コロナ禍の「オンライン授業」、実はメリットが多い? 都内大学の授業スタートを機に考える
コロナ禍で迎える2回目の新年度 新型コロナウイルスの感染拡大で、2020年春の各大学の卒業式・入学式は相次いで中止となりました。その後、オンライン授業導入で緊急事態に対応するなど、キャンパスライフは激変しました。 そんななか、東京都内の各大学は2021年度に向けてさまざまな動きを見せています。 都市型キャンパスの代名詞のひとつである超高層ビル「ボアソナード・タワー」を有する法政大学(千代田区富士見)の市ケ谷キャンパスでは一部の授業を除き、春学期授業がスタートする4月7日から、オンライン授業を1週間程度行います。 受講人数を把握次第、4月14日(水)から文部科学省が提唱する「学校の新しい生活様式」を基に教室・講義室での定員を設けるなど、対面授業へと移行できるよう準備しています(3月19日付「2021 年度の授業実施について(第3報)」)。 法政大学は、2021年度の授業について基本的に通学を前提としているため、地方在住の学生には通いやすいよう転居を促しています。 早稲田は全授業の7割を対面で早稲田は全授業の7割を対面で 一方、郊外型キャンパスとして有名な中央大学(八王子市東中野)の法学部でも対面授業の動きが見られますが、事情が少々異なるようです。 2月1日時点で、対面での授業機会を5割以上確保できるよう準備。また遠方に住んでいる学生に対しては、オンラインと対面授業での差が出ないよう配慮するとしています。 しかし演習科目や語学といった授業では、対面授業での実施を前提としています。2020年度と比べてキャンパス内での授業が増えるため、2021年度は実家暮らしの学生も転居する必要があります。 早稲田大学(新宿区戸塚町)も、全授業の7割を対面で行うことを目指しています。 新宿区戸塚町にある早稲田大学(画像:写真AC) 看板学部である政治経済学部は「政治経済学部2021年度の授業実施方針について」内で、対面を前提にしている演習科目や語学科目は大学への登校を基本としており、オンライン受講等の配慮は行わないとしています。 各大学とも、感染状況の悪化によっては対面授業からオンライン対応に切り替えるとしており、2021年度も新学期は流動的ななかでスタートします。 海外とのつながりを生かす東大と明治大 オンラインの特性を生かし、海外とのつながりを維持したり、新たな取り組みを行ったりする大学も出てきています。 3月19日付の日本経済新聞によると、東京大学(文京区本郷)はポストコロナ時代の新たな教育を構築すべく、海外にある大学の研究員を東京大学の教員に登用する「グローバル・フェロー制度」を発表しています。 文京区本郷にある東京大学(画像:写真AC) コロナ禍で、世界中の大学の交流も停滞。今回の制度はこうした状況を打破する狙いもありますが、日本にいながら第一線で活躍している海外の教員の授業を受けられるというメリットもあります。 対面とオンラインの組み合わせ構築対面とオンラインの組み合わせ構築 また、活動制限指針を制定している明治大学(千代田区神田駿河台)も海外交流や短期留学をオンライン授業で実施しています。 千代田区神田駿河台にある明治大学(画像:(C)Google) 法学部は、2013年度から始めた部門協定校のハワイ大学による春期法学研修をオンラインで実施。また政治経済学部は、コロナ禍以前から開講していたオンライン留学体験「トップスクールセミナー」を現地同様、すべて英語で行っています。 このような取り組みやスタイルは、明治大学だけでなく他の大学でも充実していくと考えられます。 2021年度は対面授業再開へと動き出している大学も見られるものの、いまだ「にぎやかなキャンパス」とは言えない状況です。 コロナ禍で迎える2年目の春は、これまでの対面授業とオンライン授業の組み合わせによる新たな大学教育のスタート元年となります。 特に海外とのやり取りがオンライン授業の主流となるため、簡単に留学費用が準備できない学生にとっては逆にチャンスの時代でもあります。混乱のなかにあっても、学業に励む学生にとって恩恵がもたされることを期待しています。
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