プラスチックごみを減らすために、東京人が変えるべきふたつの重要課題

削減と再利用が近年叫ばれているプラスチックごみ。世界中の大手メーカーは目下、容器や包装材料の見直しに本格的に乗り出しています。日本人、とかく最も多くのプラスチックごみを排出している東京人は今後、どうすべきなのでしょうか。アラベスクS-Ray日本支店代表の雨宮寛さんが解説します。


プラごみは貴重な燃料資源も。燃やすと……

 2019年12月6日(金)、東京ビッグサイト(江東区有明)で開催された第21回目となる環境展示会「エコプロ2019」に参加しました。展示場では大手民間企業だけでなく、地方の中小企業や非営利団体、教育機関、行政機関などさまざまな団体が環境に優しい商品やサービスを案内していました。セミナーも1日を通じて開催されており、特に東京都の小池百合子知事が登壇したセッションは興味深い内容でした。

削減と再利用が急がれるプラスチックごみ(画像:写真AC)



 日本の都道府県で最も人口の多い東京都は、そこで発生する廃棄物も大量です。特に昨今問題となっている温室効果ガスの排出量とプラスチックごみは、別の問題のように思えますが、密接に関わっています。

 日本は自治体の努力もありゴミの分別処理が世界的にも進んでいるため、プラスチックのリサイクル率は80%以上とされています。しかし温室効果ガス問題と絡めて考えると、リサイクルのうち55%ほどはプラスチックを燃料として燃やして発電に使われているのです。

 プラスチックの原料はそもそも原油で、プラスチックごみを原油の代替として利用することは賢いことで、原油を輸入に頼る日本にとって貴重な燃料資源です。しかし、プラスチックを燃やして発電することは、温室効果ガスを発生することになるため、前述のふたつの問題を同時に解決することにはつながりません。プラスチックごみを処理することはできますが、温室効果ガスを発生してしまうからです。

 それではプラスチックごみの55%を燃料にするのではなく、回収したペットボトルから再びペットボトルをつくるように、プラスチックごみを回収して、プラスチック製のモノに再生させる必要があります。数字上はプラスチックを再生することよりも燃料に使う方が多いので、一朝一夕で変わることではありません。

 さらに、この過程に関係するステークホルダー(利害関係者)も、プラスチックごみを出す都民やごみ回収業者、自治体だけでなく、リサイクルに関わる企業や行政なども関わってきて、利害調整で何年も過ぎてしまうでしょう。

解決の前に立ちはだかる「世代間ギャップ」

 そこで、効果的な打つ手として考えられるのは、プラスチックごみの「出し手」である都民の行動を変えていくことです。

 30~40年前、炭酸の入ったジュースといえばコカ・コーラでした。今はさまざまな種類の炭酸飲料水が販売されており、また、お金を出して買うことを考えもしなかった飲料水も、ミネラルウォーターや炭酸水、フレーバー入りのミネラル・ウォーターまで多くの種類が販売されています。

 しかし、その多くのソフトドリンクの容器はプラスチック製のペットボトル。今やありふれた、当たり前の容器です。しかし30~40年ほど前はペットボトルが珍しい容器で、先のコカ・コーラでいえば、コカ・コーラの瓶ボトルや缶が当たり前でした。

 瓶はガラスで、使用済みの瓶を瓶として再生利用する「びん to びん率」は80%を超えています(出所:ガラスびん3R促進協議会)。一方、缶ジュースの缶も、使用済みの缶を缶として再生利用する「CAN to CAN率」は70%前後(出所:アルミ缶リサイクル協会)。プラスチックの25%程度に比べれば、いずれも高い再生利用率です。

近年の「びん to びん率」と「CAN to CAN率」の推移(画像:ガラスびん3R促進協議会、アルミ缶リサイクル協会)



 現在の40歳代以上の人たちは、コカ・コーラや他のソフトドリンクを瓶や缶で飲むことへの抵抗は少ないのではないでしょうか。

 一方、コンビニの飲料コーナーでペットボトルしかみたことのない若い世代は、ソフトドリンクを瓶や缶で飲むことに抵抗があるかもしれません。令和パラダイムシフトのひとつは、このような世代間ギャップをどのように埋めるかということです。

 このように容器をリサイクル率の高い原料にシフトしていくことは、プラスチックごみを減らす一助となる。ソフトドリンクは一例ですが、経済全体で再利用主導の経済スタイルに変えていかなければなりません。

代替物の優位性をどうアピールするか

 モノを生産し、消費者が購入し、使用し、捨て、そして廃棄物化するという「ワンウェイ(一方通行)経済」から、廃棄物を再生・再利用(リサイクル、リユーズ)するという輪を描く経済、「ワッカ(輪っか)経済」を構築を目標としていくことが必要です。ソフトドリンクのように多少不便かもしれませんが、昔のモノに戻ればワッカ経済を築ける商品もあるかもしれません。

 しかし、市場に導入された当初からプラスチック容器で販売されていたモノが瓶や缶の容器で販売される場合、消費者の多くが抵抗感を抱くかもしれません。軽さや形状などプラスチックの容器の持つ優位性を、ガラスやアルミニウムの持つ優位性に置き換えて魅力的な容器として消費者に訴えられるかが大きなハードルとなるでしょう。

 令和パラダイムシフトのもうひとつは、人々の生活に自然に溶け込んだプラスチック容器を瓶や缶などに変えていくというマインドセット(ものの見方や考え方)の変革を伴ったイノベーションの必要性です。プラスチック容器から瓶や缶に変わることで失われる優位性を瓶や缶の優位性によって補い、さらにプラスの効果を提供することが出来なければ、マインドセットを変えることはできません。

東京人はマインドセットを変革できるか(画像:写真AC)



 東京都の人口は2025年に約1400万人でピークを迎え、その後は減少に転じるといいます。しかし日本の政治経済の中心であり、アジアの主要都市の一角であることを考えると、企業や商業・観光施設、ホテルが集中し、海外からの観光客、ビジネス滞在者は増え続けるでしょう。

 廃棄物は生産・消費活動の「結果」です。廃棄物を現在の処理で対応していくのか、再生・再利用をメインとする道筋を早急に打ち出していくのか、都民のマインドセットを変えていくリーダーシップが求められています。クールビズを日本のサラリーマン社会に浸透させた小池知事であれば、ワッカ経済への道筋を大きく示すことは可能ではないかと期待しています。


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