コンビニ定番の「ワッフル」 ルーツはなんと古代ギリシャで、日本独自の進化も遂げていた【連載】アタマで食べる東京フード(6)
2020年8月12日
ライフ味ではなく「情報」として、モノではなく「物語」として、ハラではなくアタマで食べる物として――そう、まるでファッションのように次々と消費される流行の食べ物「ファッションフード」。その言葉の提唱者である食文化研究家の畑中三応子さんが、東京ファッションフードが持つ、懐かしい味の今を巡ります。
「ワッフル」の定義とは
皆さんは「ワッフル」と聞いて、どんなお菓子をイメージしますか?
大半の人が思い浮かべるのは、丸くて食感のしっかりしたベルギーワッフルか、さくっふわっとして軽いアメリカンワッフルのどちらかでしょう。
最近は薄手でクッキー風のキャラメルワッフルも人気上昇中。いや、ワッフルというものは楕円(だえん)形のやわらかい皮にクリームやジャムを挟んだ菓子だと答える人は年配者のはずです。
結論からいうと、すべてが正解。
共通しているのは表面に凸凹の模様が入っていることで、その多くが格子状です。ワッフルは英語ですが、語源は中世オランダ語の「wafele」。「蜂の巣」から派生した言葉で、格子模様が特徴のウエハースも、同じ語源を持つ焼き菓子です。
原型は古代ギリシャ
原型は古代ギリシャにさかのぼるという歴史あるワッフルは、日本に紹介された最初の洋菓子のひとつでした。
1873(明治6)年に出版された『万宝珍書 食料之部 全』は、「甘菓子製法」が9種載っており、初期洋菓子資料としても貴重な西洋料理書。9種のうち唯一、現在まで作り続けられているのがワッフルです。

目次には「Waffles」と欧名が大きく入り、作り方ページでは「ウヲッフルス」、牛乳と卵黄、バターを溶かし混ぜたところに粉と塩少々を加えて練り、泡立てた卵白を混ぜて鋳器(鉄製のワッフルメーカーのことでしょう)で焼くというレシピです。
砂糖が入らず塩味なところは、アメリカの大衆的な食堂で提供されるワッフルとそっくり。
目玉焼きやソーセージ、ベーコンと一緒にワンプレートに盛られ、ワッフル自体には甘みがないかわりに、皿がメープルシロップの海になるくらいダボダボかけて、おまけに大量のバターをのせ、両方をしみ込ませながら食べるという超ハイカロリーなメニュー。アメリカ人の定番朝食です。
日米の小麦粉の違いから、同じ配合でもアメリカのワッフルは日本の薄力粉で作るよりはるかに軽く焼き上がるので、どんなにシロップとバターたっぷりでも、意外なほどぺろりと入ります。

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