【後編】新型コロナ禍の首相会見 「記者クラブ」は正しく機能しているのか
2020年4月9日
ライフ新型コロナウイルス感染拡大により、目にする機会が増えた安倍首相による記者会見。その首相に対して質問を向ける「内閣記者会」のあり方について問い直す機会ともなりました。官邸取材の長いフリーランスライター小川裕夫さんがリポートします。
記者の質問は、あらかじめ官邸に伝えられていた
内閣記者会(首相官邸に常駐する新聞・テレビ・通信社などの記者らでつくる記者クラブ)と首相とは、長らくなれ合いの関係にあると指摘されてきましたが、確固たる証拠がないために、その「蜜月」は公然の秘密として語られてきました。
しかし、記者の質問する内容が、記者クラブを通じて首相官邸側にあらかじめ伝えられていたことが、最近になって判明したのです。
記者から質問を事前に知っていれば、首相は答弁内容を事前に用意することができます。つまり、首相会見は作成した原稿を読み上げるだけの場になっていたのです。
入試に例えれば、事前に正解を教えてもらっていたということになります。入試なら、不正によって合格取り消しの措置で終わりますが、国家・政権運営はそれだけでは済まされません。

首相会見を見た国民は、そこから首相が何を考え、どういった政策を進めようとしているのかを知ることになります。国民の知る権利を果たす最大の場なのです。首相会見は単なる儀式ではありません。
内閣記者会と首相の「茶番劇」が判明したのは、2020年3月2日(月)の参議院予算委員会のことでした。この日、質問に立った蓮舫参議院議員が首相会見の質問についてただしています。
2日前の2月29日(土)、安倍晋三首相は記者会見を実施。新型コロナウイルスへの対応や、自身の考えを述べました。その後、内閣記者会の記者たちからの質問にも回答しています。

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