【終戦75年】「俺が死んだら何人泣くべ」 特攻隊員が残した覚悟の遺書と、たったひと言の偽らざる気持ち
2020年8月10日
ライフ2020年の終戦記念日が近づいてきました。軍司令部の名を受け、特攻隊員として亡くなった若者は出陣の直前、どのような思いでいたのか。ノンフィクション作家の合田一道さんがひとりの男性に迫ります。
大きくなったら戦地へと信じた少年期
東京でも猛暑日を記録する日が続いています。まさに真夏といったこの時期、終戦記念日(8月15日)が近づいてくると、あの文言がよみがえってきます。
「俺が死んだら何人泣くべ」
若き特攻隊員、前田啓が出撃前に書き記した文言です。

北海道室蘭市出身。23歳。1945(昭和20)年4月3日朝出撃、と記録されています。
この書を鹿児島県知覧町の知覧特攻平和会館で見たのはもう30年も前ですが、いまもまぶたに焼きついて離れません。一読して分ける北海道弁。筆者(合田一道。ノンフィクション作家)も北海道生まれなだけに、この表現がズシンと胸を突くのです。
戦争たけなわの頃、まだ小学生だった筆者は、「小国民」として国民学校(小学校のこと)に通い、軍国教育を受けていました。ですから何の疑いも抱かず、大きくなったら戦地へ行こうと、本気で考えていました。
同級生の男子たちも皆、同じ思いで、中には「俺は陸軍大将になる」などと胸を張る子もいました。

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