猫は人間に寄生する? 映画『キャッツ』と『パラサイト』に寄せて【連載】月刊 猫を読む(2)
2020年2月29日
ライフ猫が好き、読書も好き――そんなあなたのために、猫にまつわるたくさんの本と4名の猫店員がいる書店「キャッツミャウブックス」(世田谷区若林)店主の安村正也さんが、毎回とっておきの本をセレクトしておススメします。
ラジー賞9部門ノミネート『キャッツ』の原作
賛否両論ある方がワクワクしません?
実は、現在公開中の映画『キャッツ』の評判が気になって仕方ないのです。アメリカでは、その年の「最低」の作品に与えられるゴールデンラズベリー賞(通称ラジー賞)の2020年版で、最多9部門にノミネートされるという快挙(?)を成し遂げた本作品、「ホラー」「グロテスク」「カオス」といった(筆者の個人的な好みとしては)絶賛の言葉を浴びています。これはむしろ見たい!
「ダンスや音楽が素晴らしい」と、日本では好意的なレビューも目にするこの映画、ご存じの通りノーベル賞詩人T.S.エリオットの著した猫詩集が原作です。いま本として一番手軽に読めるのは、ちくま文庫版の『キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法』ですが、さらに猫好き・猫本好きにおすすめしたいのが次の2冊。

まず1冊目は、「猫の日制定委員会」を発足させるほど猫好きだった英文学者・柳瀬尚紀訳の『袋鼠(ポサム)親爺の手練猫名簿』(評論社)。
タイトルをぱっと見ただけでは同じ原作とはわかりにくいですが、語呂合わせなどの言葉遊びを駆使して、オリジナルの詩のリズムや韻をできるだけ生かそうとした翻訳の妙は日本語版ならでは。『猫舌流英語練習帖』や『猫舌三昧』などの著作もある訳者の猫本ラインアップとしても押さえておきたい作品です。
もう1冊は、これまた大の愛猫家として知られるエドワード・ゴーリーの挿絵による『キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科』(河出書房新社)。
とぼけた感じの猫がさまざまな書体の1から50までの数字と一緒に登場する絵本『キャッテゴーリー』と合わせて、ぜひとも手にしていただきたい猫本です。そして(公開中の作品とは違った意味で)「不気味」「残酷」と称されるゴーリーの世界観で映画化されたならば、一体どんな映像になるのだろうかとウットリ想像してしまいます。

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