接客サービスより断然「味」を重視――外食ユーザーの志向が変化している
2020年1月27日
ライフトレンドが毎年大きく変わり続ける外食業界。そんななか、2020年は「おもて無グルメ」が注目されるといいます。いったいどのようなグルメなのでしょうか。ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員の稲垣昌宏さんが解説します。
おかまいな食ぅ“なタイプの消費者が増加
筆者(稲垣昌宏。ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員)が二子玉川のセルフサービスフレンチ「ルナティック」(世田谷区玉川)を訪れると、奥さまたちがおいしそうなフレンチを囲んでランチ会を楽しんでいました。
このお店は食券制のセルフサービス式を採用することで、フォアグラやロブスターなど高級食材を使ったフレンチをファミレス並みの値段で提供するお店として有名です。

消費者は働き方・生活環境の変化に伴い、食事や食べ方にも多様性を求めており、外食産業や中食(総菜などの調理済みの食品を持ち帰って食べること)産業はそのような消費スタイルの変化に合わせ、さまざまな業態やメニューを開発してきました。
特に2019年は消費税増税で外食10%、中食は軽減税率が適用され8%と、2ポイントの差がつきました。
ホットペッパーグルメ外食総研が独自に調査を行ったところ、消費税増税(2019年10月)以降、普段の外食でかかるお金について、増税前より気にしている人が22.6%もいることがわかりました。たった2ポイントの差ですが、外食にはより高い満足度が求められています(n=2,064、首都圏在住、20~50代男女、過去1か月以内に外食をしたことがある人が対象。インターネットパネル調査)。
「料理 > サービス」というニーズへ
外食のコストパフォーマンスを数式に分解すると、分母がかかる「お金」、分子が料理と「サービス」というように表すことができます。

前述の調査で、外食する際に最も重視するものを聞いたところ、料理を細分化した「調理技術」は38.4%、「食材」は26.5%となりました。一方、サービスを細分化した「設備・空間」は21.8%、「接客」は13.4%でした。つまり最新の消費者ニーズは、
料理 > サービス
となっているのです。
増税により外食コストにシビアな消費者が増え、限られた予算の中でサービスより料理を重視したいということは、すなわち、
「料理の価値:高」 × 「サービスの価値:低」
というお店のニーズが高まっていることを意味します。
前述の調査でも、おいしい料理を「セルフサービス化」または「ファストフード化」したりしたお店の評判は良いといった結果が得られました。このサービスを省力化し、料理にその分つぎ込んだお店やメニューを、ホットペッパーグルメ外食総研では
「おもて無グルメ(おもてなしぐるめ)」
と命名し、2020年に注目すべきと考えています。

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