部外者はてんやわんや? 東京23区の高級住宅街に「一方通行」が多いワケ
2020年9月1日
ライフ「日本のビバリーヒルズ」とも言われる渋谷区松濤を始めとして、都内にはいくつもの高級住宅街があります。そんなエリアには「一方通行」が多いと、住宅評論家の櫻井幸雄さんは言います。いったいなぜでしょうか。
目的地にたどり着きづらい印象も
渋谷区の松濤(しょうとう)に世田谷区の成城学園前駅周辺、そして練馬区の西武池袋線の大泉学園駅周辺……いずれも、東京23区内に残る歴史ある一戸建て住宅地、そして高級住宅地としても知られています。
それらの住宅地が開発されたのは、ほぼ同時期。大正末期から昭和初期においてです。そして、もうひとつ共通する特徴は「一方通行の道が多い」ということ。

昭和後期以降に開発された郊外の住宅地と比べると、住宅地内の道路が狭く、一方通行が多く、なかなか目的地にたどり着けません。そのため、住人以外にとっては車で走りにくい印象を受ける場所が多くなっています。
この狭い一方通行の道は、あえて設けられたものです。そして、現在も住人の安全を守る役割を立派に果たしており、古人の知恵に感服させられます。
歴史ある住宅地のある「一方通行の道」に秘められた知恵にスポットを当ててみましょう。
安全配慮の街づくりは関東大震災後から
23区内に所在する高級住宅地の多くは、97年前の今日、1923(大正12)年9月1日の関東大震災が発生した後に開発が始まりました。

関東大震災を契機に、東京都内では地震に強い街をつくろうという動きが起こり、新しい一戸建て住宅地が開発されたのです。
開発が行われた住宅地はいずれも高台で地盤が固く、坂が少ないフラットな場所。そして、地震に強いだけでなく、事故の心配なく歩きやすいなど、あらゆる面での「安全」に配慮した街づくりが行われました。
当時、増え始めた車への対策も考えられ、交通事故が起きにくい街づくりの工夫が盛り込まれました。

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