいなぜでしょうか。フリーライターの弘中新一さんが解説します。
都営なのに駅は千葉県に?
都営新宿線は都心を東西に横切る路線で、東京に住む人は利用する機会が多いでしょう。そんな都営新宿線の東の終点は千葉県市川市にある本八幡駅です。なぜか東京都の路線にもかかわらず、隣の千葉県まで路線が延びているのです。
全国の公営鉄道のなかで、都道府県を越境して路線が延びているのは、都営新宿線しかありません。しかも都営新宿線の本八幡駅は総武線の本八幡駅、京成線の京成八幡駅と縦に交わるような形で走っており、なかなか興味深いです。
この都営新宿線が走っていることで、市川市は船橋市と並ぶ東京のベッドタウンとして栄えています。では、都営新宿線が千葉県まで走っている理由は利便性だけなのでしょうか。
そこには、千葉県の未完の夢がありました。
江東区・江戸川区の交通網整備が目的
都営新宿線の基本となっているのは、1968(昭和43)年に都市交通審議会の答申で「芦花公園方面より新宿及び靖国通りの各方面を経由し、市ヶ谷、神保町、須田町及び浜町の各方面を経て住吉町方面へ至る」東京10号線として計画されたものです。

当初の目的は、人口が急増していた江東区・江戸川区の交通網の整備でした。
例えば江戸川区では1950年の国勢調査で20万8861人だった人口が、1965年には40万5139人と倍増していました(2021年1月時点では69万5797人で、23区中4位)。その人口増に対応するために計画されたのが、10号線でした。
1978年に岩本町~東大島間が先行して開業。その後順次開業し、最後の篠崎~本八幡間が開業したのは1989(平成元)年のことでした。この時点で本八幡駅は仮設駅で、1991年に本設化。京王線の乗り入れも始まっています。

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