IR法成立で高まる「カジノディーラー」需要、その年収はいかほど? 養成学校に聞いてみた

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IR法成立で高まる「カジノディーラー」需要、その年収はいかほど? 養成学校に聞いてみた

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2018年にカジノ法案が国会で可決したことで、カジノディーラーの需要の高まりが予想されています。日本では馴染みの薄い職種ですが、どのような仕事、キャリアパスがあるのでしょうか。日本カジノ学院代表の贄田崇矢さんに話を聞きました。

年収は1000万円クラスも

 カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案、通称「カジノ法案」が2018年7月、国会で可決したのは記憶に新しいところです。同法は、依存症の問題などで反対意見が根強い一方、IRを成長産業と位置付け、誘致に積極的な自治体が増えつつあります。

カジノ法案の可決により、カジノディーラーは新しい職種として需要が高まることが予想される(2019年7月、宮崎佳代子撮影)



 日本政府は当面、IRの施設数を全国3か所と発表しています。その開業に向けて需要が高まる新しい職種に「カジノディーラー(以下、ディーラー)」が挙げられます。日本では馴染みが薄いですが、どんな仕事で、キャリアパスのあるものなのでしょうか。ディーラーを養成している、日本カジノ学院渋谷校(渋谷区神南)を訪れ、同学院代表の贄田崇矢(にえだ たかや)さんに話を聞きました。

「日本人はカジノディーラーと聞くと、日々淡々と勝負に挑んでいるような、ちょっと怖いイメージを持っている人も多いことでしょう。その実、ディーラーは自分の意志でカードをもう一枚引くなどして勝負できるわけではなく、ゲームの進行役にすぎません。

 ただ、テーブル上の手元におおよそ5000万円から1億円くらいのチップがあり(テーブルのレートによって異なる)、大きなお金を取り扱う仕事なので、非常に厳しい審査がありさまざまな条件をクリアーしないとなることができません。犯罪歴のある人はまずなれません。その分、信用度が高い職業であるというのが、世界での一般通念です」

 シンガポールでは「住宅ローンが一番組みやすいのは、カジノディーラー」と言われているほど、信用度の高い仕事だそうです。アメリカでも、ディーラーはステイタスの高い仕事とよく聞きます。

 年収について贄田さんに聞いたところ、マカオは公務員の1.5倍から2倍。サイパンで近頃あったディーラーの求人は、400万円程度だったそうです。ラスベガスは、400万円プラスチップ。チップが本人のものになるかは、「お店によりけり」とのこと。マネージャーになると1000万円クラスも珍しくないといいます。

 ディーラーのキャリアパスはピラミッド構造となっていて、ボトムのディーラーがひとつのテーブルを取り仕切るのに対し、その2段階上のマネージャー(ピットマネージャー)クラスになると、数十のテーブルを管理。カジノは宣伝広告ができないため、ディーラーを変えたり、トラブルが起きた際に事態の収拾に務めたり、集客につながる方法を考えたりするのが主な仕事だそうです。

 IRではどのくらいの年収になるか未知数ですが、あまり低いと日本でディーラーのなり手がいなくなってしまうため、世界を基準とすることが考えられます。

 ディーラーになれる年齢の上限はどのくらいなのでしょうか。

ディーラーは「空気を読む」ことが大事な仕事

 贄田さんは、ディーラーは50歳からでも始められると話します。

日本カジノ学院渋谷校で使用している授業用ボード。ブラックジャック、ポーカー、バカラの3つに使える(2019年7月、宮崎佳代子撮影)



「日本はディーラーの定年をどうするかわかりませんが、マカオに関して言えば、定年がないんですね。定年がある国でも、非正規で再雇用ができたり。そうすると、50歳でなったとしても、15年、20年と元気なうちは働けるので、年金受給までのセカンドキャリアになりえます。座って行うゲームもあり、残業もないので、夜勤を避けられれば高齢者にも無理な仕事ではないです」

 記者はラスベガスに何度か行きましたが、確かに60歳をゆうに超えていると思われるディーラーを見かけることが少なくありませんでした。

「男女ともに30代くらいで始めれば、経験を積み、カジノの経理部門、キャッシャー部門で活躍できます。そのためにはまず、ディーラーができることが大事。世界的にもカジノに携わる人たちはディーラーから始めます。

 IRがオープンするのは数年先ですから、チャンスがあれば海外などで経験を積むと、語学力も向上します。日本で始まった時、ディーラーよりも上のポジションで職を得られる可能性が高まります」

 では、ディーラーの大変な部分はどのようなところなのでしょうか。カジノディーラーとして働いていた経験のある女性に尋ねると、次のように話しました。

「店側は勝たなくてはなりませんが、お客さまによって、あまり負け続けるとクレームに発展したりもするので、その辺の空気を読むのに気を使います。そのほかにも、勝ち負けにこだわらずに遊ぶ人だけではなく、真剣勝負でお金を賭ける人、借金までしてやっている人もいるわけですから、ルールを間違えたら大変です。

 配当やコミッションの有無など、計算を間違えないように、かつ迅速に行わないといけません。そういったプレッシャーを抱えながらも態度に出さず、お客様に楽しんでもらえるようにするのがディーラーに必要であり、一番大変な部分といえます」

 また女性は、「人にもよると思いますが」と前置きした上で、負けが続いたときの精神面のコントロールも大変だった部分に挙げました。

AIがカジノディーラーにとって変わる可能性は?

 カジノディーラーがAIにとって変わられる可能性について、贄田さんに聞きました。

日本カジノ学院渋谷校(2019年7月、宮崎佳代子撮影)



「現存のカジノの多くは、24時間営業です。スタッフは3〜4交代制が一般的なため、1か所のカジノで約1000〜3000人。3か所なら最多で1万人のディーラーが必要になると思います。日本は人手不足なので、それだけディーラーが集まるかという問題があり、集まらない部分をAIに頼るということはあるかもしれません。

 しかし、接客が大事ですから、すべてがAIになることはないといえます。さらには、マネージャークラスとなればAIでは無理なので、その育成のためにもディーラーは必要です」

 日本カジノ学院は、現在、日本全国に8校開校しており、東京には渋谷校と恵比寿校があります。「ディーラーは知識と技術の習得にすぎず、われわれはマネージャーのような中核となれる人材の育成を目指しています」と話します。ちなみに、東京のふたつのスクールでは、生徒の年齢や職種が非常に幅広いとのことです。

 当面、3か所としているIRは、将来的にさらに数が増える可能性があり、そうなればディーラーの需要はさらに高くなると考えられます。これから注目度が高まっていく職種と言えますが、カジノは現状の日本において、必ずしもイメージが良いとは言えません。「新しいビジネスチャンスを生む職業」「セカンドキャリア」としてどこまでなり手がいるか。そこが成功の一端を担うと言えるかもしれません。

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