外出自粛で「オンライン婚活」広がるも 女性参加者がなかなか集まらないワケ【連載】TOKYO恋愛事変(3)

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外出自粛で「オンライン婚活」広がるも 女性参加者がなかなか集まらないワケ【連載】TOKYO恋愛事変(3)

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内藤みか

恋愛小説家

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最先端のトレンドを発信し続ける東京は、恋愛もいつだって新鮮。大人の恋模様を見つめ続ける作家の内藤みかさんがリポートする「TOKYO恋愛事変」、今回のテーマは「オンライン婚活のメリット、デメリット」です。

新型コロナは、婚活業界にも大打撃

「コロナショック」は婚活や恋活の現場も直撃しています。緊急事態宣言が発令される以前から都内の婚活パーティーは開催中止となるところが徐々に増え、2020年4月中旬にはほとんどが自粛となりました。

 この状況で困っているのは婚活中の人たちなのです。彼らはオンラインでの婚活に無事切り変えることができるのでしょうか。

ノーマスクで初対面の男性と会話

 それまで婚活パーティー市場はオリンピックの活気も手伝ってか盛況でした。パーティー内容も多様化し、例えば「ぽっちゃり女子婚活」「ペット好き同士」など、かつてはあまり見かけなかったテーマで開催されるものも増加中だったのです。

 ちょうど春先で、どこかに出掛けたくなったり、パートナーが欲しくなったりする時期とも重なり、さらににぎやかになっていくと思われていた矢先のコロナショックでした。

婚活男女があこがれる結婚のイメージ(画像:写真AC)



 実際、その前からその影は忍び寄っていました。

 ダイヤモンドプリンセスが横浜に停泊し、日本にもじわじわと感染者が出始めていた2月中旬、私も40代向けの婚活パーティーに参加してみました。横浜からそれほど遠くない会場は、参加者がかなり少ないことに驚きました。いつもの半分以下の参加者しか集まらなかったということ。

 参加した男性は、「横浜を避けて回り道してやってきました」と言っていました。けれどその頃はまだ、会場でマスクをする人は誰ひとりいなかったのです。お互いの顔を見せ合うことが婚活では必要だったからなのでしょう。

3月以降中止が相次ぐように

 その後、都内で週末の自粛が呼びかけられるようになった3月下旬以降、婚活パーティーでもマスクが推奨されるようになりました。

 この頃から開催を中止するところが相次ぎました。それでもアニメ好きの人限定パーティーや、女子大生とサラリーマンの恋活パーティーなど、一部のパーティーでは男性が満席となるケースがいくつもありました。

 けれど男性が完売しても女性がなかなか満員にならないのです。女性のほうがリスクに慎重なのでしょう。

マスクを着用したまま対面する男女のイメージ(画像:写真AC)



 異性と出会うパーティーですから、男女の数がほぼ同数にならないと開催は難しいのでしょう。開催が決行されるパーティーは激減し、予約を受け付けていたパーティーをすべて中止にする業者も増えました。

 また、開催される場合も、マスク着用で、顔合わせのときに一瞬だけマスクを取って顔を見せるという、ものものしい形となっています。

今は怖くて会えない

 毎週のように婚活パーティーに出席し、運命の相手を熱心に探し求めていた都内に住む30代のM子さんは「早く結婚したい。でも今は怖くてパーティーに参加できない」と言います。今までのパーティーで知り合い、連絡先を交換した男性が数人いたのですが、お茶に誘われても公共交通機関に乗って移動する勇気が出ず、断ったそうです。

 やはりここでも男性より女性のほうがリスキーな行動を控えている様子がうかがえます。

 現在、婚活パーティー各社は「オンライン婚活パーティー」なるものに活路を見いだそうとしています。男女が集団で会話するパーティー形式のものもあれば、男女が一対一のみで会話をし、次々と相手を変えていくというツーショット形式のものも。

 始まったばかりのシステムなので、現在はキャンペーン価格らしく、リアルのパーティーの半額以下の料金設定となっていることがほとんどです。

オンラインを始める勇気が出ない

 婚活パーティーが自粛となり困っている先ほどのM子さんに、オンラインパーティーには参加しますか? と聞いてみると「ちょっと難しい」という返事でした。おしゃれしてパーティーに行くのが楽しかったので、部屋の中でモニターに自分が映るというような出会いかたはあまりドラマチックではないということでした。

 さらに、自分の顔が相手のPCに映し出されるということを危惧していました。周囲に内緒で婚活しているので画面写真を撮られる可能性や、後ろに自分の部屋が映ってしまうことが心配なのだとか。よく勝手がわからないオンラインに警戒している様子です。

 参加を呼びかけているオンライン婚活パーティーを見てみると、やはり男性は完売しているものが多く、女性の出足はまだ鈍そうです。

オンライン婚活が浸透するためには

 M子さんはモニターに映る自分の姿を好印象にするため、かわいく映るためのしぐさなどの微調整をする時間がほしいそうです。

 業者も、少しでも女性に気軽に参加してもらうために、自室が映らないよう背景画像を用意する必要があるでしょう。そしてオンライン婚活で知り得た相手の画像やプロフィルを保存したり外に漏らしたりしないという誓約書を作ればなお安心かもしれません。

外出自粛の合間に自分磨きをするイメージ(画像:写真AC)



 急きょ始まったばかりでルールが出来上がっていない現状なので、今後はユーザーも意見を出し合ってシステムを作りあげていくことになるのではないでしょうか。

 なじんだリアル婚活パーティーが復活してくれる日を待ちたいとM子さんは言いますが、いつ再開されるのかはまだわかっていません。そしてオンライン婚活で男性と話が弾んだところで、現状では直接会い、街のカフェでお茶をする勇気が出ないのです。

 婚活をしたい人には厳しい状況となっていますが、こんなときだからこそ、自分磨きをしたり、自分はどんな結婚をしたいのだろうとじっくり考えたりするチャンスでもあります。あまり焦らず、周囲の状況を見ながら、新しいシステムもマイペースに少しずつ試していけばいいのではないでしょうか。

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